発達障害と身近な人が診断されたらどうする?症状や特徴、接し方とは

ADHD (注意欠陥多動性障害・多動症)

発達障害と身近な人が診断されたらどうする?症状や特徴、接し方とは

近年、発達障害はまれなものではなく、身近な人も発祥の原因とされる脳機能の特性を持っている可能性があるという調査結果がでています。
では、発達障害にはどのような特性があり、接する上で何を意識しておくとよいのでしょうか。

この記事では、大人の発達障害にみられる症状や特徴、治療法について解説します。
また、発達障害の人との接し方もご紹介するので、接し方や特性について知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

発達障害とは

発達障害とは、脳の発達や働きの違いにより、生まれつき言語やコミュニケーション能力、社会性などに問題がある特性のことです。
先天性の障害ですが、会社での業務や私生活での友人関係において困難を感じ、大人になってから障害に気付く方も多くみられます。
また、発達障害は完治することができませんが、適切な支援や治療を受けることで、社会生活に適応できたり、能力を活用できたりするようになります。

大人の発達障害の種類・症状

発達障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、知的障害(ID)、吃音症、チック症に分類することができます。
ここでは、それぞれの特徴や症状について解説します。

自閉症スペクトラム障害(ASD)

自閉症スペクトラム障害(ASD)は、コミュニケーションや対人関係に困難を抱える発達障害です。自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害はASDに含まれ、総称としてASDと呼ばれています。

ASDの代表的な特徴は、人と目を合わせない、表情の動きや感情表現が少ない、思ったことを発言してしまう、興味や関心が限られる、反復的な動作やルーティンを好むなどです。
また、ASDの診断基準を満たさない場合でも、これらの特性を少しずつ持つ「グレーゾーン」と診断されるケースもあります。

ADHD(注意欠如・多動性障害)

ADHD(注意欠如・多動性障害)は、注意力や集中力が低かったり、衝動的で落ち着きがなかったりする発達障害です。
ミスや忘れ物が多い「不注意型」、じっとしていられない「多動・衝動型」、それぞれの特徴を持つ「混合型」の3タイプに分類され、それぞれ症状や適したサポートが異なります。

学習障害(LD)

学習障害とは、読み書きや計算が苦手だったり、聞いたり話したりすることに問題が生じる発達障害のことです。
知的発達はありませんが、大人になっても文章を理解したり、数字を扱ったりすることが苦手な傾向にあり、仕事や日常生活で困難に直面する場面もあります。

吃音症

吃音症とは、話すときに言葉が詰まってしまい、何度も言葉を繰り返したり話せなくなったりする障害のことです。
多くの場合は幼少期から症状がみられ、緊張やストレスなどで吃音が悪化することがあります。治療によって改善するケースもありますが、症状が悪化すると人前でのコミュニケーションに困難をもたらします。

チック症

チック症とは、強いまばたきや声を出す衝動を抑えられない障害のことです。
大人になっても目をつぶったり、首をひねったり、鼻をすすったりする衝動が抑えられない傾向があり、原因は神経伝達組織の異常や遺伝によるものといわれています。
チックは自分の意志で抑えることが難しく、無理に抑えようとするとむずむず感や大きなストレスにつながることがあります。

発達障害の原因

発達障害の原因は、遺伝的要因や妊娠中や出産時の合併症、脳の構造や機能の異常などといわれています。
さまざまな原因が発達障害の発症に関係していると考えられていますが、明確な原因は分かっておらず完治することはありません。

大人の発達障害の特徴

大人の発達障害は、コミュニケーション面や行動面、興味面においてそれぞれ特徴があります。

特徴1.コミュニケーションの困難さ

他人の気持ちや考えを読み取ることや、自分の感情や意見を上手に伝えることが苦手な特性により、コミュニケーション面において困難が生じることが多くあります。
例えば、興味のある話以外聞いていなかったり、感情をうまく伝えられなかったりするため、仕事で話を聞かずミスをしてしまう、恋人に理解されなくなってしまう、友人との会話がかみ合わないなどの問題を引き起こすケースがみられます。

特徴2.ルーティンや習慣にこだわる

自分の決めたルールに従って行動したがる特性により、予期せぬ出来事が起こった際にパニックやイライラを起こしてしまうことがあります。
また、こだわりが強く柔軟性に欠けていることから、変化への適応が難しい一面もみられます。

特徴3.特定の分野に強い興味や知識を持つ

興味のある分野へ強い興味を持つ特性により、特定分野における専門知識が深くなる傾向にあります。
また、集中力や記憶力が高いため、趣味や仕事をする上でプラスになる場合もあります。

大人の発達障害に気付くポイント

大人の発達障害に気付くポイントとして、以下のような特徴が挙げられます。

  • 仕事に集中できない、細かいミスをしてしまう
  • お客さんとのコミュニケーションで空気を読めない発言をしてしまう
  • 上司の言葉をそのまま受け取ってしまう
  • こだわりが強く、新しい仕様に対してパニックを起こしてしまう

幼少期では目立たなかった特性も、大人になり高度なコミュニケーションを求められるようになることで、露呈するケースが多くあります。
それに伴い発生したストレスや問題を放置していると、社会生活に馴染めずうつ病や不安障害に発展することもあるため、周囲の人で傾向がみられる場合は早期治療を推奨してみることが大切です。

発達障害の人への接し方

発達障害の人とのコミュニケーションを円滑に進めるためにも、接する際は特性ごとにポイントを理解しておくと良いです。

ASDの場合

ASDの人は、曖昧なニュアンスの言葉や、表情による意思の受け取りが苦手な傾向にあります。
会話をする際は、具体的な言葉で話しかけるよう意識しましょう。また、一日の流れがルーティン化されていることもあるので、予定を事前に伝えることや、変更がある場合は早めに知らせておくことが重要です。

会話の際、興味のある物事以外では反応が薄かったり、話がかみ合わなくなったりします。そのような場合でも、相手の特性であることを理解した上で、無理に合わせず自分の意見や感想を伝えるよう心掛けると良いでしょう。

ADHDの場合

ADHDの人は、物事に飽きやすく、気が散りやすいという特徴を持っています。
長い話や興味のない話では、上の空になってしまうことがあるため、要点を絞りながら簡潔に話すように気を付けることが大切です。

LDの場合

LDの人は、学習に困難を抱えているだけであり、知能が低いわけではありません。
何かを伝えたいときは、特性を考慮した方法を取り入れることで、物事への理解を深めやすくなります。

また、LDの本人が発達障害と向き合うためには、周囲のサポートや理解が必要です。特性を馬鹿にしたり、子供扱いしたり、責めたりすることは避け、なるべく寄り添ったコミュニケーションをするよう努めましょう。

吃音症の場合

吃音症の人は、話すことにストレスや恐怖を感じたり、コンプレックスを持っていたりすることがあります。
吃音によってうまく話せていな場合でも急かすことはせず、話しやすい雰囲気を作ったり、相手のペースに合わせて会話をしたりすることが大切です。

チック症の場合

チック症の場合、症状を理解し他の人と同じように話しかけたり、関わったりしましょう。
症状について注意したり、笑ったり、我慢させたりすることは、チックが悪化する要因にもなるため、常に普段通り接することが大切です。

また、チックが出るタイミングや頻度は個人差がありますが、リラックスや集中しているときは減少傾向にあります。そのため、好きな分野や得意な分野に触れる機会を増やすことも、症状の緩和に効果的です。

発達障害の治療法

ここでは、発達障害の代表的な治療法である「薬物療法」「生活療法」について解説します。

薬物療法

薬物療法では、症状に合わせて抗てんかん薬や睡眠薬、気分安定剤、ADHD治療薬、抗不安薬、抗うつ薬が用いられます。
薬によっては副作用が生じることもありますが、勝手に量を減らしたり中止したりせず、医師の指示に従って服用することが大切です。

生活療法

生活療法では、日常生活の中で発達障害の人に合わせた支援や指導を行います。
代表的なものとしては、以下のような取り組みがあります。

  • 教育療法:学校や家庭での学習や行動について、個別に計画を立てて指導する
  • 認知行動療法:自分の考え方や行動について理解を深め、コントロール法を学ぶ
  • ソーシャルスキルトレーニング:対人関係について学び、表情や話し方を練習する
  • 家族療法:発達障害の人とその家族が一緒に参加し、家族間のコミュニケーションや理解を深める

発達障害の人へのサポート支援について

発達障害のサポート支援としては、医療費を一部負担してもらえる「自立支援医療制度」、障害者手帳を持つ人向けの「障害者雇用枠」、就職のサポートをする「就労移行支援」などがあります。
このほかにも、障害の程度によって障害年金をもらえたり、障害者手帳による医療費の控除や公共サービスの割引があったりと、生活を送りやすくするためのサポート支援が整っています。

活用できる医療制度について詳しく知りたい方は、「医療支援制度について」をご覧ください。

発達障害の検査方法

心理検査

心理検査では、発達障害の特徴や程度を評価するために、知能検査や適応能力検査などが行われます。

知能検査

知能検査では、言葉の理解や表現の程度を確認したり、図形やパズルを通して物事への理解度を把握したりします。

適応能力検査

適応能力検査では、日常生活で必要なスキルや行動がどれだけ備わっているか検査します。一般的に、「コミュニケーション・社会性・日常生活・学習」の分野に分けられ、程度により支援や治療方法を決定していきます。

問診

問診では、本人から現在の症状や持病の有無を聞いたり、家族から私生活の様子を伺ったりします。
さまざまな情報から総合的に判断することで、症状の影響や程度を確認していきます。

発達検査

発達検査では、発達障害の種類を診断するために、さまざまなテストや観察を行います。
テストでは、注意力や記憶力、執着性、反復性などの特徴を評価することで、ASD、ADHD、LD、IDのどれに当てはまるのか判断できます。

発達障害の心当たりがある場合は、うるおいクリニックへご相談ください

うるおいクリニックでは、発達障害の診断や治療に対応しています。
知人や家族、職場の同僚などで発達障害かもしれないと悩んでいる場合、専門の医師やカウンセラーに相談することが大切ですので、お気軽にご連絡ください。

よくある質問

吃音症が目立つようになりました。改善策はありますか?

吃音症が目立つようになった場合、適切な治療を受けることで改善が見込めます。
うるおいクリニックでは、吃音症の治療に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

発達障害の検査は必ずした方がいいですか?

日常生活において支障がない場合、検査を行う必要はありません。
ただし、職場や友人関係などでお悩みの場合は受診をおすすめしています。

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