うつ病を治療する際、治療選びはとても大切な要素となります。
薬物療法や精神療法、TMS治療などいくつか存在しますが、違いが分からず困っている方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、うつ病の治療法・治し方とそれぞれのメリットについて解説します。うつ病を治療する理由や放置するリスクも含めてお伝えするので、うつ病の治療で悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
このコラムの監修医師
新宿うるおいこころのクリニック 院長
大垣 宣敬
患者様が抱えているものは1人1人異なっており、症状の種類や程度も千差万別です。 私たちは患者様からお話を聞くことで悩みを共有し、ご希望や思いを丁寧に汲み取りながら、患者様中心の医療を共に実践していけるよう心がけています。
目次
うつ病を発症したら早めに治療を受けよう
うつ病を発症した際、最初は症状が軽く見えることもありますが、放置しておくと次第に悪化し日常生活に支障をきたします。
中には、引きこもりがちになったり自殺を考え出したりする場合もあるので、大きな問題を起こす前に適切な治療を受けることが大切です。
また、早めの治療により、早期回復が見込めたり、重症化を防げたりできるので、症状に気付いたタイミングで精神科・心療内科に相談しましょう。
うつ病を治療するべき理由
うつ病を治療せず放置すると、症状の悪化リスクが高まるため、仕事や人間関係に深刻な影響をもたらすといわれています。
例えば、うつ気分からイライラして家族に手を出したり、仕事での作業ミスが増えて信頼を失ったりすることがあるようです。最悪の場合、ストレスから追い詰められて自殺に至るリスクも危惧されています。
適切な治療をすることで、心身状態が改善されて普段通りの生活を取り戻せるので、早めに治しておくと良いです。
うつ病は放置すると慢性化してしまうリスクがある
うつ病を放置すると、慢性化して治療が長引く可能性があります。
治療に対する反応が薄くなると、回復に多くの時間と労力がかかってしまい、精神的なストレスにつながるようです。
また、早期のうちに治しておくことで、合併症や再発予防などの良い効果が期待できます。なるべく早く普段通りの生活を取り戻すためには早期治療が大切なので、些細な異変を見逃さないようにしましょう。
うつ病の悪化リスクについて知りたい方は、下記記事をご確認ください。
うつ病の治療法・治し方
それでは、うつ病の治療法・治し方について解説します。
治療を受ける際は、十分な休養と無理のない環境調整が大切となるので、心身の回復を最優先に考えながら治療に挑むようにしましょう。
うつ病の治療法・治し方①休養・環境調整
休養・環境調整では、休職により体をしっかりと休めたり、ストレスがない環境づくりをしたりします。
うつ病になった場合、過度なストレスや疲れが症状悪化を引き起こす可能性があるため、とにかく体を休めることが大切です。仕事や家庭の責任から一時的に解放され、心身のリラックスを優先すると回復が促されるようです。
メリット
休養と環境調整の最大のメリットは、心身の回復が促進されることです。
無理なプレッシャーやストレスから解放されることで、精神が安定して気分が改善したりストレス耐性が高まったりするようです。また、リラックスできる環境でゆっくり休むと、体力や免疫力の回復が期待できます。
休養・環境調整中の過ごし方
休養中は、無理に普段通りに過ごそうとするのではなく、体調に応じて休むことが大切です。
自宅では、栄養バランスのとれた食事をとったり光や音を心地よい状態に設定したりすると、より良い回復につながるといわれています。
また、気分が優れている日は、無理のない範囲で体を動かすこともおすすめです。軽い散歩やストレッチを行うことで、血液循環が良くなり体の隅々に酸素が届くため気分が改善されるようです。
うつ病の治療法・治し方②薬物治療
薬物療法では、うつ状態に効く成分を体内に届けることで、内側から気分の改善を図ります。薬は症状を検査したうえで処方されるため、回復に向けた最善のアプローチが行えるといわれています。
また、抑うつ気分が改善されることで、睡眠や食欲、活力の回復も期待できるようです。薬物療法では副作用が伴うケースもありますが、継続が大切となるので医師の指示に従い無理なく進めていきましょう。
メリット
薬物療法のメリットは、内側から症状改善を目指せることです。
神経伝達物質の働きを改善し気分の安定を図るため、継続した治療により無気力感や不安感などの症状が軽減されます。
また、患者に合わせて薬の種類や量を調整することにより、症状に合わせた最適な治療が叶うといわれています。
うつ病の治療で用いる薬
うつ病の治療で使用される薬には、主に抗うつ薬が処方されます。
代表的な抗うつ薬としては、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やノルアドレナリン・セロトニン再取り込み阻害薬(SNRI)、三環系抗うつ薬があげられます。
抗うつ薬のほかにも、不安や緊張が大きい場合は抗不安薬、不眠症状が出ている場合は睡眠導入剤など、症状に応じた薬が処方されます。
うつ病の治療法・治し方③精神療法
精神療法は、患者のメンタル面に働きかけて、気分の改善や思考の整理を目指す治療法です。
うつ病では、認知行動療法や対人関係療法を用いることで、固まった思考を柔軟化できたり精神的な負担が減ったりします。また、ストレスが発生した際の対処法も学べるので、再発防止や生活で生じる苦痛の軽減につながるようです。
メリット
精神療法の最大のメリットは、うつ病の根本的な原因や思考パターンにアプローチできることです。薬物療法では症状緩和が主な目的となりますが、精神療法では思考や行動を見直し、より良い方法で問題に向き合う力を身に付けられます。
また、カウンセリングを通して内に秘めた感情や悩みを共有すると、心の負担軽減につながり感情を解放しやすくなるといわれています。
主な精神療法
うつ病の治療では、認知行動療法や対人関係療法を用いることが一般的です。
認知行動療法は、ストレスにより視野が狭くなってしまった思考にアプローチする治療で、物事の受け取り方自体を変えていきます。対人関係療法は、うつ病の要因となった人間関係の問題を解決することでストレスの軽減を図る治療法です。
継続した治療により、少しずつ自己肯定感が向上されていき、精神安定が得られるといわれています。
うつ病の治療法・治し方④TMS治療
TMS治療は、脳の特定部位に磁気刺激を与えて、脳機能の改善を促す治療法です。
脳の神経活動の調整が可能なため、意欲や判断力の向上、不安感の軽減が叶うといわれています。
治療自体は副作用がほとんどないため、薬物療法が使用できない人や他の治療では続かず諦めてしまった人でも安心して受けられる治療です。
メリット
メリットとしては、身体的な負担が少なく治療時間も短いことがあげられます。
生活に支障をきたすことなく治療を受けられるため、治療に伴う精神的な負担が減らせるようです。
また、ピンポイントで脳の神経活動に刺激を与えることで、薬物療法に頼らず症状の改善を目指せるといわれています。
新宿うるおいこころのクリニックでもTMS治療を行っております。下記ページでは、TMS治療の効果や詳しいメリット、当院での治療メニューご紹介しているので併せてご確認ください
<新宿うるおいこころのクリニックのTMS治療の詳細はこちら>
TMS治療の仕組みと安全性について
TMS治療は、電流から生じる磁場を活用して脳内に刺激を届けています。
磁場が脳内の神経細胞に届くことで、働きを調整し脳の活動を活性化させるようです。また、うつ病患者の脳内は血流が悪いと考えられていますが、刺激により血流増加が期待できます。
このように、脳への刺激のみで他の部位に影響を与えることはしないため、副作用がほとんどなく安全性も高いといわれています。
TMS治療についてもっと知りたい方は下記記事をご覧ください。
うつ病の治療法・治し方⑤その他の治療法
うつ病の治療では薬物療法や精神療法のほかにも、運動療法や高照度光療法、修正型電気けいれん療法(m-ECT)などを用いることもあります。
以下では、それぞれの治療の特徴について解説します。
運動療法
運動療法は、軽いウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を行う治療法です。
体を動かすことで、セロトニンの分泌やストレスホルモンの抑制を目指しており、リフレッシュ効果の獲得が期待できます。治療は薬物療法と併用されることが多く、無理のない程度で続けていくと抑うつ症状が和らぐといわれています。
高照度光療法
高照度光療法は、高照度の光を1日1~2時間程度浴びる治療法です。
治療では、2500ルクス以上の強い光を浴びると、生活や睡眠のリズムが調整されて一部のうつ病や睡眠障害の改善につながるといわれています。
参考
うつ病ABC|すまいるナビゲーター
高照度光療法|こころの耳
修正型電気けいれん療法(m-ECT)
修正型電気けいれん療法(m-ECT)は、全身麻酔と筋肉けいれんを抑える薬を用いて脳に刺激をおくる治療法です。
重度のうつ病にかかっている人や薬物療法が難しい人に対して使用する治療法で、刺激を与えてけいれんを起こすことで脳の機能回復ができるといわれています。
うつ病でお悩みの方は新宿うるおいこころのクリニックへご相談ください
今回は、うつ病の治療法・治し方とそれぞれのメリットについて解説しました。
うつ病の治療法では、薬物療法と精神療法が使われるケースが多いですが、そのほかにもTMS治療や運動療法などがあります。それぞれに異なる特徴やメリットがあるので、医師と相談しながら症状に合うアプローチ法で改善を目指しましょう。
新宿うるおいこころのクリニックでは、うつ病の診断・治療に対応しています。
治療では、薬物療法や心理療法のほかにTMS治療を採用しているため、より効果的な回復を目指せます。うつ病を早期改善させるためには、正しい治療と継続したサポートが大切です。
「なんとなく不安を感じている」
「再発が怖くて仕方ない」
などのお悩みにも対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
自宅でできるうつ病の治し方はありますか?
自宅でできる治し方としては、規則正しい生活習慣や適度な運動、リラックス法の実践などが良いといわれています。また、ストレス管理や十分な睡眠などもおすすめですが、完完治を目指すためには専門的な治療が大切となるので、自宅での治し方を実践しながら病院での治療を並行して行うと良いです。
うつ病のセルフチェック診断に当てはまったら治療するべきですか?
セルフチェック診断でうつ病の兆候が見られた場合、早めの治療がおすすめです。診断結果に当てはまる症状が続く場合、放置すると症状が悪化する可能性があるので早期対策を心がけましょう。