「突然前触れもなく涙が出る」
「1日中気分の落ち込みが続いている」
このような症状に当てはまる場合、うつ病の可能性があります。
うつ病は、誰にでも起こり得る精神疾患の一つであり、強い気分の落ち込みや喪失感がみられる精神疾患です。
うつ病の症状は人によって様々ですが、中にはうつ病と気付かず放置してしまう人も。記事を通して主な症状と具体例を知っておくことで、うつ病になった際にきちんと対処できるようにしておきましょう。
目次
うつ病を発症する人は15人に1人とかなり多い
うつ病は多くの人がなり得る精神疾患であり、統計によると約15人に1人が生涯の中で発症するといわれています。また、症状が出ているうちの4分の3の人は、うつ病を見逃していると考えられており、体調不良がうつ病からくるものだったというケースも少なくありません。
また、自分自身が発症する可能性もあるので、症状について知っておき早めに対処することが大切です。
うつ病の症状は人によって異なる
うつ病の主な症状として、持続的な気分の落ち込み、無気力、食欲不振、集中力の低下などが挙げられますが、全ての人に同じような症状が出るわけではありません。
例えば、身体的な症状が強く、頭痛や胃痛などが先に現れる人がいる一方で、気分の変動が激しく何も手に付かない症状が強く出る人も存在します。
症状は個人差が大きいので、現在悩まされている不調がうつ病によるものか不安な場合は、一度医師に相談すると良いです。
うつ病の症状がみられても治療に至るケースは4分の1程度
うつ病の症状が現れても治療に至るケースは4分の1程度で、そのまま放置してしまう人が多いといわれています。先ほども説明したように、多くの人はうつ病の自覚がなく、
「気のせいだ」
「少し体調が悪いだけだ」
と思い込んでしまうため、相談することなく症状が悪化してしまうようです。
また、医療機関を受診しづらいという思考も治療に至らない原因と考えられていますが、不調がみられた際は早めに相談することが大切です。
女性は妊娠・育児などが原因でうつ病の症状が現れることもある
女性は、妊娠や育児などのライフイベントが原因でうつ症状が現れることがあります。例えば、出産後に現れる「産後うつ」は、ホルモンバランスの急激な変化や育児に対する過度なプレッシャーが影響し、うつ病の症状を引き起こすようです。
また、育児に追われ心身が疲弊すると、発症リスクが高まるともいわれています。発症を防ぐためには、症状がみられる前に周囲の人を頼ってみると良いでしょう。
うつ病の症状10選
では、実際にうつ病の症状を具体的な事例とともにみていきましょう。
うつ病の症状①食欲がなくなる
気分が落ち込み、無力感や疲れを感じていると、食事を摂ることすら面倒に感じるケースがあるようです。普段は食べることが大好きな人でも、食事自体に興味が持てなくなり、食べたいものが思いつかなかったり味がしなくなったりするといわれています。
食欲が減少すると、体力の低下や栄養不足から症状悪化を引き起こすため、ただの食欲低下と思わず注意深く観察しましょう。
うつ病の症状②疲れやすくなる
うつ病の症状として、極度の疲労感や体力の低下が現れることがあります。常に体がだるく、少し動いただけでも強い疲労を感じるため、1日中動く気にならずベッドから出られないケースもあるようです。
疲れは睡眠により回復すれば問題ありませんが、しっかり休んでも回復せずつらさが残る場合は、うつ病の可能性が考えられます。
うつ病の症状③何をしても楽しいと感じない
うつ病になると、以前楽しんでいたことに対しても、全く楽しいと感じられなくなることがあるようです。例えば、友人との会話や趣味の時間でさえも楽しいと感じられず、虚無感に襲われてしまう傾向にあります。
何をしても楽しくないため、引きこもりがちになったり人との関わりが希薄になったりするケースも少なくありません。
うつ病の症状④眠れない・過度に寝てしまう
不安が強まると、夜に眠ろうとしても寝つけなかったり、何度も目が覚めてしまったりすることがあります。気力不足により過剰に眠ってしまうケースもみられるので、疲労感のとれない不眠や過眠がみられる場合は、うつ病が原因となっている可能性もあることを理解しておきましょう。
うつ病になると寝てしまう詳しい原因は、下記記事をご覧ください。
うつ病の症状⑤自分はダメな人間だと否定的になる
うつ病にかかると、自己肯定感が極端に低くなり、
「自分はダメな人間だ」
「何も価値がない」
といった否定的な感情に支配されるようです。
他人に比べて劣っていると感じやすくなるため、自信が持てず何に対しても前向きな考え方ができなくなるといわれています。また、ネガティブ感情から周囲との交流を避けがちになるケースもあるようです。
うつ病の症状⑥イライラする
感情のコントロールが難しくなるため、イライラしやすくなるといわれています。例えば、周囲の雑音が気になったり冗談に過敏に反応したりと、普段なら気にしない小さな物事に対しても敏感になり、人とのトラブルが増えるようです。
また、イライラを家族にぶつけてしまうケースもあり、孤立感を高める要因になるといわれています。
うつ病の症状⑦死にたいと考える
うつ病が悪化すると、
「死にたい」
「もう生きている意味がない」
といった思考に悩まされるケースもあるようです。自殺願望が出た場合、治療を受けず放置してしまうと、命に関わる危険な状況に発展するリスクを高めます。
自殺をほのめかす発言をしたり、自傷行為が増えたりした場合、突然の行動に出る恐れもあるので早めに医師に相談すると良いです。
うつ病の症状⑧涙もろくなる
うつ病にかかると精神的に不安定になるため、ちょっとしたことで涙が出てしまうといわれています。イライラと同様、感情がコントロールしづらくなり、普段なら何も思わないような出来事に対しても涙がこぼれるようです。
また、精神的に疲れていると突然涙が出ることもあるので、悲しくないのに泣いたり憂うつな感情に支配されたりしている場合は、うつ病の可能性を考慮し症状を注意深く観察しましょう。
うつ病の症状⑨落ち着きがなくなる
うつ病の症状である焦燥感が強まると、落ち着きのなさとして現れることがあります。例えば、仕事中でもじっとできず手足を動かしたり、何かをしていないと気が済まない感覚に悩まされるようです。
落ち着きのなさは、他人からみても分かるほどの症状として現れ、心が常にソワソワすることから体を休めるタイミングがなくなるといわれています。
うつ病の症状⑩頭痛や肩こりがする
精神的なストレスが強まると、筋肉が緊張したり血流が滞ったりするため、頭痛や肩こりを引き起こすようです。中には、日常生活が困難になるほどの頭痛に悩まされるケースもあります。
症状が長期化することで、より心身が疲弊してしまい治りづらくなるので、ただの頭痛や肩こりと思わず、原因を探ってみることが大切です。
※うつ病の症状と適応障害などの他の精神疾患の症状は共通する部分も多く、実際の病名の確定診断には医療機関の受診が必要です。
年齢別にみられるうつ病の症状の発症要因
うつ病の症状を引き起こす要因は、年齢によって違うといわれています。
下記では、
「児童思春期(約11歳~18歳頃)」
「壮年期(約19歳~39歳頃)」
「中壮年期(約40歳~64歳頃)」
「高齢者(約65歳以降)」
ごとの症状の特徴を解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
児童思春期(約11歳~18歳頃)
児童思春期におけるうつ病では、自分の気持ちや感情をうまく表現できないことから、成績や体調不良など気付かれにくい症状として現れるようです。
例えば、学校に行きたくない、学校の成績が下がっている、頭痛がするなど、うつ病でなくてもみられるような精神・身体不調が出る傾向にあるので、周囲は異変に気付きにくいといわれています。
壮年期(約19歳〜39歳頃)
壮年期におけるうつ病では、仕事や人間関係のプレッシャー、将来への不安が主な発症要因といわれています。
例えば、社内での地位が上がって責任感が増えた、結婚で環境が変わったなどの出来事により期待や責任に押しつぶされるとストレスが増えて、うつ病を引き起こすことがあるようです。また、女性の場合は妊娠中や出産後の「産後うつ」といわれるうつ症状もあるようです。
中壮年期(約40歳~64歳頃)
中壮年期におけるうつ病は、仕事のプレッシャーや過労、経済的な問題など、うつ病に発展するようなストレス環境に置かれがちといわれています。
例えば、キャリアや家庭に対して責任感を強く感じている場合、常に精神的なストレスにさらされてしまうため、うつ病リスクを高めるようです。
高齢者(約65歳以降)
高齢者のうつ病では、身体的な健康問題や社会的な環境変化が原因となりやすいようです。例えば、加齢に伴う体力の衰えや、家庭内での立場の変化を受け入れられないストレスにより、うつ病を引き起こすといわれています。
うつ病の症状が出た際の対処法
うつ病の症状が出た際は、そのまま放置するのではなく適切な対処を心がけることが大切です。早期にケアを行うことで、うつ病の症状が軽度で済むかもしれないので、以下で紹介する対処法を覚えておきましょう。
うつ病の症状の対処法①ゆっくり休む
うつ病の症状がみられた際は、無理に活動を続けるのではなく、まずはゆっくり休むことが大切です。休養を取ることで心身が回復し、症状が軽減することがあります。
また、精神的にリラックスさせると気持ちを整理しやすくなるので、睡眠環境を整えて気のおもむくまま寝たり、気晴らしに軽い運動を行ったりすると良いでしょう。
うつ病の症状の対処法②精神科・心療内科へ受診する
症状が続いたり、悪化してきたと感じたりする場合は、早めに精神科・心療内科を相談しましょう。
自分の力だけで治そうとせず、早期に医師のサポートを受けることで、症状の悪化や再発防止につながります。また、カウンセリングなどを通して気持ちを打ち明けると、心の負担が軽くなり前向きに考えやすくなるので、1人で抱え込まず悪化する前に頼ることが大切です。
下記記事では、うつ病の治し方・治療法について詳しく解説しています。併せてご確認ください。
うつ病の症状がみられる方は新宿うるおいこころのクリニックへお越しください
うつ病の症状でお悩みの方は、新宿うるおいこころのクリニックへご相談ください。
臨床心理士、公認心理士在籍のカウンセリングや、医師による詳しい検査により、根本原因を探れたり気持ちを整理できたりします。
何となく不調を感じている場合でも、症状に合わせた治療提案が可能ですので、「これくらいは平気」「病院に行くレベルではない」と思わずお気軽にご相談ください。
よくある質問
うつ病の症状がみられる時の対処法はありますか?
うつ病の症状が現れたら、まずは無理せず休息を取ると良いです。リラックスできる環境で体と心を休め、信頼できる人に気持ちを話すことも助けになります。
うつ病の症状として1日中寝ていることはありますか?
1日中寝てしまう症状は、うつ病の症状に当てはまります。過眠がある場合、身体が動かず何もしたくない状態に陥り、ベッドから出られないこともあります。このような症状が出た際は、無理に活動をしようとせず、ゆっくり体を休めるようにしましょう。