うつ病は、十分な休息をとり心身のバランスを整えることで回復が見込めます。
しかし、いざ休養をとってもどう過ごせばいいか分からず、不安に思う方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、自宅での過ごし方やNG例について、大切なポイントを含めてお伝えしていきます。うつ状態の回復には正しいアプローチが欠かせないので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
鬱になると、何をしたらいいのか分からないと悩む方も
鬱になると、気力が失われたり集中力が低下したりすることから「何をしたらいいのか分からない」「どこから手を付ければ良いのか分からない」と悩む人も多いようです。
また、日常生活の簡単な動作も負担に感じ、生活が困難になるケースも少なくありません。
このような状況では焦りや不安がさらに強まり、症状が悪化することもあります。何をしたらいいのか分からない場合は周囲のサポートを受け入れ、休息をとりながらゆっくりと治療を進めることが大切です。
鬱の時はとにかく体を休めよう
鬱になった際は、余計なことは考えずとにかく体を休めることが大切です。
動いていないと気が済まない方もいるかもしれませんが、無理をすると回復が遅れる可能性があります。
早期回復を目指すためにも、落ち着いてリラックスできる環境を整え、十分に休むようにしましょう。現状を責めず体調に合わせて休むことで、少しずつ回復できます。
うつ病になった時の自宅での過ごし方
以下では、うつ病になった時の自宅での過ごし方をお伝えします。無理をせず、好きなことをしたり休んだりすることが回復につながるので、ぜひ実践してみてください。
うつ病になった時の自宅での過ごし方①好きなことをする
好きな音楽を聴く、映画やドラマを見る、趣味をするなどの行動は気分転換や心が楽になるきっかけとなります。
また、気分が安定しない時は横になったり、話したいタイミングで連絡をとったり、食欲が湧いたら食べたりと、心身の要求に従い無理せず過ごしてみると良いでしょう。
うつ病になった時の自宅での過ごし方②1日のタスクを決めておく
1日のタスクを決めておくと、過ごし方が分からないことで生じる焦りやストレスを減らせたり、達成感から自信が生まれたりします。
タスクを設定する際は、ストレッチを行う、食器を洗う、短い散歩を取り入れるなど確実に達成できる簡単なものにすることが大切です。無理せず取り組める目標は生活リズムを整えるきっかけになり、心身の安定が促されます。
うつ病になった時の自宅での過ごし方③体調に合わせて過ごし方を変える
気分がすぐれない際は休んだり、体調が良い日は軽い運動をしたりとコンディションに合わせて過ごし方を変えると良いです。
活動をしている場合は、少しでも異変を感じた際はすぐに中断して体を休ませるようにしましょう。自分自身を大切にし、体調に敏感になることが回復を目指すうえで大切です。
うつ状態の過ごし方NG例
無理して遠出をしたり過度な飲酒をしたりすると、回復が遅れるといわれています。
うつ状態を治したい際は、以下でお伝えする過ごし方のNG例に注意しながら治療を進めていきましょう。
うつ状態の過ごし方NG例①無理して遠出をしてしまう
うつ状態の時に無理して遠出をすると、心身に余計な負担をかけるきっかけになりかねません。また、長距離移動は想像以上にエネルギーを消耗するため、うつ状態が悪化する可能性があります。
気分転換としての旅行はおすすめですが、体調がすぐれない場合は場所を変更したり、家で休んだりするようにしましょう。
うつ状態の過ごし方NG例②夜更かしや過度の飲酒をする
夜更かしをすると、集中力や意欲低下、疲労感、イライラなどのうつ状態を悪化させるといわれています。
また、うつ病はアルコール依存症の併発が多いとされ、依存症になると回復が遅くなったり薬が効かなくなったりします。
飲酒量の変化がうつ病の改善に関わるという調査結果もあるので、うつ状態を治したい際はアルコールに気を付けましょう。
参考
・夜型社会の睡眠問題|堀 忠雄(広島大学名誉教授)生理心理 31巻2号 2014
・うつ病を合併するアルコール依存症の治療と治療ゴール|齋藤 利和
うつ状態の過ごし方NG例③大丈夫だろうと頑張り過ぎる
うつ状態の時に「大丈夫だろう」と頑張り過ぎることは、症状を悪化させる原因となります。例えば、無理をして仕事や家事を続ける、我慢して人前に出るなどの行動はNGです。
責任を感じてしまうかもしれませんが、回復のためには休息が大切となるので、心身のストレスサインを無視せず休ませてあげましょう。
うつ病で休職をした時はどう過ごす?
うつ病で休職をした時は、仕事のことを考えずゆっくりと休みましょう。元気になってきたら気分転換のために趣味を楽しんだり、友達に会ったりすることがおすすめです。
疲労がとれない場合は気の向くままに眠ると、精神的にも身体的にも回復できるでしょう。
うつ病で休職した時の過ごし方例
うつ病で休職をしたが過ごし方が分からないという方向けに、過ごし方の例をご紹介します。
- カウンセラーと面談をして悩みや不安を打ち明ける
- 転職に向けて少しずつ動き出す
- 治療を続けながら趣味を見つける
- 自分に合うリラックス法を習得する
- 自分と向き合う時間にする
- 復職に備えて生活リズムを合わせる
- 気分が安定してきたら体力づくりをする
- 友達や家族と会い気分転換をする
下記記事では、うつ病で休職する際に必要な診断書についてやもらうべきタイミングなど詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
うつ病の回復過程別の過ごし方
うつ病は、「急性期」「回復期」「再発予防期」の段階を経て徐々に回復していきます。
うつ病になった際は各段階の特徴を理解し、それぞれの過程で以下の過ごし方を実践することが大切です。
うつ病の回復過程別の過ごし方①急性期はストレスから離れると良い
急性期は、抑うつ気分や意欲低下、不眠、気分の落ち込みなど代表的なうつ症状が強く出る期間です。
不安やイライラを感じやすく、少しのストレスでも悪化を招く可能性があるので、とにかくストレス源から離れて休むことが大切です。
自宅でも負担になる行動や無理は避け、ゆっくりと体を回復させるようにしましょう。
うつ病の回復過程別の過ごし方②回復期は体調の波に気付くようにする
回復期は、強い抑うつ気分などは減少するが、気分の波がみられる期間です。
周りから元気に見えても、どこかだるい、人と会いたくない、意欲が湧かないなどの症状が続いていることがあります。回復期では、無理をすると急性期に戻ってしまう可能性があるので、自分のペースで復帰を目指すことが大切です。
うつ病の回復過程別の過ごし方③再発予防期は再発防止に向けた取り組みを
再発予防期は、症状が安定して普段通りの生活を送れるようになる期間です。
再発予防期では、再発防止に向けてストレスを溜めないよう意識したり、生活習慣に気を付けたりして過ごすと良いです。社会復帰も可能ですがうつ病は再発リスクが高いため、治療の継続が大切となります。
鬱の時の過ごし方として心がけること
ここでは、鬱の時の過ごし方として心がけるポイントをお伝えします。
体調に寄り添い、気分転換や休息をとると早期回復を目指せるので、鬱になった際は実践してみましょう。
鬱の時の過ごし方として心がけること①できることから少しずつ取り組む
うつ状態の時は、少しの作業でもストレスに感じることが多いです。無理に動くと症状を悪化させるので、できることから少しずつ取り組むようにしましょう。
例えば、少しだけ運動する、散歩に出かけてみるなど、簡単なタスクを決める良いです。目標設定をする際は、「絶対にしなくてはいけない」とプレッシャーをかけるのではなく、「できたらしよう」くらいの軽い気持ちで考えることが大切です。
鬱の時の過ごし方として心がけること②日光に当たる時間を作るようにする
日光を浴びることで、体内のメラトニン分泌が活性化するため気分の改善が促されます。日光浴は、窓越しでも効果が期待できるので、毎日同じ時間にカーテンを開ける習慣を付けると良いです。
一方、ブルーライトの光を多く浴びたり、夜間も部屋の電気が明るかったりすると、メラトニンの分泌抑制の原因になるので気を付けましょう。
参考
・概日リズム調節における光と食事の影響に関する研究動向|福田 裕美
鬱の時の過ごし方として心がけること③バランスの良い食事や睡眠環境を意識する
不健康な食事は体調を崩しやすく、気分が不安定になったり疲れやすくなったりとメンタルヘルスに悪影響を及ぼします。食事をする際は野菜やタンパク質、ミネラルをバランスよく摂取し栄養が偏らないよう意識しましょう。
また、質の良い睡眠は心身を回復させるうえで欠かせません。睡眠時間だけでなく睡眠環境にも気を配り、寝具を変えたり就寝前のスマホを控えたりすることが大切です。
鬱の時は病院を頼り、過ごし方のアドバイスを受けることも大切
鬱の時は、自己判断や自己流の対処で済ませるのではなく、病院で過ごし方のアドバイスを受けることが大切です。
医師やカウンセラーは正しい知識のもと症状を判断し、状態に合った過ごし方を提案してくれます。適切な対策を通して効果的かつ効率的な回復を目指せるので、積極的に相談するようにしましょう。
うつ状態で病院に行かず過ごしてしまうリスク
うつ状態なのに病院へ行かず放置してしまうと、症状が慢性化し回復までの期間が長引いてしまいます。また、自殺念慮や自傷行為のリスクも高まるため、最悪の事態を引き起こしかねません。
人間関係や仕事などあらゆる面で影響を及ぼし、悪循環を招く可能性があるので、うつ状態になったら病院へ行くようにしましょう。
うつ病でお困りの方は、新宿こころのうるおいクリニックにご相談ください
今回は、うつ状態の時の自宅での過ごし方やNG例について解説しました。
うつ状態になると、不安や焦りが強まるため悪化リスクが高まります。早く治したからといって無理に動くのはNGなので、鬱になったらとにかく体を休めて、体調に合わせて運動をしたり日光を浴びる習慣を付けたりすると良いでしょう。
うつ状態の根本改善を目指したい方は、新宿うるおいこころのクリニックがおすすめです。
新宿うるおいこころのクリニックでは、経験豊富な医師が患者様に寄り添う治療を提案。
1人ひとりに合わせた症状改善を目指し、自由診療もご用意しているため、「投薬を控えたい」「通院負担を減らしたい」などのご要望にもできる限り対応いたします。
臨床心理士、公認心理士在籍のカウンセリングもございますので、皆様のご来院を心よりお待ちしております。
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よくある質問
うつ病の自宅での過ごし方として、ゲームをしても良いですか?
症状回復の手段として、ゲームをすることは良いとされています。しかし、長時間のプレイや夜更かしをしてしまうと負担になるので注意しましょう。
うつになったら心がけることを教えてください
うつになった時は、無理をせず十分に体を休めることが大切です。体調に合わせた行動を意識し、負担にならない範囲で軽い運動やストレッチをすると良いです。
異変や不安を感じた際は、担当医に相談することで適切な対処法を教えてもらえるので、1人で抱え込まないようにしましょう。