「うつ症状に伴う不眠に悩まされている」「不安やストレスから寝付けない」
このような不眠症は、TMS治療により改善が見込めるかもしれません。
TMS治療は、脳の働きに直接作用する最新治療として知られていますが、中には効果に不安を覚える方もいるはずです。
この記事では、不眠症におけるTMS治療の可能性やメカニズム、治療の体験談、自宅でできる対処法について解説します。
目次
TMS治療とは
TMS治療は、脳に直接電気刺激を与えて働きを整える治療法です。
磁場の誘導により直接脳へ刺激を送るため、痛みや副作用などの負担が少ないことが特徴で、さまざまな疾患の治療に用いられています。
治療は1回あたり30分、治療の目安期間も1.5か月と短期間で改善を目指すことが可能です。
不眠症の治し方としてTMS治療が持つ可能性とは
不眠症状に対するTMS治療が持つ効果として、脳に刺激を送ることで、不眠の原因となるうつ気分や不安、ストレス症状などの軽減が期待されています。基本的に不眠症治療は、薬物療法との組み合わせで治療が行われますが、TMS治療を行いながら減薬をすすめることで、副作用や依存性などのリスクを軽減させることに繋がります。
また、個々に合わせて刺激の強さや位置を調整できるため、「薬物療法が効かなかった人」「症状が長期化している人」でも改善できる可能性があります。
そもそも不眠症とは
不眠症とは、睡眠時に生じる問題により日中の活動に支障をきたす疾患です。
症状は、寝付くまでに時間がかかる入眠困難、途中で目が覚める中途覚醒、早朝に目が覚めて眠れなくなる早朝覚醒などが該当し、慢性的になると治りにくいとされています。
不眠症が発生するメカニズム
不眠症は、覚醒と睡眠のバランスが乱れることで起こります。
覚醒と睡眠は、脳内の神経伝達物質である「オレキシン」の分泌量により切り替わり、日中は分泌量が増加、夜間は分泌量が低下します。
オレキシンは、スイッチのような役割を担っていますが、ストレスや生活習慣がきっかけで分泌量が増加すると、夜間でも身体が覚醒状態になり不眠症へと発展するのです。
TMS治療で不眠症は改善できる?
不眠症に対するTMS治療は、症状の原因によってアプローチ法が変化します。たとえば、うつ病が原因と考えられる場合、脳の特定部位「左背外側前頭前野」と呼ばれる部位へ高頻度に磁気刺激を与えることで、不眠症状の改善が期待されます。
一方、不眠症の原因が不明とされる原発性不眠症の場合は、「右背外側前頭前野」と呼ばれる部位へ に磁気刺激を与えることで、症状改善を目指します。
このように、不眠症に対するTMS治療は、原因や症状に合わせてアプローチ法を変えながら治療を進めていく必要があるため、経験や知識を持つ医師に治療をしてもらうのが良いでしょう。
うつ症状による不眠症の改善事例はある
うつ症状による不眠症の場合、TMS治療で原因となる部分への直接的なアプローチが可能です。
一般的に、うつ症状の治療には投薬が採用されますが、TMS治療を受けることで短期間で副作用の少ない改善が期待できます。
TMS治療の有効性に関しては、前頭葉に存在する神経回路や複数の感覚情報が集まる神経、随意運動にかかわる神経への刺激で得られる効果が調査により証明されています。
参照:Repetitive transcranial magnetic stimulation in primary sleep disorders
原因不明な不眠症の場合、継続した治療の必要性が示唆される
一度の施術では十分な効果が得られない可能性があるため、不眠症の原因が分からない場合は、継続的にTMS治療を行うことが大切であると示唆されています。
治療を継続することで、プラセボ効果による心理面でのアプローチも期待できるともいわれています。
TMS治療が不眠症に効くメカニズムとは
TMS治療では、脳機能や扁桃体へのアプローチが可能なため、意欲や思考を正常にさせる効果が期待できます。脳の興奮状態が治まることで、不眠の根本原因の一つである不安やストレスが軽減され、うつ症状を伴う不眠症の改善に良い影響を及ぼすとされています。
TMS治療で不眠症を改善するメリット・デメリット
以下では、TMS治療で不眠症を改善するメリット・デメリットについて解説します。
メリット
痛みが少なく副作用もほとんどないため、身体的な負担を軽減できます。1回の治療時間は約15分、治療期間も短期間で高い効果を期待できます。
また、刺激は調整可能なため、薬物療法の副作用がつらい人でも安心して治療に挑めたり、個々に合わせた最適なアプローチが可能だったりします。
デメリット
不眠症に対する治療は保険適用外のため、全額自己負担で治療を行わなければいけません。ただし、自由診療の治療を行う場合でも、場合によっては医療費控除を受けられる場合があります。医療費控除について詳しくは、各自治体へお問い合わせください。
また、心臓に問題があったりてんかん症状がみられたりする場合は、けいれんリスクが伴うため事前に医師に相談することが大切です。
TMS治療で不眠症を治した体験談
TMS治療で不眠症を治した実際の体験談を5つご紹介します。
ケース1「別の治療では改善されなかったが効果がみられた」
睡眠薬や漢方、認知行動療法では改善されなかった方でも、TMS治療により長年の悩みである不眠が改善されたようです。
TMS治療は従来の治療法とは異なり、原因となっている脳の神経回路に直接アプローチが可能です。刺激により覚醒中枢の過活動が抑えられるため、他の治療法では効果が出ない人でも改善できる可能性があるとされています。
ケース2「就寝時に考え事をして、悩まなくなった」
仕事や家庭の悩みなどが多い方は、就寝時に頭がぐるぐる回り寝付けなかったようです。夜中に何度も目が覚めてしまい、日中に疲れが取れず悩んでいたところ、TMS治療を実施されました。
不安やストレスが蓄積されると、脳の活動が低下し悪循環に陥ります。TMS治療は、活動が不足している部位に磁気刺激を与えて、不安やストレスを取り除く効果が期待できるため、考えすぎによる不眠症に有効とされています。
ケース3「不眠に伴う抑うつ気分が軽減された」
不眠症に伴う抑うつ気分に悩まされていた方は、薬物療法やカウンセリングでは効果がみられなかったため、数週間のTMS治療を受けたところ症状が和らいだようです。
不眠症は、放置するとうつ病に発展する可能性のある疾患です。TMS治療は、うつ気分や不安、イライラに対して有効とされているため、症状の回復に伴い不眠症も改善するといわれています。
ケース4「仕事へ復帰できた」
毎日眠れないほどストレスがかかり、不眠症によって仕事を休職した方は、処方された睡眠薬や抗うつ剤では効果がみられなかったようです。副作用もひどく体調悪化に悩まされていたところTMS治療に出会い、仕事に復帰できるほどの体調回復がみられました。
TMS治療は、脳の特定の部位に磁気刺激を与えるため副作用がほとんどなく安全です。頭痛や耳鳴りが起こる場合もありますが、症状は一時的なもので前日に体調を整えておくことで予防できるといわれています。
ケース5「長年続いた不眠に悩まされなくなった」
夜になると眠れない不眠症に10年以上も悩まされていた方は、私生活に支障が出て限界を感じていたようです。いくかの薬を試しても改善がみられなかったところ、TMS治療をインターネットで知り受診されました。
TMS治療は従来の治療法とは異なり、脳の神経回路に直接働きかける画期的な治療法です。慢性的な症状に悩まされている場合でも改善が期待できるため、他の治療法で効果が出なかった人に選ばれて 。
TMS治療の効果やメリットについて詳しく知りたい方は、「TMS治療」ページをご覧ください。
TMS治療での不眠症治療がおすすめな人
以下に当てはまる人は、TMS治療での不眠改善がおすすめです。
薬物投与によるリスクが怖い人
薬物療法では、副作用や依存性のリスクが生じる一方で、TMS治療を併用することで減薬につながり、リスクを減らせる可能性があります。
脳へ電気刺激と聞くと不安に思う方もいらっしゃいますが、痛みや不快感も少ないといわれています。
他の治療では効果がみられない人
うつ症状を伴う不眠の場合、イライラや気分の落ち込みの原因となる箇所に対して直接アプローチ可能なため、他の治療では効果が得られない人でも改善が期待できるかもしれません。
また、持病やアレルギーにより薬物療法が行えない場合も、TMS治療なら副作用の必要がないため受けられる可能性があります。
忙しい中でも治療がしたい通院が可能な人
不眠症に対するTMS治療は、治療時間も短く15分程度で負担が少ないため、仕事などで忙しい方でも気軽に治療を受けられるでしょう。
ただし、治療期間は、1カ月半程度で他の治療法よりも短期間ですが、週に数回程度通院する必要があるため、通院に抵抗がない人は、TMS治療に向いていると言えます。少しでも通院による負担を軽減させたい場合は、アクセス面も考慮してクリニックを選ぶと良いでしょう。
自分にとって良い精神科・心療内科の選び方について知りたい方は、下記記事をご覧ください。
TMS治療以外での不眠症の治療法とは
TMS治療以外の不眠症治療としては、「薬物療法」「精神療法」「オーソモレキュラー栄養療法」があげられます。以下では、それぞれの治療の特徴について解説します。
薬物療法
薬物療法では、不眠症の原因や症状に応じて、睡眠薬や抗うつ薬などが処方されます。
服用することで、不眠に対して即効性の高い改善が期待できますが、副作用や依存性のリスクも伴います。
また、自己判断での服用中止は症状悪化を招く可能性があるため、副作用が辛かったり治療の変更を希望したりする場合は、医師に相談したうえで減薬していくことが大切です。
精神療法
精神療法とは、不眠症の根本的な原因であるストレスや不安に対して、心理面から改善を促す治療法です。
精神療法を行うことで、意識的に体をリラックスさせる方法を学べたり、眠りに対する恐怖を軽減できたりします。効果が表れるまでに時間がかかりますが、考え方を根本から変えていくため長期的な効果が期待できます。
オーソモレキュラー栄養療法
オーソモレキュラー栄養療法とは、足りていない栄養素を補うことで症状改善を目指す治療法です。不眠症の治療においては、睡眠に深いかかわりを持つメラトニンの増加を目的とすることが多く、体の調子を整えることで症状の改善を目指します。
オーソモレキュラー栄養療法は、あくまで栄養バランスの調整が主であり、副作用はほとんどありません。安全性が高く薬剤は使用しないため、妊娠中の方でも治療が受けられます。
関連記事:
TMS治療と併用して行うと良い自宅でできる不眠症への対処法
以下では、自宅でできる不眠症の対策法を6つご紹介します。
適度な運動をする
運動は身体に良いだけでなく、睡眠の質にも影響します。例えば、運動をすると体温が上がり、上昇した体温の低下に伴い眠気が誘発されます。また、滞った血流が改善されることでリラックス効果も得られ、睡眠中にしっかりと深い呼吸を行えるようになります。
睡眠環境を整える
睡眠環境を整えるだけで、眠りの質は大きく変わります。環境面から不眠を改善していきたい場合は、以下のポイントをチェックしてみましょう。
- 寝室は静かで暗めにし、温度調整も心がける
- 清潔で快適な寝具を揃える
- ベッドに入った際は、仕事やゲームなどの行動を避ける
- 寝る前にテレビやスマホを見ない
就寝の2~3時間前に入浴をする
就寝の2~3時間前に入浴することで、就寝時に深部体温が放出され自然な眠気を引き出せます。
就寝直前に入ってしまうと、体温が放出される前に就寝時間が来てしまい、逆に眠りづらくなるため就寝2~3時間前を意識しましょう。
栄養バランスを意識した食生活にする
食事から摂取する栄養素は、神経伝達物質やホルモン生成など睡眠の質を高める要素に関係します。
食事改善を取り入れたい方は、以下の食材を積極的に摂取しましょう。また、食事では栄養を補えきれないという人は、サプリメントを使用することもおすすめです。
たんぱく質 | 肉、魚、乳製品、大豆製品 |
鉄 | レバー、牛モモ、かつお |
ビタミンB | 豚肉、にんにく、落花生 |
マグネシウム | あおさ、わかめ、バナナ |
就寝前にリラックスタイムを導入する
就寝前にリラックスタイムをとることで、心身の緊張をほぐし、気分を落ち着かせる効果を得られます。また、リラックスタイムの習慣化により、体内時計に就寝が組み込まれ眠りにつきやすくなるといわれています。
就寝前はスマホ・PCを控える
就寝前にスマホやパソコンを使用すると、ブルーライトにより体が覚醒状態になるといわれています。
就寝前に電子機器を使う場合は、画面を暗くした理、ブルーライトカットのフィルターを使用したりしましょう。また、ベッドでは就寝以外の事をしないと決めておくことも大切です。
薬に頼らずTMS治療で不眠症改善を目指したい方は、新宿うるおいこころのクリニックへご相談ください
新宿うるおいこころのクリニックでは、薬に頼らないTMS治療を提供しています。
「薬物療法による副作用が心配」、「常用薬の影響で薬を併用できない」などの悩みを抱えている方が安心して治療に挑めるように、治療前は入念なカウンセリングと治療法の説明を行い、ご納得いただいたうえで治療に進んでいます。
治療の途中でも、不安点やご要望がある場合は最大限お応えいたしますので、まずは公式HPやLINEから無料カウンセリングにお越しください。
よくある質問
TMS治療は未成年でも受けられますか?
新宿うるおいこころのクリニックでは、18歳未満の人への治療は行っていません。18歳以上20歳未満の場合は治療可能ですが、保護者の同伴又は同意書のご持参をお願いいたします。
TMS治療は毎日通うものですか?
毎日通う必要はありません。症状の程度により、週に3回程度通院をお願いする場合もありますが、ご要望に合わせて治療方針をご提案させていただきます。