激しい気分の落ち込みが続き、何もやる気が起きなくなってしまううつ病。
うつ病になった際は病院の治療を受けるとともに、自宅でできる治し方を実践することで、再発防止につながったり回復が早まったりするといわれています。
この記事では、自宅でできるうつ病の治し方・治療法11選をご紹介します。取り入れる際の注意点も含めてお伝えするので、うつ病の症状でお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。但し、自宅での治し方はあくまで補助的な方法であり、病院での治療を補佐する目的で並行して行うようにしましょう。
このコラムの監修医師

新宿うるおいこころのクリニック 院長
大垣 宣敬
患者様が抱えているものは1人1人異なっており、症状の種類や程度も千差万別です。 私たちは患者様からお話を聞くことで悩みを共有し、ご希望や思いを丁寧に汲み取りながら、患者様中心の医療を共に実践していけるよう心がけています。
目次
うつ病を治すためには自宅での過ごし方が大切
うつ病を治す際は、病院での治療はもちろん大切ですが、自宅での過ごし方も影響を与えると言われています。
例えば、睡眠不足はうつ病の症状を悪化させる可能性があるため、毎晩決まった時間に寝るように心がけることで回復を助けます。また、バランスの取れた食事は、身体の健康を保つだけでなく精神の安定にもつながるため、食生活の配慮も欠かせません。そのほかにも、軽い運動を取り入れるなど、自宅で身体を動かすことも推奨されています。
自宅での過ごし方が、うつ病の回復を早めたり遅くしたりする要因になるので、治療と並行しながら自分のペースで生活を整えていきましょう。
うつ病が治っても自宅での規則正しい生活習慣を心掛けないと再発リスクが高まる
うつ病が完治した場合でも、自宅での不規則な生活習慣を見直さないと再発のリスクは高まります。例えば、睡眠が不足していたり食生活が偏っていたりすると、心身にストレスがかかり不調を引き起こす原因になるようです。また、体調を整えておかないと、ストレスに対して敏感に反応してしまうため再発を招くといわれています。
うつ病の自宅での治し方・治療法11選
ここでは、うつ病の自宅での治し方・治療法について厳選した11の方法をご紹介します。うつ病は、自宅での生活習慣改善や心身のケアを意識的に行うことが回復の助けになると考えられているので、無理のない範囲で取り入れてみましょう。
うつ病の自宅での治し方・治療法①睡眠時間をしっかりと確保する
不規則な睡眠習慣は、うつ病を悪化させる要因となるため、まずは睡眠時間をしっかり確保するようにしましょう。毎晩決まった時間に寝ることを心掛け、寝室はリラックスできる環境を作ることで、適切な体力回復が期待できます。
また、睡眠時間を習慣づけした後は、寝る前にスマホを触る行為を控えてブルーライトを避けたり、カフェインの摂取を避けて良質な睡眠を確保できるよう意識しましょう。
うつ病の自宅での治し方・治療法②体を動かす
軽い運動やストレッチ、散歩など、日常的に体を動かすと、エンドルフィンと呼ばれる「幸せホルモン」が分泌され、うつ症状が改善することが分かっています。
運動には、ストレスホルモンが減少したり、自律神経が整ったり、睡眠改善につながったりするため、心身のバランスを整える効果が期待できるようです。
うつ病を改善したい場合、いきなり激しい運動をすると負荷がかかってしまうため、最初は軽い運動から始めましょう。毎日少しずつでも体を動かすことを習慣付けすると、ストレス解消や気分の向上が実感できるようになります。
参考
・運動の効果:メンタルヘルス編|Jスクエア マンスリー健康情報 2023 年 1 月号
うつ病の自宅での治し方・治療法③食事管理を行う
うつ病の回復には、栄養バランスの取れた食事が大切といわれています。特に、うつ病の患者はセロトニンが不足しているため、セロトニンの原料となるタンパク質の摂取が推奨されます。タンパク質は、肉や魚以外にも乳製品や大豆などから気軽に摂取できるので、毎日の食事に取り入れてみましょう。
うつ病の自宅での治し方・治療法④日々の出来事を日記につける
日記を書くことは、感情を整理したり、自己理解を深めたりする手段として有効といわれています。うつ病になると、日常的に感じる不安や悲しみをうまく表現できなくなる傾向にあるため、日記を通して感情を素直に書き出すことで、気分が軽くなるかもしれません。
また、ポジティブな出来事や感謝の気持ちを書くと、自己肯定感が高まり、心のケアにつながるようです。気分が優れている時に少しずつ書くだけでも効果が期待できるので、可能な範囲で少しずつ実践していきましょう。
うつ病の自宅での治し方・治療法⑤温冷交代浴をする
温冷交代浴とは、温かいお湯と冷たい水を交互に浴びる入浴法のことです。血行が良くなり、リラックス効果が得られるほか、うつ病に関わっている自律神経の調整が期待できるといわれています。
自宅で温冷交代浴をしたい際は、温かいお風呂に浸かった後に冷たいシャワーを浴びるようにしましょう。自律神経が整うことで、心の状態も落ち着き、ストレスが軽減されるようです。
うつ病の自宅での治し方・治療法⑥睡眠前に呼吸法を実践する
睡眠前に深い呼吸をすることで、副交感神経を優位にしてリラックス状態を促せるといわれています。また、呼吸法の導入により寝つきが良くなると、質の良い睡眠が得られて、体の疲労回復と精神的な安定につながるようです。
呼吸法は、寝る前に5分から10分程度、ゆっくりと深呼吸を行うだけでも効果が期待できるので、毎日の習慣にしてみると良いです。
うつ病の自宅での治し方・治療法⑦音楽を聴く
心地よい音楽はリラックス効果があるとされ、気分を安定させる助けになるため、うつ病で悩んでいる際は聴いてみると良いです。
特に、気分がすぐれない際はクラシック音楽や自然音など、穏やかで落ち着いた音楽がおすすめです。また、好きな音楽を聴くことは気分転換になるので、心の健康を維持するためにも定期的に音楽を聴いてみると良いかもしれません。
参考
・音楽を用いたリラクゼーションの効果と心身健康科学|大谷喜美江
うつ病の自宅での治し方・治療法⑧太陽光を浴びる
太陽光を浴びることで、体内の生体リズムが整い気分が改善されるといわれています。特に、起床時に太陽光を浴びると、体内時計がリセットされて1日すっきりとした気分で生活できるようです。
また、太陽光にはセロトニンの分泌を促す働きがあるため、毎日15分程度、窓際で太陽光を浴びるだけでもうつ病に対して良い効果が期待できます。
うつ病の自宅での治し方・治療法⑨家族とスキンシップをとる
うつ病を抱えていると孤独感や不安が増すことがありますが、家族とのスキンシップを通じて心が支えられることで、精神的に安定しやすくなるといわれています。
また、手をつなぐ、ハグをする、肩をトントンと軽く叩くなど、シンプルなスキンシップはストレスを軽減させる働きがあるため、家族と過ごす時間を大切にし、積極的にコミュニケーションを取るようにしましょう。
うつ病の自宅での治し方・治療法⑩リズム運動を行う
リズム運動とは、リズムに合わせて体を動かす運動のことです。ウォーキングやダンス、軽いジョギングなどを、音楽を聴きながら行うことで心拍数や呼吸が安定し、リラックス効果が得られるといわれています。
また、ストレスホルモンが減少し、セロトニンの分泌が促されるため、うつ病に対する改善効果が期待できるようです。体調がすぐれない日は、無理して運動を行う必要はありませんが、回復の兆しが見えてきた際は1日5分でも体を動かすように意識してみると良いです。
うつ病の自宅での治し方・治療法⑪セルフマッサージを行う
セルフマッサージは簡単に自宅で行うことができるので、日常的に少しずつ取り入れてみましょう。
肩や首、背中などに溜まった緊張をほぐすことで、リラックス効果が高まるため精神的なストレスの軽減効果が期待できるようです。また、手足の指先や耳のツボ押しは、心身のバランスを整えるといわれています。
自宅でのうつ病の治し方・治療法を取り入れる際の注意点
自宅でできるうつ病の治し方・治療法を取り入れる際は、あくまで補助的なものであるという点を理解しておくと良いです。完治を目指す際は、病院での治療が大切となるので、自身の健康と相談しながら無理なく取り組むようにしましょう。
思い悩んだ時は誰かに相談する
うつ病の症状を改善しようと自宅で治療法を試みることは良いですが、思い悩んでいる時や苦しく感じる時には、信頼できる誰かに相談することも非常に大切です。うつ病は孤独感や不安感を強めることが多いため、自己判断で問題を抱え込んでしまうと、症状の悪化を招く恐れが考えられます。
また、精神科・心療内科などのカウンセリングを通して第三者の意見を聞くと、治療の一環として良い効果が期待できるので、一人で抱え込まず助けを求めることを忘れないようにしましょう。
無理はせず出来る範囲で行う
うつ病の症状は日によって異なり、体調が優れない日もあるため、その時々に合わせて無理にならない治し方を実践することが大切です。
例えば、運動を取り入れる場合、気分が乗らない日には外出を控えて室内で軽いストレッチを行うなど、都度体調に合った方法を選ぶと良いです。また、睡眠や食事管理なども過度に意識せず、少しずつ習慣化していくことで心身の負担を減らせるため、焦らず、できる範囲で行っていきましょう。
病院での治療を並行して行う
うつ病は精神的な疾患であり、自己判断だけで完治を目指すことはリスクを伴います。自宅での治療法はあくまで補助的な方法と考え、病院での治療を並行して行うようにしましょう。
また、医師の指導のもと、薬物療法や心理療法といった専門的な治療を受けることで、適切な症状回復を目指せるので、自宅での治療法は、病院での治療をサポートする形で実践すると良いです。
下記記事では、うつ病になった時の過ごし方を紹介しています。併せてチェックしてみてください。
新宿うるおいこころのクリニックではうつ病の治療に対応しています
新宿うるおいこころのクリニックでは、うつ病で悩む患者様の一人ひとりの状態に合った適切な治療法を提案しています。
治療では、認知行動療法やTMS治療を行うほか、心のケアとしてストレス管理や生活習慣の見直しについてもアドバイスを行い、患者様が長期的に健康を維持できるようにサポートします。
また、新宿うるおいこころのクリニックでは、患者が安心して治療を受けられる環境を整えるため、カウンセラーによるカウンセリングも必要に応じてご用意しております。症状に合わせた治療のご提案も可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
<新宿うるおいこころのクリニックにおけるうつ病治療の詳細はこちら>
よくある質問
自宅での治し方・治療法だけでうつ病は治りますか?
自宅での治し方・治療法は、うつ病の回復をサポートする役割を果たしますが、それだけでは完治は難しいといわれています。
うつ病を治す際は、専門的な治療が必要な場合も多いため、自宅でできるケアを取り入れつつ、病院での治療と併せて行うようにしましょう。
うつ病の自宅での治し方・治療法として食事管理は有効ですか?
食事管理は、うつ病の治療において有効と考えられています。規則正しい食生活と適切な栄養摂取によって、脳の働きやホルモンバランスを整える効果が期待できるので、日々の生活で意識すると良いでしょう。