毎週日曜夜10時30分から放送中の厨房のありす。
主人公は発達障害の一つであるASDを抱えており、自身の症状に悩みながらも料理人として様々な人と関わりあっていくストーリーです。
この記事では、厨房のありすからみるASDの症状や向き合い方、周囲のサポートについて徹底解説します。ドラマを見てASDを知りたくなった方や、実際に症状で悩みを抱えている方は参考にしてみてください。
目次
厨房のありすのあらすじ
街の小さなごはん屋さん『ありすのお勝手』を店主である主人公の八重森ありす。
自閉スペクトラム症(ASD)を抱え生きづらさを感じている彼女だが、特性からくる驚異的な記憶力と科学の理論を基に、お客さんに寄り添うおいしくてやさしい料理を振る舞う。
ありすを中心に、個性豊かな人々との関わりを描いたハートフル・ミステリー。
厨房のありすのみどころ
ASDの娘とゲイの父親など、個性豊かなキャラクター達が繰り広げるやさしくて温かい物語。かつて性同一性障害は精神障害とされていたが、近年ではWHOによって除外されるなど、多種多様な特性や特徴を個性として社会的に受け入れるよう働きかける動きが加速しています。
さまざまな個性的なキャラクターが人生に奮闘する姿が、周囲のみならず自分自身でも特性や障害を個性として受け入れ、向き合いながら生きていくという選択肢を与えてくれるようです。
多様性が尊重される時代だからこそ、このように多様性の在り方をポジティブな表現でコミカルに伝えてくれるようなストーリーはみどころだと感じられます。
厨房のありすの出演者・キャスト・相関図
厨房のアリスの出演者・キャスト・相関図情報をご紹介します。
八重森ありす役:門脇麦
ひっそり佇む料理店「ありすのお勝手」の店主。
有機化学者である父・心護の影響で科学に魅了され、レシピを化学式や化学変化を用いて理解している天才料理人。ASD(自閉症スペクトラム)を持ち生きづらさを抱えているが、持ち前の特性によりお客さんに合わせたやさしいごはんを振る舞う。
酒江倖生役:永瀬廉
「アリスのお勝手」で住み込みバイト希望の、住所不定のフリーター。
不愛想で口数も少ないが、ありすに気に入られて無事採用されることに。ありすの特性に戸惑いつつも、彼女の一生懸命さに惹かれていく。
謎が多い人物だが、ありすのお勝手に来たのには目的がある。
八重森心護役:大森南明
ありすの父親。未婚でゲイであることを公言している。
普段は有機化科学専攻の教授をしているが、かつては大手製薬会社で研究をしていた。ありすに深い愛情を注いでおり、かなりの心配性。ありすに母は亡くなっていると伝えるも、詳細は語らない。
三ッ沢和紗役:前田敦子
ありすの幼馴染で、唯一の友人。
2人の息子を持つママであり、「ありすのお勝手」のホール係。現在は第三子妊娠中のため、代わりのバイトを探している。地元では有名な元ヤンで気性が荒いが、根はやさしくいつもありすを守っている。ありすのことをよく理解していて、倖生に接し方を教えていく。
五條蒔子役:木村多江
大手製薬会社・五條製薬のご令嬢。
新薬開発に携わる創薬科学者として働く方傍ら、夫・誠士のサポートをしている。真面目で責任感が強く、自分に厳しい性格。研究者時代の心護の同僚でもあり、ありすの過去を知る人物。
五條道隆役:北大路欣也
大手製薬会社・五條製薬のCEO。
会社の存続を何よりも大事にしており、そのためなら恨まれようと手段を選ばない。近いうちにCEOの座を誠士に譲り、会長に就任予定。
三ッ沢金之助役:大東駿介
和紗の夫。和紗の実家である三ツ沢工務店の大工として働いている。
思っていることを口に出したり、調子に乗りやすかったりするが、まっすぐで気立ての良い男。
五條誠士役:萩原聖人
蒔子の夫で、五條製薬のCEOに就任予定。
以前は、蒔子と心護の同僚として研究をしていたが、現在は婿として経営側に携わっている。性格は穏やかで頼りになる愛妻家。
三ッ沢定一郎役:皆川猿時
和紗の父で三ツ沢工務店の社長。
一流大工の職人気質だが、明るく皆に公平。和紗が小さいころから「ありすを守ってやれ」と発し、八重森親子を一番近くで見守り続けている。
厨房のありすの結末はどうなる?
厨房のありすは原作がない完全オリジナルストーリーのため、結末はまだ分かりません。
個人的な予想ですが、明確になっていないありすの過去や五條家との関係性、倖生が店に来た理由が明かされていくのではないかと考えています。
厨房のありすで出てくるASDとは?
ASDとは、空気が読めない、物事を抽象的にとらえることが困難、こだわりが強いといった特性を持つ発達障害の一種です。特性のあらわれ方は個人差があり、日常生活での問題は少ない人、対話が難しい人、体を常に動かす癖がある人など様々です。
また、先天性の障害であるため完治することはできませんが、適切な治療や支援を通して困難の解決や自己理解など生きづらさの軽減が叶います。
ASDの特徴やアスペルガー症候群との違いについて詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。
厨房のありすの主人公が抱えるASDの症状
次に、厨房のありすの主人公からみる、ASDの症状を解説します。
人とのコミュニケーションが苦手
ありすは人に近寄られるのが怖く、他者との気持ちのやり取りが苦手な特性を持っています。これは、対人関係における困難の症状に当てはまり、大きな不安やストレスにつながります。また、人と目を合わせられない点もASDの症状の一つであり、無意識に逸らしたり会話を中断したりしてしまうのです。
大きな音や光に敏感
ありすは、大きな音があると動けなくなったり、鍋から火が出るなど予想しない出来事が起こるとパニックになったりします。これらは五感が敏感、マルチタスクができない、パニックになりやすいなどの症状に当てはまります。
ASDの人は、一つの物事しか処理できない傾向にあり、イレギュラーな対応が苦手です。また、近くで話し声が聞こえる、機械音が大きいなどの環境に置かれると集中できなくなってしまい、パニックに陥ることがあります。
記憶力が良い
ありすは記憶力が良く、食材の栄養素や調理工程を元素記号や化学式で覚えています。ASDの人は、好きなものに対しての記憶力や集中力が高まる傾向にあり、何時間でも作業が行えたり細部に目がいったりするのです。
また、幼少期に心を閉ざしていたありすが科学にハマったことも、「一般の人がはまりにくいマニアックな領域に没頭しがち」という症状に当てはまります。
行動に規則性がある
ありすには、みそ汁の具は曜日ごとに決まっている、テーブルの拭き方も指定がある、スーパーまでの道順も固定、調味料は決まった順番でないとダメ、など行動に規則性がみられます。また、作中では規則性を崩した倖生に怒る場面も。
これらは、こだわりの強さや不規則性な事柄に対する嫌悪感の症状に当てはまり、自分の中のルールが崩れるとパニックになります。
厨房のありすではASDとどう向き合っている?
作中では、天才ともいわれているありすですが、本人は「普通が一番」と発言している場面も。ここでは、ありす自身が行っているASDへの向き合い方を解説します。
自分の特性を活かした仕事をしている
ありすは、驚異的な記憶力と化学式に対する深い理解力があります。
ありすはこれらの能力を活かし、自分の好きな料理を提供するレストラン「厨房のありす」をオープンしました。自身が持つASDの特性を強みに変え、お客さんに美味しいと喜ばれる料理を作っています。
落ち着くための対処法を身に付けている
パニックになった際、元素記号を唱えることで感情の高ぶりを回避しています。
ありすは、自分がどのような状況でパニックになるのかを把握したり、パニックが起こったときの対処法を自己理解したりすることで、感情の暴走を防いでいるのです。また、周囲の人に自分の特性や対処法を伝えているため、理解や協力を得やすい環境を構築しています。
困ったときは周囲に頼る
いきづらさを感じながらも、周囲を頼り信頼できる人の意見を聞き入れることで、自分の気持ちや感情を整理しています。
時に、自身のこだわりを妥協したくないと感じた場合は、素直に相手に気持ちを伝えるという行為を通して、他者との関係性を構築しています。
厨房のありすから考えるASDに対するサポート
ここでは、ありすとほかの登場人物との関わり方からみる、周囲のサポート体制を解説します。
周囲に相談しながらサポート
ありすの育児に手詰まりになった際に、猿時に相談した心護。このように、身近な人がASDと診断された際は、1人で抱え込まず周囲の人へ協力を仰ぐと良いです。
また、クリニックや支援センターなどの専門機関に相談することも大切であり、適切な治療や指導を受けることで、負担の軽減につながる可能性があります。
特性を押さえつけない
ありすには強いこだわりがありますが、周りはその特性をやめさせたり否定したりすることはありません。ASDの人の興味や関心に干渉した場合、症状が悪化や大きなストレスに発展する可能性があるため、ありすの自己決定を大切にしているのです。
ASDの人をサポートする際、時には社会的なルールやマナーを教えることも大切ですが、あくまで本人の気持ちやニーズを尊重した上で、対話や支援を行うと良いでしょう。
本人の特性に寄り添う
住み込みバイトとして働くようになった倖生は、ありすのこだわりを覚えようと頑張っています。ほかの登場人物も同様で、常に温かい目線でありすを見守っています。
身近な人がASDと診断された場合にできるサポートは、「生まれつきの特性であるため、本人の意思ではどうしようもできない場合がある」と理解を示すことです。
当事者が何に困っているのか、どんな苦悩を抱えているのかを知り、必要な支援や配慮を提供してみると良いでしょう。
厨房のありすのようにASDと向き合う方法を模索するなら、精神科・心療内科への相談がおすすめ
厨房のありすは、ASD(自閉症スペクトラム障害)が題材となっている作品です。
ありすは料理が得意で、料理人として働くことを夢見ていましたが、特性により職場に馴染むことができませんでした。しかし、自身の特性を活かせる料理店をオープンすることで、自分らしく生きる道を見つけたのです。
このように、ASDの症状で生きづらさを感じている場合、環境を変えることでストレスが軽減される可能性があります。
新宿うるおいこころのクリニックでは、ASDなどを初めとした特性・病気の治療・症状改善やリワークなどの就労支援施設への紹介を行っています。また、症状に対する自己管理やカウンセリングも実施していますので、ASDに関するお悩み事を抱える方はどうぞお気軽にご相談ください。
よくある質問
厨房のありすはいつ放送されていますか?
日本テレビ系列で毎週日曜22:30から放送されています。
厨房のありすでみられるASD症状は、ASDの疑いがあるすべての人に当てはまりますか?
ASDの症状の度合いや出方は個人によって異なります。そのため、作中で出てくる症状に当てはまらなかったり、その他の特性がみられたりする場合でもASDと判断される可能性があります。
厨房のありすに出てくるASDって何?作中からみる症状のあれこれを徹底解説
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