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MentalColumn

メンタルコラム

2025.3.6

うつ病に末期症状は存在しない!勘違いする理由や症状が重くなるワケとは

うつ病に末期症状は存在しない!勘違いする理由や症状が重くなるワケとは

うつ病の症状が重い状態を「末期症状」と呼ぶ人や、そう記載しているサイトを見たことがある方はいますでしょうか?
実際のところ、精神疾患の症状に対して「末期症状」という言葉を使うのは適切ではなく、悪化した場合でも単に「症状が悪化した」状態であると捉えるのが正しいです。

今回は、うつ病の重症な状態を末期症状といわない理由や勘違いする理由、症状が重くなる原因について解説します。末期症状と思ってしまうような症状も含めてお伝えするので、症例などを参考にしながらうつ病に対する理解を深めていきましょう。

このコラムの監修医師

新宿うるおいこころのクリニック 院長

大垣 宣敬

患者様が抱えているものは1人1人異なっており、症状の種類や程度も千差万別です。 私たちは患者様からお話を聞くことで悩みを共有し、ご希望や思いを丁寧に汲み取りながら、患者様中心の医療を共に実践していけるよう心がけています。

うつ病患者に対して末期症状は使わない

うつ病患者に対して末期症状は使わない

うつ病は命に直接的な危険を伴う病気に該当せず、治療により回復を目指せるため、うつ病患者に対して「末期症状」という言葉を用いるのは適切ではありません。
末期症状という言葉を安易に使ってしまうと、誤解を招いたり不必要な恐怖を与えたりする可能性があるため、症状が重くなってきたと感じる際は慎重に言葉を選び、「悪化」などを用いるようにしましょう。

そもそも末期症状とは

一般的に末期症状とは、病気の回復が困難で死が近づいている最後の症状を指します。
主に、難病や末期がんなど治療が困難な病気に対して使われる言葉であり、病気の進行に伴い回復が不可能であることを示すものです。
例えば、余命宣告を受けた人の終末期にみられる、せん妄や呼吸困難は末期症状に当てはまります。うつ病は、悪化した場合でも治療により改善する可能性が十分にあるため、末期症状には該当しません。

うつ病に末期症状はない

うつ病は心理的・精神的な障害であり、死に直結するような末期症状が現れることはありません。中には、自殺願望が強く自傷行為を繰り返したり、実際に自殺を図ったりするケースもありますが、精神的苦痛からきており治療を通して治せるため、末期症状ではなくうつ病の症状の一つと判断されます。

うつ病に末期症状があると勘違いされる原因

うつ病に末期症状があると勘違いされる原因には、重度のうつ病でみられる症状が関係しているようです。
例えば、寝たきりになったり、コミュニケーションがとれなくなったりと生命に危険は及ぼさないものの、もう治らないかもしれないと考えてしまう症状が現れることがあります。また、以前の明るい姿から一変して無気力で沈んだ状態が続くため、末期症状だと捉えてしまうと考えられています。

うつ病で末期症状なのでは?と勘違いする例

うつ病で末期症状なのでは?と勘違いする例

先ほども説明したように、うつ病では末期症状なのでは?と勘違いするような重い症状が現れることがあります。
以下では、中でも末期症状と勘違いしやすい症例5選を解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

うつ病で末期症状と勘違いする例① 常に死について考えている

強い自己否定感や絶望感に襲われると、死について考え出す傾向にあります。例えば、「自分は価値のない人間だから死んでしまいたい」「自分が死んだ方が周りの人間は幸せになれる」など、通常では思いつかないようなネガティブ思考に陥るようです。
実際に、うつ病患者は健康な人に比べて自殺リスクが3倍程度高いといわれていますが、適切な治療により未然に防ぐことができます。

参考
エビデンスの観点から見た 「うつ病」と「自殺」の関係|斎藤 清二(富山大学保健管理センター)

うつ病で末期症状と勘違いする例② 引きこもりがちになっている

うつ病の症状により家から出られず、引きこもりがちになることがあります。
引きこもりがちになると、気力が湧かず一日中寝ていたり連絡を避けだしたりするため、「このまま死んでしまうのではないか」と家族や友人から心配されやすくなります。また、こうした行動が長期間続くことから、回復の兆しが見えないように思われてしまうようです。

うつ病で末期症状と勘違いする例③ 将来に対する希望をなくす

うつ病患者は、自分の将来に対して漠然とした絶望感を抱き、何もかも無意味に感じることがあります。会話が噛み合わなくなったり目が虚ろになったりするため、末期症状と誤解されがちですが、実際にはうつ病の症状の一部であり、治療を通して再び活力を取り戻せます。
将来を前向きに考えられず自傷行為にはしるケースもありますが、このような場合も末期症状ではなく、うつ病の症状の一つと判断されることが特徴です。

うつ病で末期症状と勘違いする例④ 動作がゆっくりになる

精神的な疲れが増すことで、体が重く感じたり動作がゆっくりになったりすることがあります。受け答えなども遅くなり、言葉が出にくくなったり会話が続かなくなったりするため、末期症状と勘違いされるようです。
倦怠感が酷い場合、無理に動こうとすると悪化につながるので、自分のペースで休みながら治療を受けることが大切です。

うつ病で末期症状と勘違いする例⑤ 決断力が著しく低下する

うつ病による思考の停滞が起こると、物事を決めることに対して極度に不安を感じたり、選択を避けたりすることがあります。
例えば、「食事を何にするか」「服は何を着るか」など、日常の些細な決断ですら難しくなります。頭が働かず、正常な判断ができなくなってしまうため、作業ミスや物忘れ、遅刻なども増えて周囲の心配を招くようです。

うつ病の症状が酷くなる主な原因

うつ病の症状が酷くなる主な原因

うつ病の症状が酷くなる原因には、環境による大きなストレスや薬の副作用、本人の性格との関係が考えられています。
最初は軽度の症状で回復の兆しが見えていても、ストレスをかけたり無理をさせたりしてしまうと悪化を招くので、酷くなる原因を理解しながら適切にサポートしていくことが大切です。

環境変化などの大きなストレス

引っ越しや転職、妊娠など生活環境に変化があると、適応しようと気を張ったり頑張り過ぎたりすることから、ストレスを起こしやすいといわれています。強いストレスを受けた場合、以前は耐えられた状況も対処できなくなり、症状が重くなることがあります。

また、先ほども説明したように、うつ病になると正常な判断ができにくくなります。そのような状態では、離婚や転職、退職などの大きな決断がストレスにつながりやすくなるので回復後に行うと良いです。

薬の副作用

うつ病の治療には抗うつ薬が使用されることが多いですが、薬の飲み始めに出る副作用により、一時的に症状が悪化する可能性があります。例えば、倦怠感や食欲不振、眠気などの症状が現れます。
副作用は、体が薬に慣れることで徐々になくなりますが、あまりにつらかったり症状が長引いたりする際は、医師に相談して減薬や中断を検討すると良いです。

本人の性格によるもの

うつ病の症状が酷くなる原因として、本人の性格や思考のクセが影響することもあるようです。
例えば、完璧主義や自己否定的な思考を持つ人は、症状悪化の原因となるストレスを抱え込みやすいと考えられています。感情を抑え込んだり他人に頼れなかったりする場合も、ストレスの発散ができず蓄積されてしまいます。
性格や思考が関係している場合、認知行動療法などで自己理解を深めて物事の捉え方などを変えていくと、徐々に症状が緩和されるようです。

うつ病が末期症状になったと感じる場合、他の病気の併発が考えられます

うつ病が末期症状になったと感じる場合、他の病気の併発が考えられます

うつ病が末期症状になったと感じる場合、他の病気の併発が影響している可能性もあります。
うつ病自体、不安障害やパニック障害などの合併が多いとされており、発症すると精神的な苦痛が増してうつ病の症状が重くなったと感じるようです。また、内分泌疾患やパーキンソン病などの身体的な疾患が伴うケースもあるので、不調を感じる際は早めに病院に相談する事が大切です。
症状悪化の原因として他の病気の影響が考えられる場合は、同時に治療していくことで回復を目指せるので、もう治らないと諦めるのではなく適切な治療を受けましょう。

うつ病と間違えられやすい病気

うつ病は、他の身体的・精神的な疾患と似ている症状がいくつか存在すため、うつ病だと思っていたが別の病気だったと受診時に判明するパターンも少なくありません。
例えば、適応障害やパニック障害、双極性障害などは、気分の落ち込みやイライラなど、うつ病と似た症状が出るため間違えられやすい病気といわれています。
また、脳梗塞や認知症、甲状腺機能低下症などの身体疾患も、身体的なだるさや思考力の低下が現れることからうつ病と間違えられやすいようです。

うつ病は再発リスクも高い

うつ病は、一度治療を受けて症状が改善したとしても、再発リスクが高いといわれています。例えば、完治後に再度大きなストレスがかかる環境に戻ると、心身の負担が増えて再発する可能性が高まります。また、うつ病が治りきっていなかったり、症状が改善しても生活習慣の改善が不十分であったりすると再発を起こすようです。
再発を防ぐためには、完治後もストレスのかからない生活を意識し、定期的な受診やストレス管理、生活習慣改善を実践することが大切となります。

うつ病で末期症状では?と感じるほどつらい場合はすぐ病院へ

うつ病で末期症状では?と感じるほどつらい場合はすぐ病院へ

うつ病の症状が「末期症状では?」と感じるほどつらい場合、我慢せずすぐに病院に行くことが大切です。うつ病は悪化すると、仕事や家事、人間関係などあらゆる活動に困難をきたし、回復が難しくなるといわれています。
最悪の場合、自殺などの死につながるリスクも高めるため、普段と異なる不調を感じた場合は医師に相談し、症状に合わせた適切な治療を受けると良いです。

うつ病の受診目安

うつ病の受診目安としては、日常生活に支障が出始めたり不調を感じたりしたタイミングで受診をすると良いです。
例えば、仕事や学校に行くのがつらい、家事や趣味に興味を持てなくなった、食事や睡眠をとる気が起きないなどの症状が現れた時は、うつ病の可能性があります。支障はないが「どうしてもやる気が出ない」「無気力だ」と感じ疲労感が続いている場合も、うつ病の可能性があるので一度受診するようにしましょう。

うつ病の診断を受けるべきか迷っている方は下記記事をご覧ください。

うつ病でお悩みの方は新宿うるおいこころのクリニックにお越しください

うつ病の症状でお悩みの方は、新宿うるおいこころのクリニックへご相談ください。
新宿うるおいこころのクリニックでは、臨床心理士、公認心理士在籍のカウンセリングや医師による詳しい検査により、根本原因を探れたり気持ちを整理できたりします。
何となく不調を感じている場合でも、症状に合わせた治療提案が可能ですので、「これくらいは平気」「病院に行くレベルではない」と思わずお気軽にご相談ください。

<うつ病の治療について詳しく見る>

よくある質問

うつ病は重症化しますか?

うつ病は、放置すると悪化する可能性があります。悪化すると回復に時間がかかり、治療が難しくなることもあるため、症状が酷くなる前に精神科・心療内科を受診しましょう。
中には、「これくらいの症状では病院に行けない」と受診を遅らせる方も存在しますが、早めに治療を始めることで回復しやすくなるので、不調を感じたタイミングでお気軽にご相談ください。

うつ病は放置すれば自然と治りますか?

うつ病は放置しても自然に治ることは少ないです。症状が軽い場合、休養で回復することもありますが、ほとんどの場合は専門的な治療が必要となります。
また、放置により悪化する可能性もあるので、症状がみられた際は病院へ行くようにしましょう。

2025.3.6

うつ病に末期症状は存在しない!勘違いする理由や症状が重くなるワケとは

2025.3.6

うつ病に末期症状は存在しない!勘違いする理由や症状が重くなるワケとは

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あなたのご来院を心よりお待ちしております。

20歳未満の方へ
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当院では、18歳未満の方は治療をお受けいただけません。
自由診療の場合、18歳以上、20歳未満の方は保護者の同伴、もしくは同意書が必要となります。
以下よりダウンロードの上、保護者の方に記入いただいたものを当日ご持参ください。

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