なかなか治らない自律神経失調症。
検査をしても異常はみられないことが特徴ですが、生活のちょっとした動作がきっかけとなり、改善につながるかもしれません。
今回は、自律神経失調症が治ったきっかけや日常生活で気を付けることについて解説します。なりやすい人の特徴やセルフチェック診断テストもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
目次
自律神経失調症とは
自律神経失調症とは、自律神経の乱れにより心身にさまざまな不調がみられる状態のことです。通常、自律神経は交感神経と副交感神経がバランス良く働くことで、正常なコントロールを保っていますが、どちらかが過剰に働いたり動きが低下したりしてしまうと、体内バランスが乱れて不調につながります。
自律神経が乱れる原因は一つだけではなく、さまざまな要因が関係していると考えられており、人によって現れる症状は異なります。
また、検査をしても異常はないことが特徴なので、原因不明の不調に悩まされている場合は自律神経失調症を疑うと良いかもしれません。
自律神経失調症になりやすい人の特徴
不健康な生活習慣を送っている人は、自律神経失調症になりやすいと考えられています。
例えば、
「昼夜逆転した仕事に就いている」
「夜遅くまでゲームをしている」
「湯船につかる習慣がない」
などの生活で、無意識に体に負荷をかけていると症状を引き起こすようです。
そのほかにも、ストレスが自律神経の乱れにつながると考えられているので、ストレス耐性が低い人や悩みを抱えやすい人、頑張り過ぎてしまう人などはなりやすいといわれています。
自律神経失調症は適切なケアにより治せる
自律神経失調症は、適切なケアにより治せる病気といわれています。まずは、生活習慣を正したりストレスを減らしたりすることが大切ですが、セルフケアで改善しない場合は病院へ相談すると良いでしょう。
また、病院で治療を受ける場合も、並行してセルフケアを続けておくと効率的な回復を目指せるので、日常のケアを怠らないことが大切です。また、症状は長引くことが多いですが、継続した治療により徐々に改善するので根気強く続けるようにしましょう。
自律神経失調症をセルフチェック診断
以下の項目を参考に、自律神経失調症に影響を及ぼすストレス度をチェックしてみましょう。
10個以上当てはまっている方は、早めに医療機関へ相談すると良いです。9個以下の場合でも、気になる症状がある方はかかりつけ医やお近くの医療機関へ相談してみましょう。
- 頻繁に頭痛がする、頭が重いと感じる
- 胸を圧迫されるような息苦しさがある
- 肩こりが目立つ
- 腰痛がある
- めまいがする
- 全身のだるさがある
- のどの詰まりを感じる
- 手足のしびれがある
- 手足の震えがある
- 下痢や便秘になりやすい
- 将来に対する自信がない
- 朝の起床時に気分がすぐれない
- 朝早く目が覚めてしまう
- やる気が続かず途中で諦めてしまう
- なんとなく不安を感じる、イライラする
- 仕事をする気分になれない
- 物事をなかなか決断できない
- 気軽に人に会う気にならない
- 集中力が続かない
- 突然死にたいと感じる
参考
・一般社団法人日本臨床内科医会|わかりやすい病気のはなしシリーズ19 自律神経失調症
自律神経失調症が治ったきっかけと方法をチェック
以下では、自律神経失調症が治ったきっかけと方法について解説します。
自律神経失調症の治ったきっかけ①ストレスを減らすために転職した
ストレスを減らすために転職をすると、自律神経失調症が改善されることがあるようです。多くの人が、仕事のストレスやプレッシャーを抱えていますが、心身への負担が続くと、自律神経を乱す原因になるといわれています。仕事が原因でストレスを感じている場合は、転職を考えてみると良いかもしれません。
また、ストレスは職場だけでなく、人間関係や家庭の問題、日常生活でのプレッシャーなどから発生することもあります。ストレスの原因を特定し軽減することが、自律神経失調症を治すきっかけになるようです。
自律神経失調症の治ったきっかけ②カフェイン摂取を控えた
自律神経失調症の改善において、カフェイン摂取の制限が治るきっかけになったケースがあるようです。
カフェインは、交感神経を刺激する作用を持つと考えられているため、過剰に摂取すると自律神経のバランスを崩すことがあります。
カフェインは、コーヒーだけでなく紅茶や緑茶、コーラなどにも含まれているので、日常的に摂取量をチェックしたり意識して控えたりすると良いかもしれません。
自律神経失調症の治ったきっかけ③寝る前にスマホを触るのをやめた
寝る前にスマホを触る習慣をやめたことが、自律神経失調症を改善するきっかけになったケースがあるようです。
スマホの画面には、ブルーライトと呼ばれる光が発せられており、寝る前にみると体内時計を乱して睡眠の質を悪くさせると考えられています。通常であれば副交感神経が優位になる時間に交感神経が優位になってしまうため、寝る前はスマホを控えると自律神経が整いやすくなるといわれています。
自律神経失調症の治ったきっかけ④病院に行き薬を処方してもらった
自律神経失調症が治ったきっかけとして、病院へ行き適切な薬を処方してもらったこともあげられます。
「病院に行くのが面倒くさい」
「まだ症状を我慢できる」
などの理由から受診していない方もいるかもしれませんが、病院に行くことで自己ケアでは補えない根本改善が期待できるので、一度相談してみると良いでしょう。
自律神経失調症の治ったきっかけ⑤自律訓練法を実践した
自律神経失調症が辛い場合、自律訓練法の導入により改善したケースがあるようです。
自律訓練法とは、自己催眠をかけて意識的に体をリラックスさせる方法です。定期的に行うことでリラックス効果が期待でき、自律神経を整えられるといわれています。
一人で簡単に行えるので、下記で説明するやり方に沿って試してみましょう。
自律神経失調症の治療で行う自律訓練法の簡単なやり方
自律訓練法は第7段階までありますが、ここでは簡単にできる第2段階までをご紹介します。取り組む際は、以下の準備を済ませた上で行いましょう。
- (1) できるだけ静かで落ち着ける環境を選ぶ。ネクタイや眼鏡、ベルトなどの身体を締め付けるものは外す。空腹状態は避ける。排尿は済ませておく。
- (2) (1)の準備が終わったら、ベッドなどで仰向けになる又は椅子に腰掛ける
上記の準備が終わったら、目を閉じた状態で以下の流れに沿って自律訓練法を行います。
- ① 「気持ちが落ち着いている」と4,5回心の中で繰り返す
- ② 利き手から一つずつ、両手両足の重さを感じる。
その際「右腕が重い」→「気持ちがとても落ち着いている」と心の中で繰り返す - ③ 次に、両手両足の温かさを体感します。
②と同様に、利き手から一つずつ「右腕が温かい」→「左腕が温かい」→「右足が温かい」と心の中で繰り返しましょう。 - ④ ①~③までの工程が終わったら、催眠を解くための消去動作を行います。
目を閉じたまま握りこぶしを作り、グーパーを4,5回した後、思い切り背伸びと深呼吸をしてから目を開けましょう。
また、下記記事では自律神経失調症の改善のきっかけや再発サインについて詳しく解説。
自律神経失調症の治し方についてまとめていますので併せてご覧ください。
参考
・行動変容の理論と技法 自律訓練法|久村正也(北海道医療大学医療科学センター)
自律神経失調症の治療で使う薬
自律神経失調症の治療では、症状に応じてさまざまな薬が処方されます。以下では、対症療法で使われる薬と精神面の症状に対して使われる薬についてお伝えします。
自律神経失調症の治療で使う薬①対症療法では症状に合わせた薬
対症療法とは、病気により生じる不調の改善を目的とした治療です。
例えば、自律神経失調症に伴い便秘がみられる場合は整腸剤、頭痛が酷い場合は漢方など、症状に応じた薬を用いることでそれぞれの症状緩和が期待できます。
自律神経失調症の治療で使う薬②精神面には抗うつ薬や抗不安薬
ストレスや不安からくる精神的な不調がみられる場合は、抗うつ薬や抗不安薬を用いた治療を行うケースがあります。
また、自律神経失調症として起こる不眠症状により、さらに体内バランスが乱れる悪循環に陥っている場合でも、睡眠導入剤などの薬を活用することで全体的な症状改善が期待できます。
下記記事では、自律神経失調症になると病院で処方される薬や、投薬以外での治療法について解説しています。
受診の目安や治療体験談についてもまとめていますので併せてご覧ください。
参考
・一般社団法人日本臨床内科医会|わかりやすい病気のはなしシリーズ19 自律神経失調症
自律神経失調症を治すために日常生活で気を付けること
以下では、自律神経失調症を治すために日常生活で気を付けることをご紹介します。
自律神経失調症を治すために日常生活で気を付けること①ストレス解消法を取り入れる
自律神経失調症を治すためには、ストレス解消法を取り入れて定期的にリフレッシュすると良いです。ストレスが溜まっていないと感じても、実は体が限界を迎えている場合もあるので「決まった曜日に○○する」と習慣付けることがおすすめです。
おすすめのストレス解消法は、以下のとおりです。
- 奮発して美味しいものを食べる
- 好きな音楽を聴く
- 温泉に行ってリフレッシュする
- 映画をみる
- 家族や友人と話す
- 大声で歌ったり踊ったりする
自律神経失調症を治すために日常生活で気を付けること②メリハリのある生活をする
メリハリのある生活とは、仕事や遊びのバランスが取れており、適度に息抜きをしながら活動的に動ける生活のことです。
例えば、
「家に帰ったらオフモードで休憩する」
「休日は仕事を忘れて遊ぶ」
などの行動が該当し、生活にメリハリをつけることで、体内バランスが整いやすくなったり生活リズムを保てたりするので日々意識してみましょう。
自律神経失調症を治すために日常生活で気を付けること③考え方を変えてみる
自律神経失調症を治すためには、一つひとつの物事に対してポジティブに考えることも大切といわれています。
ネガティブな思考や過度な不安は、精神的なストレスを与えて自律神経を乱すきっかけになり得るので、日頃から前向きに考える癖をつけておくと良いです。
また、常に感謝の気持ちを持ったり、日常の小さな喜びに目を向けたりすると、自然と気持ちが明るくなるので日々意識してみましょう。
新宿うるおいこころのクリニックでは、うつ気分や疲労感が伴う自律神経失調症の治療に対応しています
今回は、自律神経失調症が治ったきっかけや日常生活で気を付けることについて解説しました。
自律神経失調症は、カフェイン制限や転職がきっかけで治る可能性があり、そのほかにも生活習慣改善やストレス管理が大切となります。
軽度であればセルフケアでの改善が見込めますが、症状が続いている場合は病院での治療が大切となるので、
「病院に行くのが面倒くさい」
「まだ大丈夫」
と思わず早めに受診しましょう。
新宿うるおいこころのクリニックでは、自律神経失調症の治療に対応しています。
自律神経失調症の症状は幅広く、人によっては睡眠障害や不安障害を併発するケースもありますが、適切な治療により改善を目指せます。
ストレスや不安に対するカウンセリングも行っていますので、一人で悩まずお気軽にご相談ください。
<新宿うるおいこころのクリニックで行う自律神経失調症の治療についてはこちら>
よくある質問
自律神経失調症が疑われる場合は何科に行くと良いですか?
自律神経失調症が疑われる場合、まずは症状に合わせた診療科にいくことがおすすめです。
頭痛が酷い場合は脳神経外科、胃の不調がみられる場合は消化器内科、疲労感が酷い場合は精神科・心療内科など、最も気になる症状を基準にクリニックを選ぶと良いです。
症状に合わせた診療科を受診しても改善しない場合は、ストレスが原因である可能性が高いので精神科・心療内科へお越しください。
自律神経失調症はどのような病気ですか?
自律神経失調症は、自律神経の乱れにより起こる病気です。自律神経は生活習慣やストレスにより乱れるので、症状が軽度であればセルフケアで改善できるケースもあります。