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メンタルコラム

PTSDとトラウマに違いはある?特徴や共通する症状から関係性を知ろう

PTSDとトラウマに違いはある?特徴や共通する症状から関係性を知ろう

つらい体験により、様々な心身の症状に悩まされるトラウマとPTSD。
「体験にまつわる悪夢をみる」「体験をしてから憂うつな気分が続いている」
などの共通した症状がみられますが、厳密には大きな違いがあります。

この記事では、PTSDとトラウマの違いや共通する症状、緩和に向けた対策法について解説します。違いを理解することが解決策を知る糸口となるので、ぜひチェックしてみてください。

このコラムの監修医師

新宿うるおいこころのクリニック 院長

大垣 宣敬

患者様が抱えているものは1人1人異なっており、症状の種類や程度も千差万別です。 私たちは患者様からお話を聞くことで悩みを共有し、ご希望や思いを丁寧に汲み取りながら、患者様中心の医療を共に実践していけるよう心がけています。

PTSDとトラウマの違いとは

PTSDとトラウマの違いとは

PTSD(心的外傷後ストレス障害)とトラウマは混同されがちですが、トラウマはつらい体験で起こる心身の反応、PTSDはトラウマがきっかけとなり起こる精神的後遺症という違いがあります。

例えば、自然災害により命を脅かされた体験をした後、恐怖からふさぎこむ、動悸がする、眠れないなどの症状に悩まされることは普通の反応のためトラウマと呼ばれます。

一方、PTSDでは体験がきっかけで記憶が混乱し、自分の意思とは関係なく何度もフラッシュバックしたり、現在も被害を受けているような感覚に陥ったりしてしまうのです。

トラウマは後遺障害には該当しない

トラウマ自体は、誰にでも起こり得る一般的な反応のため、後遺症として扱われることはありません。

しかし、トラウマから発展するPTSDは後遺症に該当し、症状により就労が困難になったり普段通りに過ごせなくなったりと日常生活に支障がでます。

トラウマの種類とPTSDとの関係性

トラウマの種類とPTSDとの関係性

トラウマには、予期せぬ体験から起こる「単回性トラウマ」と、日々蓄積された体験により起こる「長期反復性トラウマ」が存在します。

例えば、単回性トラウマとしては、交通事故や地震などの突然起こる出来事が該当します。長期反復性トラウマとしては、家庭内暴力や戦争体験などがあげられ、長期にわたり体験を繰り返していることが特徴です。

それぞれきっかけが違い、単回性トラウマからPTSD、長期反復性トラウマから複雑性PTSDと異なるPTSDを発症する可能性があります。

単回性トラウマからPTSDへ

単回性トラウマから生じることの多い一般的なPTSDは、症状が続いている期間ごとに種類が異なり、症状持続が4週間~3カ月以内の場合は「PTSD急性型」、3カ月以上持続している場合は「PTSD慢性型」に分けられます。

また、体験から4週間以内に起こった症状が、最低2日~最大4週間で収まっている場合はASD(急性ストレス障害)と判断されます。

PTSD自体は、体験の直後に発症するケースが少なく、数週間~6カ月以内に症状がでるといわれていますが、中には6カ月以上経過してから発症する「発症遅延」もあるようです。

 
参考
・日本保険医療行動科学会年報Vol.11 1996.6|PTSD(post-traumatic stress disorder)心的外傷後ストレス障害|村田正章

長期反復性トラウマから複雑性PTSDへ

複雑性PTSDは、持続的なつらい体験で起こる長期反復性トラウマから発症するリスクが高いといわれています。
一般的なPTSD症状に加えて「感情調整の困難」「否定的な自己概念」「対人関係の困難」がみられることが特徴で、体験により感情が麻痺していたり価値がない人間と思い込んだりします。

 
参考
・複雑性 PTSD の診断と特徴,および治療|丹羽 まどか、金 吉晴

PTSDとトラウマの症状の共通点

PTSDとトラウマの症状の共通点

以下では、PTSDとトラウマ反応の症状に共通することについてお伝えします。

PTSDとトラウマの症状の共通点①つらい出来事がきっかけとなる

事故や自然災害、暴力などの場面に遭遇した場合、精神的な負荷がかかることでトラウマやPTSDの症状がみられるようになります。厳密にいえばPTSDはトラウマ体験により発症するものですが、発端となる出来事は同じです。

共通の症状としては、不眠や無気力感、再体験などがあげられますが、PTSDは精神的な障害、トラウマは正常な反応という違いがあります。

PTSDとトラウマの症状の共通点②嫌な記憶を再体験する

PTSDの代表的な症状として、過去のつらい体験を突然思い出すフラッシュバックがあげられます。子どものトラウマ反応でも同じような症状があり、体験を思い出したり悪夢をみたりすることがあります。

ただし、PTSDの場合はつらい体験による記憶障害からくるもの、トラウマの場合は極度の恐怖によるものという違いがあるようです。

PTSDとトラウマの症状の共通点③身体・精神症状が伴う

PTSDやトラウマでは、過度の恐怖状態に陥ることから不眠やイライラ、神経過敏などの症状が起こります。

代表的な共通する身体・精神症状は以下のとおりです。

  • どうしようもないイライラが起こる
  • 憂うつな気分が続く
  • 気分の落ち込みがみられる
  • 不安で落ち着かず眠れなくなる
  • 全ての物音に対して過敏になる
  • 集中できず注意散漫になる

 
参考
・第2章 心のケア 各論 外傷体験とは|文部科学省

PTSDやトラウマになるエピソード

PTSDやトラウマになるエピソード

PTSDやトラウマは、幼少期の経験や災害体験により起こり得ます。
では実際に、PTSDやトラウマのきっかけとなるエピソードをみていきましょう。

PTSDやトラウマになるエピソード①小さい頃に受けた虐待

「親から殴られていた」「家に閉じ込められ食事をもらえなかった」「兄弟格差があった」などの小さい頃に受けた虐待により、長期的な心理ダメージが生まれることがあります。

虐待が当たり前な環境で育つと、経験がPTSDとして現れるリスクが高まり、大人になっても恐怖や不安に悩まされるようです。

また、人間関係に対して不信感が大きくなり、歪んだ思考や対人関係のこじれにつながると考えられています。

PTSDやトラウマになるエピソード②大地震などの自然災害

「大地震に直面した」「海で突然死ぬかもしれない恐怖を味わった」などの自然災害の体験は、PTSDやトラウマになりやすいといわれています。また、突然の災害で家が被害にあった体験も、大きなきっかけとなるようです。

災害に直面した際は、避難生活や復興の中で心理的な負担が大きくなり、突然体験がフラッシュバックしたり、些細な音や振動に敏感になったりするとも考えられています。

PTSDやトラウマになるエピソード③身近な人の死

「恋人が事故にあった」「災害により家族を失った」など身近な人の死は、とてもつらい出来事でありPTSDやトラウマの原因になります。

特に、予期しない突然の死に直面した際のショックは大きく、恐怖や罪悪感、無力感に押しつぶされる可能性があると考えられています。

例えば、助けられなかったという思いから過度に自分を責めてしまったり、心を閉ざしたりする傾向にあり精神的負担が続くようです。

PTSDやトラウマから発展する精神疾患

PTSDやトラウマから発展する精神疾患

PTSDやトラウマがみられると、うつ病や依存症などの精神疾患に発展するリスクが高まります。起こり得る精神疾患を知っておくことで、症状に早く気付けたり対策が分かったりするので、事前に理解しておきましょう。

PTSDやトラウマから発展する精神疾患①睡眠障害

過度の緊張感や不安から、不眠や入眠困難といった睡眠障害の症状がでるといわれています。
また、体験にまつわる悪夢をみることで、恐怖を回避するために眠れなくなるケースもあります。睡眠障害になると、慢性的な疲労から心身ストレスが生まれ、症状悪化などの悪循環を招くようです。

PTSDやトラウマから発展する精神疾患②うつ病

PTSDやトラウマによる精神的な負荷が続くことで、うつ病の発症リスクが高まります。また、自己否定感や絶望感から、興味や喜びが乏しくなるケースもあるようです。
「自分が悪かったのか」「こうすれば良かった」といった罪悪感で思いつめてしまうと、自殺企図や自傷行為を引き起こすともいわれています。

PTSDやトラウマから発展する精神疾患③依存症

「つらい体験から逃れたい」という気持ちにより、アルコールや薬物などの依存症に陥る場合もあるようです。一時的には症状が軽減されるかもしれませんが、気付いた時にはやめたくてもやめられなくなり、自暴自棄になったり家族を巻き込んだりと深刻な影響をもたらします。
依存症は自力での解決が難しいので、未然に防ぐためにもPTSDやトラウマに対する治療を受けておくことが大切です。

 
参考
依存症についてもっと知りたい方へ|厚生労働省

PTSDやトラウマを緩和させるための対策

PTSDやトラウマを緩和させるための対策

PTSDやトラウマを緩和するためには、体験をした直後や症状が現れた際に正しいケアを行うことが大切です。以下では、自分でできる対策法をご紹介するので、ぜひ実践してみてください。

PTSDやトラウマの対策法①外傷体験直後に安心感を与える

外傷体験をした人は感情が不安定になりやすいですが、直後に応急処置として安心感を与えることで、つらい体験に対する反応が異常ではないことを自覚でき、PTSDやトラウマの原因となる感情を払拭できるようです。

また、深呼吸をしながら幸せな体験を思い浮かべる動作を毎日続けると、心身を落ち着かせられるといわれています。

PTSDやトラウマの対策法②つらい体験を見つめ直す

つらい体験にとらわれている場合、別の視点から体験を見つめ直すことも大切です。

例えば、「自分はもうダメだ」と責めるのではなく「経験があるからこそ成功するかもしれない」と見方を変えることで、前向きになれるかもしれません。

また、1人で抱え込まず誰かに相談することも大切です。周りを頼りサポートを受けると解決策を見つけるきっかけになるので、自分自身を楽にするために打ち明けてみましょう。

PTSDやトラウマでお悩みの方は新宿うるおいこころのクリニックにご相談ください

今回は、PTSDとトラウマの違いや共通する症状、緩和に向けた対策法について解説しました。

PTSDはつらい体験から記憶障害を起こし後遺症となったもの、トラウマは極度の恐怖に直面した際の普通の反応という違いがあります。

また、共通する症状として再体験や不眠などがみられますが、少しでも緩和させるためには見方を変えたり相談したりすることが大切なので、1人で抱え込まず周りを頼るようにしましょう。

新宿うるおいこころのクリニックでは、PTSDやトラウマに関する相談に対応しています。
治療の一環として、臨床心理士・公認心理士在籍のカウンセリングを受けることで、気持ちを整理したり症状を改善できたりします。1人ひとりに合わせた治療提案も可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。

よくある質問

PTSD(心的外傷後ストレス障害)はどのように診断されますか?

PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、心理的評価や問診を用いて診断します。診断基準にはDSM-5を使用し重症度や状態を詳しく判断します。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の4つの症状について教えてください

PTSDは、「侵入症状」「過覚醒症状」「回避・麻痺症状」「否定的な認知・感情」の4つの症状から成り立っています。それぞれの特徴は、以下のとおりです。

  • 侵入症状(突然フラッシュバックする)
  • 過覚醒症状(緊張状態が続き過敏になる)
  • 回避・麻痺症状(体験を連想させる場所を避ける当事者なのに他人事に感じる)
  • 否定的な認知・感情(ネガティブに考え自分を責める)

PTSDとトラウマに違いはある?特徴や共通する症状から関係性を知ろう

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あなたのご来院を心よりお待ちしております。

20歳未満の方へ
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当院では、18歳未満の方は治療をお受けいただけません。
自由診療の場合、18歳以上、20歳未満の方は保護者の同伴、もしくは同意書が必要となります。
以下よりダウンロードの上、保護者の方に記入いただいたものを当日ご持参ください。

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