「座っていると脚を動かしたい衝動に駆られる」
などの脚の不快感は、レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)かもしれません。
症状は軽度であればセルフケアでの改善が見込めるので、自覚症状を知っておき正しく対策することが大切です。
そこでこの記事では、原因や自覚症状、対策法について解説します。症状に悩まされている方や原因を知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
目次
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)は脚がむずむずする疾患
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)は、脚にむずむずとした不快感がみられる疾患です。
症状は、夕方~夜間にかけて強まる傾向にあり、一度不快感が出ると脚を動かしたい衝動を抑えきれなくなるようです。
また、自覚症状のある患者の多くにPLMS(周期性四肢運動障害)がみられることから、ドーパミンに作用する治療によって改善できると考えられています。
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)は女性にみられることが多い
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)は、女性に多くみられるようです。特に妊娠期の女性に多いとされており、多産の女性は男性に比べてRLSの有病率が3倍以上高いというデータもあります。
また、喫煙や飲酒をしない妊婦の有病率は4.5%であるのに対し、喫煙や飲酒をする場合は有病率が10.2%となっており、生活習慣がレストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の発症に影響を与えると考えられています。
参考
・標準的神経治療:Restless legs症候群|日本神経治療学会
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の原因
以下では、レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の原因について解説します。
発症には、鉄不足やドーパミンの異常が関係していると考えられているので、それぞれの原因について詳しくみていきましょう。
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の原因①脳内の鉄不足や一部物質の増加・減少
鉄不足やフェリチン減少、トランスフェリンの増加がレストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の発症に関与しているといわれています。
鉄は神経伝達物質であるドーパミンの生成に不可欠であり、鉄不足がドーパミンのバランスを崩すことで、神経が興奮しやすくなるようです。
また、フェリチンとトランスフェリンは、体内で鉄分を貯蔵したり運搬したりする役割を担っているタンパク質です。これらの物質に異常が起こり、体内の鉄供給が不安定になると、鉄不足から症状が引き起こされると考えられています。
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の原因②夕方~夜間にかけて起こるドーパミン 減少
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の原因として、ドーパミンの関与が考えられています。ドーパミンは運動機能を調整する役割を担っていますが、夕方~夜間にかけて分泌が低下する傾向にあります。
体内でドーパミンが減ると、脳内で適切な情報処理がされなくなり、
「足がムズムズする」
「ソワソワしてどうしても動かしたい」
といった症状が出るようです。
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の原因③過剰となったグルタミン酸による過剰興奮
グルタミン酸は体内に存在するアミノ酸のことで、免疫機能のサポートや筋肉強化など、さまざまな場面で細胞のエネルギー源になるといわれています。
グルタミン酸自体に問題はありませんが、過剰に分泌されると、一部の神経が過剰に興奮してしまい、症状を引き起こす可能性があると示唆されています。
参考
・標準的神経治療:Restless legs症候群|日本神経治療学会
・レストレスレッグス症候群の神経治療学|鈴木 圭輔(獨協医科大学脳神経内科)
・Restless legs syndrome(RLS)の病院・病態|宮本 雅之(獨協医科大学看護学科研究科/看護各部看護医科学)
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の自覚症状
ここでは、多くみられる自覚症状について解説します。
座っている時に脚がそわそわする
座っている時に脚がそわそわする感覚は、映画館やレストラン、勉強中にみられるようです。
そわそわした不快感は我慢しても治らず、脚を動かさずにはいられなくなるといわれています。また、症状を和らげようと貧乏ゆすりや脚組みをしても、再度そわそわしてしまい落ち着きがなくなる傾向にあります。
横になって目をつぶっている時に体を動かしたくなる
横になって目をつぶっている時に体を動かしたくなる感覚は、寝る前や就寝中に強く現れるようです。体を休めようとしても、むずむずとした不快感が出るため、なかなか寝付けず睡眠の質が低下すると考えられています。
睡眠中以外にも、美容院で仰向けになっている時やマッサージを受けている時も、同様の感覚が生じるケースがあるようです。本来であればリラックスできる環境で症状が出るため、さらにストレスを感じたり、施術を避けたりする人もいるといわれています。
じっとしていると脚がムズムズする
じっとしていると脚がムズムズする感覚は、会議中や集会のなど席を立てない状況で起こるようです。不快感は、静止状態が続くほど強くなり、体全体にムズムズ感が広がるケースもあるといわれています。
症状は少し歩くことで解消されるようですが、むやみに立ち上がれない場面では対処が難しく、大きな苦痛につながると考えられています。
同じ姿勢が続いていると脚を動かしたくなる
レストレスレッグス症候群(RLS)の患者は、同じ姿勢が続いていると脚を動かしたくなる傾向にあります。例えば、デスクワークや移動中など、常に同じ体制でいる時間が長い状況では、むずむず感や不快感が強くなるようです。
体を動かしたり姿勢を変えたりすることで症状は軽減しますが、周りから落ち着きがないと誤解されるケースもあるといわれています。
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の症状を和らげる治し方
症状が続くと日常生活に大きな影響を与えることがあります。ここでは、脚の不快感を和らげるための対処法・治し方を解説します。
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の症状を和らげる治し方①寝る前にマッサージをしてむくみをとる
寝る前にマッサージをしてむくみをとることで、血行促進につながり症状が和らぐといわれています。マッサージを行う際は、脚のだるさをとるように、足首から心臓に向かって優しく揉みほぐしてみましょう。
簡単にできるマッサージ法は以下のとおりです。
- 足の裏を指の腹で押すようにマッサージした後、拳で足の甲をさするように老廃物を流す。
- ふくらはぎの筋肉をつかみ、膝裏に向かって親指で指圧をする。
- 足首から膝、太ももに向かって脚全体を優しく揉みほぐす。※両手で包み込み、押し上げるようにマッサージすると良い。
- 拳頭を使って脚全体を刺激。太ももの付け根に向かって流すようにさする。
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の症状を和らげる治し方②生活習慣に気を付けて貧血を防ぐ
鉄不足が関係しているため、貧血を防ぐ生活習慣を意識すると良いです。
例えば、
「十分な睡眠を確保する」
「朝食をしっかりとる」
「カフェインの摂取を控える」
などの見直しが効果的といわれています。また、食事での栄養補給も鉄不足の解消につながるので、積極的に取り入れてみると良いでしょう。
鉄分の補給に役立つ食材は、以下のとおりです。
- レバ-・赤身の肉類・あさり・牡蛎・大豆製品・緑黄色野菜・海藻
- 魚・肉・卵・大豆製品・乳製品
- 酢・柑橘類・梅干し
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の症状によって支障をきたしている場合は病院を受診しよう
症状により支障が出ている場合は、病院を受診して治療を受けることが大切です。
症状が軽度であれば、セルフケアで改善できるケースもありますが、慢性的な不快感が続いている場合は、放置により悪化する可能性が高まります。
他の疾患の影響も考えられるので、
「不快感から眠れない日が多い」
「症状が続いていることでイライラする」
などの症状がある場合は、一度病院に受診してみましょう。
原因別の治療法が知りたい方は、下記記事で詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください。
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の治療法
ここでは、病院で行うレストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の治療法について解説します。
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の治療法①軽度の場合は非薬物療法
症状が軽度の場合は、生活を見直す非薬物療法を用いることが一般的です。
例えば、睡眠時間の調整や食事改善など、日常生活で体に負担をかける行動を減らすと良いとされています。
また、アルコールやニコチンも症状悪化につながると考えられているため、禁酒や喫煙により改善を目指せるようです。
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の治療法②鉄剤追加などの薬物療法
非薬物療法で改善がみられない場合や症状が重度の場合は、薬物療法を用いることが一般的です。
薬物療法では、鉄剤により血液中の鉄分を補充したり、ドーパミン作動薬により不快感を抑えたりすると良いといわれています。また、鎮痛剤としても使われるオピオイドを使用することで、症状が治まるようです。
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)でお悩みの方は、新宿うるおいこころのクリニックへご相談ください
今回は、レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の原因や自覚症状、対策法について解説しました。
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)は脚に不快感が現れる病気で、ムズムズ感やソワソワ感などの自覚症状が出ることが特徴です。
原因は、鉄不足やドーパミンの異常と考えられており、軽度の場合はセルフケアにより改善が見込めるようです。症状により支障がある際は、精神科・心療内科に行くことで適切な治療提案を受けられるので、悪化する前に相談してみましょう。
心療内科うるおいクリニックでも、レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の治療に対応しています。治療では、症状からくる睡眠障害の治療も対応することで、症状に対するトータルケアが可能です。
ご予約は、公式HPやLINEから24時間承っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
<新宿うるおいこころのクリニックで行うレストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の治療についてはこちら>
よくある質問
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)は何科を受診すればいいですか?
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の診断や治療を受けるためには、精神科、心療内科への受診がおすすめです。
精神科・心療内科では、ストレスや心理的要因も考慮した上で、症状の緩和や生活習慣の改善に向けた治療を行います。睡眠不足や抑うつ気分など、症状に応じた治療も可能ですので、総合的な回復を目指せます。
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の原因を教えてください
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)は、鉄不足やドーパミンの機能異常が関係していると考えられています。そのほかにも、遺伝的要因やADHDとの関連も指摘されており、発症原因は多岐に渡ります。