「頼まれごとを断れない」「真面目で責任感が強い」「他人を優先しがち」
これらの特徴に当てはまる場合、適応障害になりやすい傾向にあるかもしれません。
では、ストレス耐性が低かったり、適応障害のサインがみられたりする場合は、どのように対処していけばいいのでしょうか。
この記事では、適応障害のサインやなりやすい人の特徴、再発する兆候について解説します。
目次
適応障害とは
適応障害とは、置かれた環境で生じるストレスが原因となり、不安感や抑うつ、不眠など日常生活に支障をきたす症状が現れる精神疾患のことです。
症状は、ストレス原因となる環境から離れることで改善されますが、悪化するとうつ病に発展してしまうこともあります。
適応障害は、うつ病と症状が似ていることから同じ病気と誤解されることもありますが、適応障害はストレス環境以外では元気な場合がある、うつ病は異なる環境でも常に意欲がない、という違いがあります。
下記の記事では、適応障害の症状や原因、予防策、うつ病との詳しい違いについて解説しています。適応障害について詳しく知りたい方はチェックしてみてください。
<適応障害の詳しい原因、予防策をチェックする>
適応障害のサイン
下記では、代表的な適応障害のサインをまとめているので、参考にしてみてください。
- 精神面:怒りっぽくなった、やる気の低下
- 行動面:ミスや遅刻の増加、作業スピードの低下
- 身体症状:動悸、多汗、めまい
これらの症状が頻発している場合、放置していると適応障害に発展する可能性があります。症状を悪化させないためにも、適応障害のサインに気づいた際は早めに専門医に相談することが大切です。
適応障害になると顔つきが変わる?
適応障害の症状である抑うつや無気力感によって、顔つきが変わる可能性があります。
例えば、目の下にクマができたり、肌の色が悪くなったり、表情に余裕がなくなったりするなどです。
また、会話をしても無表情が続いたり、目の焦点が合わなかったりなど、コミュニケーション面での変化もみられます。
適応障害になりやすい人の特徴
適応障害になりやすい人は、以下のような特徴を持っていることが多いです
- 自己肯定感が低く、自分に自信がない
- 人間関係に不安や不満を抱えやすい
- 繊細でイライラしたり落ち込んだりしやすい
- 真面目で責任感が強い
- 几帳面で完璧主義
自分の感情や行動をうまく調整できない人や、自分の感情を抑え相手を優先してしまう人の場合、ストレスが溜まりやすく適応障害になりやすいといわれています。
また、真面目な方や几帳面、完璧主義者に当てはまる場合、ストレスを溜め混んでしまう傾向があるので、注意が必要です。
適応障害の診断チェックリスト
下記に当てはまる場合、適応障害の可能性があります。もしかして自分は適応障害かも?と思っている方は、参考にしてみてください。
- ストレス耐性が下がった
- 疲れを感じる
- 会社や学校に行きたくない日が続いている
- しばしば憂鬱になる
- 生活環境が変わり不安感が消えない
- 暴飲暴食が増えた
- 怒りの感情が抑えきれない
- 声が出なくなったり、多汗症状がみられたりする
※チェックリストは、一般的な特性をまとめたものであり、適応障害を断定するものではありません。症状に不安がある方は、医療機関へ相談するようにしましょう。
適応障害になりやすい人に多い環境
適応障害を予防するためには、身を置く環境を調整することも大切です。ここでは、環境が引き起こすストレスについてご紹介します。
内部要因
内部要因とは、自己肯定感やコミュニケーション能力やなど性格面から派生する要因のことです。
適応障害になりやすい人の場合、自分に対して過度な期待や責任感を持っていたり、自分の能力や価値を低く見積もっていたり、自分の感情を抑え込んだりすることがあります。自分に負荷をかけすぎると、ストレスへの対処能力を低下させるため、適応障害につながる可能性があります。
外部要因
外部要因とは、自分を取り巻く環境面で考えられる要因のことです。環境面で感じるストレスはさまざまですが、主に下記の状況がストレスにつながりやすいといわれています。
仕事の場合
- 職場での人間関係のトラブルやハラスメント
- 仕事量や期限のプレッシャー
- 職場での役割や責任の変化
- 転勤や異動などの環境の変化
- 失業やリストラなどの不安
生活面の原因
- 家族や友人との関係の悪化や別離
- 結婚や離婚などのライフイベント
- 病気やケガなどの健康問題
- 災害や事故などのトラウマ
- 経済的な困難や貧困
適応障害が仕事に与える影響
適応障害の症状により、仕事でもさまざまな影響を及ぼすことがあります。下記では、考えられる代表的な影響を3つご紹介します
コミュニケーションが取れなくなる
ストレスや不安により自分の感情をうまく表現できなくなるため、同僚や上司とのコミュニケーションが円滑に進まなくなることがあります。
また、指示やフィードバックを正しく理解できなかったり、自分の意見や要望を伝えられなかったりすることで、仕事の効率や成果に悪影響を及ぼす可能性も考えられます。
初歩的なミスが増える
症状の1つである集中力や記憶力の低下により、簡単な仕事でもミスをしやすくなります。
初歩的なミスが重なった結果、自己肯定感や周囲からの信頼が低下することで、ストレスや不安がさらに高まることもあります。
頭痛や倦怠感により出勤困難になる
身体が拒否反応を起こすことで、ストレス対象から逃れようとする頭痛や倦怠感、吐き気などの症状が起こります。
このような症状が悪化すると、仕事に行けなくなったり、早退したりすることも多くなり、さらなる罪悪感やストレスを抱えてしまうなどの悪循環に陥ることも考えられます。
適応障害になりやすい人がするべき行動・予防法
適応障害になりやすい人は、自身のストレス耐性やストレス解消法を把握しておくことが大切です。
ここでは、適応障害に陥らないために意識するべき行動・予防法をご紹介します。
ストレスを抱えすぎない
適応障害になりやすい人は、ストレスを抱え込む傾向があります。
そのため、自分のキャパを把握したうえで、無理をしないよう心がけることが大切です。また、頼みごとを断れない性格を変えられない場合、ストレスになりうる環境や人間関係を物理的に避けることもおすすめです。
症状が出たらすぐに受診
適応障害の症状が出たら、放置せずに医師やカウンセラーなどの専門家に相談しましょう。無理をして症状が悪化すると、うつ病などの合併症を引き起こしてしまうため、早い段階で専門家による適切な治療を受けることが大切です。
周囲に相談する
周囲に気持ちを吐き出したり、アドバイスをもらったりすることは、ストレスの解消につながるため適応障害の予防法として効果的です。
また、周囲に相談できる相手がいない場合は、カウンセラーや相談窓口を活用することもおすすめです。自分の気持ちを打ち明けることで、自分の奥底にあるストレスの解消になるでしょう。
適応障害の人との接し方
ここでは、適応障害の人と接するうえでの3つのポイントをご紹介します。
過剰に干渉しない
ストレス原因を過剰に干渉したり詮索したりすると、相手を追い込んでしまう可能性があります。相手の気持ちや状況を尊重し、話したくなったタイミングで聞いたり励ましたりと、負担にならない範囲で必要なサポートすることが大切です。
否定せずに理解を示す
否定的な言葉や態度をとられると、さらに落ち込んだり孤立したりする可能性があるため、相手の気持ちを否定せずにできるだけ理解を示すことが大切です。
また、自分の感情や思考が正しいか不安になってしまう症状に寄り添うためには、適応障害の人に対して考えを伝えたり褒めたりすると良いでしょう。
無理にお願いを頼まない
症状の1つとして、自分の能力に自信がなくなってしまう傾向がみられるため、お願いをされるとプレッシャーを感じたり、断れず無理をしたりする可能性があります。
相手が適応障害になっている場合、精神負担に配慮し無理なお願いをしないことが大切です。また、何かお願いする場合は、断っても構わないことを伝えたうえで頼みごとをするようにしましょう。
適応障害の治し方と治療法
ここでは、適応障害の治し方と治療法について解説します。
環境調整
環境調整とは、ストレス要因となっている対象から距離を置いたり、コミュニケーションにおける工夫をアドバイスしたりする治療法です。
例えば、仕事や学校の負担を減らす、人間関係を改善する、などを実行することで、物理的にストレス減に触れる機会を減らしていきます。環境調整は自分でできることもありますが、休職や休学の際に医師による診断書が必要なケースもあります。
薬物療法
薬物療法では、症状に合わせて抗不安薬や睡眠薬、抗うつ薬などを使用します。
薬物療法を導入する際は、あくまで症状に対する処置であり、適応障害の根本解決にはならないということを理解しておきましょう。また、副作用や依存性も考慮したうえで、医師の指示に従うことが大切です。
認知行動療法
認知行動療法は、ストレスに対する自身の思考を変えたり、ストレスが生じた際の行動を客観的に分析したりする治療法です。
思考から改善を目指す認知行動重療法は、適応障害の根本治療として有効ですが、効果を得るには長い時間や努力を有する場合が多くあります。
適応障害の再発する兆候
適応障害は完治可能な精神疾患ですが、場合によっては再発する可能性があります。再発を防ぎ環境変化に適応していくためには、再発率や兆候を知っておくことが大切です。
適応障害の再発率
厚生労働省の調査では、適応障害の発症率は復職後1年で57.4%、2年で76.5%が再病休しているという結果が出ています。
このように、一度適応障害に陥ってしまうと再発の確率は高くなり、生活や仕事に大きな影響を及ぼします。
参考
・主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究|厚生労働省
適応障害が再発する兆候
ストレス源に対する過剰反応がある場合、適応障害の再発兆候となっている可能性があります。例えば、仕事や人間関係などで問題が起きた際、強い不安や怒りを感じたり、自暴自棄になったりする場合、ストレスに対処する処理能力の低下が考えらえます。
また、睡眠障害や食欲不振、頭痛などの身体症状、認知機能の低下がみられる場合、ストレスが原因で自律神経やホルモンのバランスの乱れが生じているため、適切な休息を確保することが大切です。
適応障害の診断は新宿うるおいこころのクリニックにお任せください
新宿うるおいこころのクリニックでは、適応障害の治療を行なっています。再発を未然に防ぐための生活指導やカウンセリングも実施しているので、少しでも症状に違和感がある方はお気軽にご相談ください。
よくある質問
適応障害は再発しますか?
適応障害は再発リスクを持っている精神疾患です。少しでも再発の兆候がみられる際は、精神科・心療内科へ受診するようにしましょう。
投薬は避けたいのですが、適応障害の治し方は自由に選べますか?
新宿うるおいこころのクリニックでは、お客様の希望に合わせて幅広い治療法をご提案しています。お悩み事やご要望がある際は、お気軽にお申し付けください。