傷病手当金はメンタル不調でも受け取れる?給付条件やデメリットなど疑問を解説

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傷病手当金はメンタル不調でも受け取れる?給付条件やデメリットなど疑問を解説

傷病手当金とは、業務外の病気やケガで休職した際にもらえる給付金のことです。
休職期間中の生活を保障する制度で、収入がない状態での経済的不安が軽減されます。

傷病手当金を受け取ることで治療に専念できますが、給付によりいくつかのデメリットもうまれるので、給付条件やメリット・デメリット、もらう際の注意点を把握しておきましょう。

目次

傷病手当金とは

傷病手当金とは

傷病手当金は、業務外の病気やケガで働けなくなった場合に支給される給付金のことです。傷病手当金には、業務外の事柄が原因であること、休職する間に給料が支払われないこと、働けない状態であることなどいくつかの条件があり、事業主と医師からの証明が必要となります。
金額は、支給日より通算して最大1年6カ月受け取ることができ、経済的な不安の軽減や治療に専念するきっかけにつながります。

メンタル不調で休職した際も傷病手当金がもらえる

うつ病や不安障害、パニック障害などの精神的な病気で休職した場合も、傷病手当金の対象となります。
心の健康問題は見過ごされがちですが、制度の利用により、精神的負担を減らしながら安心して療養期間を過ごせるでしょう。
ただし、メンタル不調の原因が勤め先に起因する場合は労災の対象で、傷病手当金の対象外となる為、別の制度を活用すると良いかもしれません。

参考
・傷病手当金について(制度説明)|全国健康保険協会

傷病手当金の給付条件

傷病手当金の給付条件

傷病手当金を受け取るためには、いくつかの条件を満たしていることが大切です、以下では、具体的な給付条件について解説するので、該当するかチェックしてみましょう。

傷病手当金の給付条件①業務外の事柄が原因で起こった病気であること

1つ目の条件は、業務外に発生した病気やケガであることです。
例えば、旅行中の交通事故や家庭内トラブルによる精神疾患、日常生活でのケガの場合、業務とは関係ないため傷病手当金を受け取れます。
業務中に発生した場合、傷病手当金は受け取れませんが労災保険の対象となるため、別の制度が活用できることを覚えておきましょう。

傷病手当金の給付条件②働くことが難しい状態である

2つ目の条件は、精神・身体的に働けない状態であることです。
働けずに収入を確保できないことが条件となっており、医師による労務不能の判断が大切となります。
入院している場合はもちろん、通院中や自宅療養中でも医師が働けないと判断したら対象となるので、該当する方は申請してみると良いでしょう。

傷病手当金の給付条件③連続する3日間を含んだ4日以上仕事を休んでいる

3つ目の条件は、連続する3日間を含んだ4日以上仕事を休んでいることです。4日目以降から支給対象となり、最初の3日間は有休や公休を含んで計算して問題ありません。
また、連続する休みは3日間でよいため、4日目は出勤して翌日から再度休んだ場合も支給対象となります。

傷病手当金の給付条件④休業期間中に給料が支払われていない

4つ目の条件は、休業期間中に給料が支払われていないことです。
会社から何かしらの給与を受け取っている場合は、金額が傷病手当金より少なければ差額を受け取れます。
また、同じ病気で障害厚生年金や障害手当金を受け取っている場合は対象外となりますが、傷病手当金より少なければ、給与の扱いと同様で差額を受け取れます。

参考
・傷病手当金の申請|全国健康保険協会

傷病手当金の支給期間と支給額

傷病手当金の支給期間と支給額

ここでは、傷病手当金の支給期間と支給額について解説します。

傷病手当金は支給を開始した日から通算して1年6カ月受給可能

令和4年から、支給開始日から通算して1年6ヶ月となりました。一時的に復職した場合は期間に含まれないため、復職を繰り返しながら長期的に治療を行った場合でも安心です。

以前の制度では、連続して1年6ヶ月だったため、再度病状が悪化した際に支給期間が終わっているケースがありました。トータルで1年6ヶ月間の受け取りへと変更されたことで、回復までの期間に柔軟な対応ができるようになったのです。

傷病手当金の支給額と計算方法

1日あたりの支給額は、直近12ヵ月の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)で計算されます。
標準報酬月額とは、月々の給与を1~50の等級に分けたもので、保険料の算出などに使われる基準額です。支給額の計算には、正確な金額の把握が大切となるため給与台帳やタイムカードの写しの添付などが必要となります。

参考
・ココが知りたい!傷病手当金|全国健康保険協会
・傷病手当金について|全国健康保険協会

メンタル不調で傷病手当金を受け取る際の流れ

メンタル不調で傷病手当金を受け取る際の流れ

メンタル不調で傷病手当金を受け取る際は、精神科や診療内科で診察を受けるようにしましょう。その後、勤務先の担当者に状況を報告し、休職手続きと傷病手当金支給申請書の記入を行います。
傷病手当金支給申請書は健康保険組合に提出するもので、事業主から給与に関する証明と担当医師から体調に関する証明を用意したうえで、給与計算の締め日以降に提出します。

メンタル不調で傷病手当金を受け取る際に必要な書類

メンタル不調で傷病手当金を受け取る際は、先ほども解説したように「事業主からの給与に関する証明」「担当医師からの体調に関する証明」が必要になります。
初回申請時に行う証明としては、働けなかった期間を含む給与計算、休職1カ月前の給与台帳、出勤簿を用意しなければいけません。台帳等がない場合は、役員会議議事録の写しを添付しましょう。
医師からの証明書としては、診断書の代わりに傷病手当金申請書の主治医欄への記入が必要となります。

参考
・傷病手当金の申請|全国健康保険協会
・傷病手当金の申請の際、医師の診断書は必要ですか?|丸井健康保険協会

傷病手当金をもらうメリット

傷病手当金をもらうメリット

傷病手当金を受け取ることで、安心して治療に専念できたり一定の収入を確保できたりします。では実際に、代表的な3つのメリットについてみていきましょう。

傷病手当金をもらうメリット①安心して治療に専念できる

傷病手当金により治療費をまかなえるため、金銭面での不安を軽減して治療に専念できます。
一定のお金が入ってくることで、仕事のことを気にせず、医師の指示にしたがって最適な治療を受けられるでしょう。治療やリハビリに集中することで、回復が早く進む可能性も高まるため、心身の健康を最優先にできるのは大きなメリットです。

傷病手当金をもらうメリット②休職中も一定の収入を得られる

休職中も一定の収入が入ってくるため、生活費や必要経費をある程度カバーすることができます。収入が途絶えることによる不安を軽減し、生活の安定を保てるため、心身ともに療養に専念できるでしょう。

傷病手当金をもらうメリット③治療費の負担が軽減できる

治療が長期間に及ぶ場合、医療費や薬代がかさむことがありますが、傷病手当金によって一部を補填できます。
治療にかかる経済的な負担が軽減されることで、必要な治療を継続しやすくなったり、回復のための最適な治療を受けられたりするでしょう。

傷病手当金をもらうデメリット

傷病手当金をもらうデメリット

傷病手当金をもらうことで治療に専念できる一方で、いくつかのデメリットも発生します。

傷病手当金をもらうデメリット①会社に病名を知られる可能性がある

傷病手当金を申請する際は、医師からの診断が必要となるため、会社に病名が知られる可能性があります。
どうしても知られたくない場合は、先に会社に申請書の必要事項を記入してもらう方法がありますが、休職する際に理由を聞かれることが多いでしょう。

傷病手当金をもらうデメリット②傷病手当金受給中は失業保険を受け取れない

退職後もいくつかの条件を満たしていれば傷病手当金を受け取れますが、並行して失業保険を受け取ることはできません。
傷病手当金は何らかの理由で働けない人が対象、失業保険は働けるが職に就いていない人が対象、といったように条件が違うため同時に申請しないようにしましょう。

参考
・傷病手当金が支給される。|全国健康保険協会

傷病手当金をもらうデメリット③社会保険料の免除はされない

傷病手当金を受け取っている期間中でも、社会保険料の支払い義務は発生します。
支払い方法は勤務先ごとに異なり、指定の銀行口座に毎月支払う方法や、会社が立て替えて復帰後に天引きする方法など様々です。

どちらにしても免除はされないので、休職の際は生活費や治療費だけでなく、社会保険料の支払いも考慮しておくことが大切です。

メンタル不調で傷病手当金をもらう際の注意点

メンタル不調で傷病手当金をもらう際の注意点

以下では、メンタル不調で傷病手当金をもらう際の注意点を解説します。場合によっては、自身の症状が対象外の可能性もあるので申請前に確認しておきましょう。

傷病手当金をもらう際の注意点①会社が原因のメンタル不調は適応外

メンタル不調の原因が会社によるものの場合、傷病手当金は適用されません。
例えば、働き過ぎによるうつ病、セクハラやパワハラによる適応障害など職場環境が原因で発症した場合は、傷病手当金ではなく労災保険や休業補償給付を申請すると良いです。

傷病手当金をもらう際の注意点②医師による診断書を用意する

申請を行う際に診断書は必要ありませんが、会社に休職申請をする際は診断書が必要となるケースが多いようです。
診断書発行までの期間は病院ごとに異なり、提出遅れにより手続きが進まないこともあるので、急ぎの場合は診断書をすぐもらえる病院に行くと良いでしょう。

下記記事では、会社で診断書を提出する場面を解説していますのでチェックしてみて下さい。

傷病手当金をもらう際の注意点③再受給には条件がある

同じ疾患で再受給をする場合は、支給開始日から通算して1年6カ月以内であれば再受給を受けられます。
また、1年6カ月を超えている場合でも、一度治癒したと判断されるケースであれば、別の病気として扱われるため傷病手当金を受けられます。

参考
・第7回 こころの病で再休職した場合、傷病手当金を再度支給できる仕組みはあるの?|厚生労働省

メンタル不調が気になる方は、新宿うるおいこころのクリニックへご相談ください

新宿うるおいクリニックでは、メンタル不調による疾患の診断書の即日最短発行に対応しています。場合によっては診断書の即日対応が難しいケースがありますが、詳しい検査をしたうえで発行するので患者様にとっても大きな安心材料となります。

治療では、症状を見極めたうえで異なる治療プランを採用。一人ひとりに合わせたアプローチ法を実践するため、効果的な症状改善と再発防止が期待できます。
臨床心理士、公認心理士在籍のカウンセリングもございますので、メンタル不調の悩みについてどうぞお気軽にご相談ください。

よくある質問

心療内科に受診している場合も傷病手当金はもらえますか?

心療内科に受診している場合でも、傷病手当金をもらうことができます。
傷病手当金は、条件を満たしていればどんな疾患でも受け取れるので、状況に応じて活用しましょう。

パニック障害や適応障害で傷病手当金をもらうデメリットはありますか?

パニック障害や適応症で傷病手当金を受け取るデメリットとしては、会社に病名がバレること、給付中は失業保険の申請ができないことなどがあげられます。
一方、一定の収入が確保できるといったメリットもうまれるので、上手に活用すると良いです。

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