ASDの人が向いている仕事15選!特性を知って働き方を探すヒントとは

ASD (自閉症スペクトラム)

ASDの人が向いている仕事15選!特性を知って働き方を探すヒントとは

現在放送中のドラマ厨房のありす。

ASDを抱える主人公が、生きづらさを感じながらも向き合っていく様子と、周りとの関わりが描かれています。

作中では、主人公は料理人として活躍していますが、その他の特性が活かせる仕事としてはどのようなものがあるのでしょうか。

 

この記事では、ASDの人におすすめの仕事15選をご紹介します。職務における悩みや強みについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

ASDの人の特徴

ASDの人の特徴

厨房のありすでも題材となっているASDは、気持ちのやり取りや対人関係が不得意、自分のやり方があるなどの特性を持つ発達障害の一種です。

具体的な特徴としては、相手の考えていることや抽象的な物事への理解が難しい、音や匂いなどに対する感覚過敏、他人への興味が薄い、好きな物事への追求力が高い、などがあげられ、治療を通して症状への理解や生きづらさの軽減を目指せます。

 

ASDについてより詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。

ASD(自閉症 スペクトラム)の人が抱える仕事での悩み

ASD(自閉症 スペクトラム)の人が抱える仕事での悩み

ASDの人は、気持ちのやり取り面での困難、自分のやり方の強さ、興味関心の低さなどの特性により、職務で困難に直面することがあります。

ここでは、ASDの人が抱えがちな仕事での悩みをご紹介します。

自分のミスを注意されるとパニックになる

自分の中のマイルールがあったり、臨機応変な対応ができなかったりする特性から、自分のミスを注意されると過剰に反応してしまうことがあります。

また、注意された内容が抽象的だと相手の意思を理解できず、ミスを繰り返たり自己嫌悪に陥ったりします。

周囲へ説明など、チームでの作業ができない

考えや感情の表現が不得意な特性により、チーム内での業務で生じる周囲への説明や、意見交換が難しい場合があります。

また、人の感情や考えを読み取るのが不得意なため、気持ちのやり取りに不安を感じることも多いです。

空気を読んだ意思疎通ができない

場面や状況に応じた言動や態度をとることが不得意な特性により、職務での意思疎通に支障が出てしまいます。

例えば、上司やクライアントに対して失礼な発言をしたり、会議で場違いな言動を連発したりと、周囲からの信頼を落とす問題を引き起こしがちです。

タスクの同時並行ができない

複数の業務を同時にこなすことが難しい特性により、指示を聞きながら働けなかったり、ミスや漏れが発生したり、業務が溜まるとパニックになったりします。

また、周囲の音が気になって没入できないこともあるため、静かな環境での業務を希望する方が多いです。

ASD (自閉症スペクトラム)が持つ仕事における強み

ASD (自閉症スペクトラム)が持つ仕事における強み

特性を理解し、得意・不得意を把握することで、強みとして役立てられます。ここでは、ASDの人が持っている仕事における強みをご紹介します。

集中力の持続

興味のある分野や目標に対しては、長時間没入することができます。この場合、周りの人よりも気が散りにくい上に、一つの業務を完璧に仕上げるため、効率が早くなったり質が高くなったりします。

細かいミスに気付く

細部に対する注意力が優れている特性により、見逃してしまいがちなミスや問題点に気が付く傾向にあります。また、一つ一つの動作を丁寧に進めるため、常に高品質な作業を提供できます。

正しい手順を守れる

ルールや手順に沿って行動する特性により、手順通りにタスクをこなしたり報告したりすることが得意です。そのため、安全性や効率が問われる職務において、特性を活かすことができます。

ASD(自閉症 スペクトラム)の人におすすめの仕事15選

ASD(自閉症 スペクトラム)の人におすすめの仕事15選

ASDの特性を活かせるおすすめの仕事15選をご紹介します。職業選びで困っている方、自分に向いている職務が分からない方は参考にしてみてください。

データ入力

データ入力は、決まりに沿ってコンピューターに情報を入力する仕事です。

ルーティンワークであり、変化が少ない点や細かい業務が多く没入できる点は、ASDの特性を持つ人に向いています。また、比較的人とのやり取りが少なく、自分のペースで業務ができるため働きやすいです。

料理人

厨房のありすにも登場している料理人は、食べ物に対する感性を活かせたり、レシピに従って調理ができたりします。

また、お店によってはお客さんと直接対面する必要がない場合もあり、対人関係での困難も最小限に抑えられます。

 

ASDの料理人を題材とした物語のひとつに「厨房のアリス」があります。下記記事では、精神科・心療内科の観点から解説しています。

経理

経理とは、企業の会計や財務などお金に関する管理を行う仕事です。

数や規則性に沿って業務することが多く、計算が得意で論理的な思考を持っている特性に向いています。また、専門分野に没頭できる環境な上に、オフィス内での人間関係も比較的シンプルといえるでしょう。

研究職

研究職は、科学・技術などの分野で新しい知識や発見を目指す仕事です。

自分の興味・関心に沿って研究テーマを選ぶことができたり、分析する際に集中力が必要となったりするため、一つの物事に過集中する特性を活かせます。

カメラマン

カメラマンは、自分の視点や感性を写真に表現する仕事です。

被写体を美しく見せるためには微調整が必要であり、細部にまで気が付く特性を活かすことができます。また、フリーのカメラマンになれば、興味関心に合わせて自分のペースで撮影できるでしょう。

工場作業員

工場作業員は、製品の製造や検査、ライン管理などを行う仕事です。

業務の多くはルーティンワークとなっており、自発性より指示や手順への正確性が求められるため、ルール通りに行う特性が強みになります。また、指示が明確であることが多く、意思疎通に関する悩みを最小限にしながら業務ができます。

Webデザイナー

Webデザイナーは、ウェブサイトのデザインやレイアウトを作成する仕事です。

ASDの場合、持ち前の集中力や自分のやり方を生かすことができ、細部のゆがみや違和感に気が付けます。また、リモートワークが可能な場合も多く、周囲の環境を気にすることなくリラックスしながら業務を行えます。

Webライター

Webライターは、ウェブサイトやブログなどに記事を執筆する仕事です。

文章力や調査力が必要となりますが、専門知識や趣味などを活かして執筆できます。また、フリーランスとして活動する場合は、仕事量や時間を調整できるため、マルチタスクの困難からくるパニックを防げます。

プログラマー

プログラマーは、コンピューターに指示を与えるプログラミング言語を使って、システムやアプリケーションを開発する仕事です。

ルールやロジックに従うことが大切となり、細部の異変に気が付く集中力が求められるため、こだわりの強さや論理的思考を得意とする性などの特性を持つ人におすすめです。

翻訳家

翻訳家は、ある言語から別の言語に文章や音声を変換する仕事です。

自身が得意とする言語を突き詰めることができ、高い感受性や記憶力を生かせます。また、文章を翻訳する場合、自宅作業が可能な環境であることも多く、自分のペースで翻訳が行えます。

校正者

校正者は、文章の誤字や脱字、文法、表記法などをチェックして修正する仕事です。

細部にまで目を凝らし、正確さや一貫性を保つことが大切となり、高い集中力や細かい作業に耐えられる能力が求められます。また、出版社や広告代理店などで勤務する場合もありますが、フリーランスとして活躍すれば在宅での作業も可能です。

イラストレーター

イラストレーターは、雑誌や書籍、広告、パッケージなど様々な媒体で、イラストを作成する仕事です。

ASDの人は、独創的な発想や細かい観察力を持っていることが多く、イラストレーションの制作に向いています。また、自分のオリジナル作品を世の中に発信できるため、やりがいや満足感を得られます。

ゲームテスター

ゲームテスターは、開発段階のゲームの品質をチェックする仕事です。

仕事では、同じゲームを何十回も繰り返し行い、バグや不具合を見つけて報告します。高い集中力が求められるため、注意力が長く続いたり、細かい作業にこだわったりする特性を持つ人に向いています。

ファッションデザイナー

ファッションデザイナーは、服やアクセサリーなどのデザインを手掛ける仕事です。

細部にまでこだわりを見せたコレクションやオーダーメイドデザインを提供でき、お客様の満足度を高めます。また、自分の作品を通して表現することができるため、言葉で伝えることが苦手な人でもやりがいを感じることができます。

ASD(自閉症 スペクトラム)で仕事の成功を収めている有名人・芸能人

ASD(自閉症 スペクトラム)で仕事の成功を収めている有名人・芸能人

次に、ASDを公表しているさまざまな有名人がいる中で、例として3人ご紹介します。

【スポーツ選手】山口尚秀

東京2020パラリンピック100m平泳ぎで金メダルを獲得した山口尚秀選手は、三歳のころに自閉症と診断されています。

幼いころは、こだわりの強さやコミュニケーション力の欠如、感情の抑制の困難など、特性により生じる悩みで苦しんでいましたが、水泳と出会うことで変化が訪れました。予定通りいかないとパニックになる特性を抱えながらも、自身に向き合う姿は多くの人を勇気づけています。

【音楽家】米津玄師

日本を代表するシンガーソングライターの一人である米津玄師は、ASDを抱えていると公表しています。昔は人との意思疎通が苦手だったそうですが、特性を活かし音楽に向き合ったことで、コミュニケーションをとれるようになったそうです。

彼の発信する音楽は、独特の感性や視点を反映させた繊細で心に響くもので、持ち前の作詞作曲能力の高さから天才とも囁かれています。

【起業家】イーロン・マスク

テスラやスペースXCEOであるイーロン・マスクは、番組内でASDと公表されました。

幼少期には、特性による高い集中力から一日10時間本を読み、自身の世界に没頭していたそうです。彼はASDの特性も相まって、たびたび世間を騒がせる言動をしていますが、常人では思いつかないような斬新な発想や挑戦は、世界から一目置かれています。

ASD(自閉症 スペクトラム)向けの就労支援機関とは

ASD(自閉症 スペクトラム)向けの就労支援機関とは

適切な支援を受けられることで、能力や興味に合った仕事を見つけて働くことができます。以下では、ASDの人が就労する際に利用可能な支援機関について紹介するので、参考にしてみてください。

ハローワーク

ハローワークは、就職や転職を希望する人に向けて、就職先の紹介や職業訓練などを提供する公的な機関です。

ハローワークでは、職業相談員がASDの特性に合わせて、適切な職種や働き方を提案してくれます。また、ASDの方向けの求人確保やジョブコーチ支援などを実施しているため、就労に向けたサポートを受けられます。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障害を抱える方の自立を就労面・生活面から支援する機関です。

ハローワークや支援学校、医療機関等と連携を図り、就業を目指している方へ助言をしたり、障害者雇用促進を進める企業へサポートを行ったりしています。

障害者就労支援センター(市区町村障害者就労支援事業)

障害者就労支援センター(市区町村障害者就労支援事業)は、地域ごとに設置している就労支援機関です。

障害者就労支援センターでは、本人や家族の希望に応じて、職業相談や職場定着支援、就職準備支援などを行っています。また、職場実習支援として職場の環境調整なども実施し、利用者と企業が円滑なコミュニケーションを図るための支援をしています。

就労移行支援事業

就労移行支援事業は、障害を抱える方の一般企業就職をサポートする福祉サービスです。

主に、職業訓練の実施と就職活動に向けた支援が行われ、自分に合った仕事や働き方を見つけるためのサポートをしています。事業所によっては、グループワークを実施しているところもあり、職場内でのコミュニケーション方法や自己管理スキルの習得を目指せます。

病院が実施しているリワーク

リワークは、休職者向けの復職、再就職サポートです。

病院が実施するリワークでは、症状の回復と再発防止を目的とし、体調管理やカウンセリングを行います。また、企業と連携を図り職場訪問なども実施するため、復職後の職場定着までサポートしてくれます。

精神科・心療内科うるおいクリニックでは、ASD向けの仕事を支援する各種就労機関への紹介が可能です

精神科・心療内科うるおいクリニックでは、ASDの治療だけでなく、就労支援を行うリワークなどへの紹介実績があります。そのほかにも、アクセスの良い機関へのご紹介も可能です。一人で悩まず、気軽に相談してみませんか?

よくある質問

ASDの方に適した職種は何ですか?

ASDの人は、「他者とのコミュニケーションが少ない」「自分のペースで進められる」「環境調整がしやすい」などに当てはまる職種が向いています。
具体的な職種については、「ASD(自閉症 スペクトラム)の人におすすめの仕事15選」段落でご紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

ASDの方が仕事で困ったときに相談できる機関や団体はありますか?

お近くのハローワークや就労移行支援事業、障害者就労支援センターなどでご相談が可能です。また、うるおいクリニックでも各種就労機関へのご紹介ができますので、仕事に関するお困りごとがある方はお気軽にご相談ください。

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