大人の女性のADHDの特徴とは?症状あるあるや気付くタイミングとは

ADHD (注意欠陥多動性障害・多動症)

大人の女性のADHDの特徴とは?症状あるあるや気付くタイミングとは

表面化しにくく二次障害に発展しやすいことが特徴の女性のADHD。
子ども時代では症状が見逃されがちなため、大人になってから症状に気付いた女性も少なくありません。

この記事では、女性のADHD特徴や大人になって気付く場面、症状、向き合う方法について解説します。ADHDを抱えている女性あるあるも含めて解説しているので、ADHDかも?と感じている方はぜひ参考にしてみてください。
 

このコラムの監修医師

大垣 宣敬

新宿うるおいこころのクリニック院長

大垣 宣敬

患者様が抱えているものは1人1人異なっており、症状の種類や程度も千差万別です。
私たちは患者様からお話を聞くことで悩みを共有し、ご希望や思いを丁寧に汲み取りながら、患者様中心の医療を共に実践していけるよう心がけています。

目次

女性も発症する大人のADHDの特徴とは

女性も発症する大人のADHDの特徴とは

大人の女性におけるADHDは、不注意優勢型が多いことが主な特徴です。また、ADHDの特性を抱えていても周囲に合わせたり適応力が高かったりする傾向にあるため、診断が難しいとされています。
そのため、女性のADHDは見逃されやすく、隠れた特性から二次障害に発展する可能性も男性に比べて多いようです。

参考
・ADHDあるいはその疑いのある成人女性の生活上の困難とその背景にあるもの―聞き取り調査を通して―|白潟 博子(創価大学大学院紀要・第 38 集・2016年12月)
・成人ADHD(注意欠陥/多動性障害)研究とADHD学生の支援|山下 京子(広島女学院大学論集 第60集)

大人のADHDの特徴①発症率は女性より男性の方が多い

一般的に、発症率は女性より男性の方が多いといわれており、割合は小児期で2:1、成人期では1.6:1とされています。
女性が少ない要因は、子ども時代に破壊的な行動が少ないため、症状が見逃されることがあげられます。症状が分かりにくい一方で、大人になってから結婚や社会生活を通じて、ADHDの特性による問題が現れることがあるようです。

大人のADHDの特徴②女性は不注意優勢型と診断されやすい

多動性や衝動性が少ない一方で、忘れ物やなくし物が多く、集中が続かず気が散りやすい傾向があります。そのため、不注意優勢型と診断される傾向にあり、順序立てが苦手、家事が効率よくできない、物事がスムーズに進まないといった困りごとを抱えることが多いようです。

大人のADHDの特徴③女性の方が重症化しやすい

ADHDが表面化しにくい分、症状に気付かれず重症化に至ったり二次障害に発展しやすかったりするといわれています。
また、男性は行為障害や双極性障害といった攻撃性を伴う二次障害がみられる傾向にありますが、女性は不安障害やパニック障害など不安を伴う二次障害が多いようです。

女性にみられる大人のADHDで併発しやすい精神疾患

併発しやすい二次障害としては、以下の精神疾患があげられます。

  • 気分変調症:慢性的な軽度~中度の抑うつ状態が長期間続く
  • パニック障害:突然の強い不安や恐怖を感じ、動悸や息切れ、めまいなどが起こる
  • 広場恐怖症:エレベーターや電車など、逃げづらい公共の場所に対して強い恐怖を感じる
  • 単一恐怖症:特定の物や状況に対して強い恐怖感を感じる(例:先端恐怖症、集合体恐怖症など)
  • 全般性不安障害:日常生活において漠然とした不安を抱き、身体・精神面で不調をきたす

女性が大人のADHDに気付く場面

女性が大人のADHDに気付く場面

ADHDを自覚するタイミングは人それぞれで、中には長年気付かないまま過ごしているケースもあるようです。ここでは、女性が大人のADHDに気付く代表的な場面をお伝えします。

女性が大人のADHDに気付く場面①仕事で失敗を繰り返す

職場で重要な書類を紛失したり、会議での発言を忘れたりなどの失敗を繰り返すことでADHDではないかと思う人がいるようです。
また、時間管理が苦手で締め切りに間に合わないことや、複数タスクを同時にこなすのが難しい悩みから自己評価が下がり病院へ受診したところ、ADHDと診断されるケースもあるといわれています。

女性が大人のADHDに気付く場面②家事や育児が上手くいかない

家事や育児の中で、計画通りに物事が進まないことが重なり、ADHDの特性に気付くケースがあるようです。
例えば、料理中に他の事に気を取られて焦がしてしまう、育児をする際に順序立てできずあたふたするなど、不注意や優先順位の付け方が難しいと感じる場面が多いといわれています。

女性が大人のADHDに気付く場面③恋愛でパートナーとの関係が築けない

恋愛において、パートナーとの関係が上手く築けないことが、ADHDの特性に気付くきっかけになるといわれています。
例えば、デートの約束を忘れたり、唐突な発言で相手を傷つけたりすることを繰り返し、ADHDに気付くケースがあるようです。
また、大人のADHDにおいては、感情のコントロールが難しいことから、相手とのコミュニケーションを取りにくいと考えられています。

下記記事では、ADHDに気付いた時の相談先や治療法について解説しています。合わせてご覧ください。

大人の女性のADHDで起こる症状

大人の女性のADHDで起こる症状

ここでは、大人のADHDで起こる症状について詳しく解説します。

大人の女性のADHDで起こる症状①順序立てできない

順序立てできない症状としては、作業効率が悪い、マルチタスクをこなせない、作業の優先順位を付けられないといった問題がみられるようです。
また、計画を立てても途中で方向性が変わったり、イレギュラーな場面での対応ができなかったりする症状もあるとされています。

大人の女性のADHDで起こる症状②いってはいけないことを口に出す

衝動性が強いADHDを持つ大人の女性は、感情をそのまま口に出してしまう傾向があります。
何事も考えずに発言してしまうため、場の空気が読めなかったり誤解を生んでしまったりするようです。後になって発言を後悔することも多いようですが、実際に発言する場になると感情を抑えられないことが特徴といわれています。

大人の女性のADHDで起こる症状③頭の中で複数の思考が飛び交う

ADHDを持つ大人の女性は、頭の中で複数の思考が同時に飛び交う傾向にあるようです。思考は、意思と関係なく湧き上がるとされ、不注意や注意散漫といった症状につながります。
日常生活では、症状により作業中に別の事を考えてしまいミスを起こしたり、寝る時も思考が止まらず不眠になったりするといわれています。

大人の女性のADHDで起こる症状④相手の気持ちを読み取れない

相手の気持ちを読み取るのが苦手な症状から、人間関係でトラブルを起こしやすいといわれています。
例えば、相手の表情や声から気持ちを察せられなかったり、気持ちに寄り添わない発言をしたり、無意識に相手を傷つけたりと、誤解や衝突を生みやすいようです。

参考
・ADHDあるいはその疑いのある成人女性の生活上の困難とその背景にあるもの―聞き取り調査を通して―|白潟 博子(創価大学大学院紀要・第 38 集・2016年12月)

大人のADHDを抱えている女性あるある

大人のADHDを抱えている女性あるある

ここでは、大人のADHDを抱えている女性あるある4選をご紹介します。

大人のADHDを抱えている女性あるある①自分を責めてしまう

ミスや失敗が重なると、
「すべては自分のせいだ」
「なぜこんな事もできないのか」
と自分を責めてしまうことが多いようです。自己評価が低くなるため自信がなくなり、不安障害や気分変調症といった二次障害を引き起こしやすいといわれています。

大人のADHDを抱えている女性あるある②自分に対する過度な期待と落胆

何かを始める前、
「今度こそ上手くやれる」
と自分自身に期待を寄せる一方で、思うように進まなかったり結果が出なかったりすると、酷く落胆するようです。
また、失敗した際に感情が出やすい傾向にあり、
「また怒ってしまった」
「どうして自分は失敗するのだろう」
という後悔から自己評価がさらに下がるという悪循環を招くと考えられています。

大人のADHDを抱えている女性あるある③執着心に囚われる

ADHDの特性によりできないことがあっても、何度も挑戦したり諦めきれず囚われたりと、過度に執着をしてしまうようです。
これらの執着心は、
「やればできると思いたい」
「自信が欲しい」
という思考から生まれていると考えられています。また、特定の物事や考えに過度に執着することで、他の作業が後回しになったり、対象にばかりエネルギーを費やしたりするといわれています。

大人のADHDを抱えている女性あるある④自己否定感から卑屈になる

生じたトラブルにより、
「なんで皆と同じようにできないのか」
「自分はダメ人間だ」
と卑屈になってしまうようです。
この傾向は、ADHDの認識がなく、自身の性格に問題がある と誤認している場合に生まれやすいといわれています。また、生じるトラブルにより精神的な限界を迎えたことで、症状を調べるようになりADHDと気付いたケースも多いようです。

女性が大人のADHDと向き合う方法

女性が大人のADHDと向き合う方法

ここでは、女性が大人のADHDに向き合うための方法について解説します。

女性が大人のADHDと向き合う方法①症状により生じる困難を受け入れる

日常生活でさまざまな困難を引き起こしますが、まずはその現実を受け入れることが大切です。
例えば、計画通りに進められないADHDの特性を理解して無理のないスケジュールを組んだり、物忘れが多いことを自覚して管理方法を改めたりするなど、特性を認めた上でできる限りの工夫を凝らすと良いです。

女性が大人のADHDと向き合う方法②ありのままを受け入れる

ありのままを受け入れることで、ADHDの特性を長所として活かせるようになったり前向きに考えられたりします。
また、自分自身について理解し、周りに困難なことを伝えた上でサポートを受けると、生きづらさの解消につながるかもしれません。

女性が大人のADHDと向き合う方法③精神科・心療内科に相談する

ADHDの症状に悩んでいる場合、精神科や心療内科に相談することがおすすめです。
精神科・心療内科では、適切な薬物療法やカウンセリングを受けられたり、症状のコントロール法が知れたりします。また、二次障害に対する治療も可能なため、症状が慢性化する前に対処できるでしょう。

参考
・ADHDあるいはその疑いのある成人女性の生活上の困難とその背景にあるもの―聞き取り調査を通して―|白潟 博子(創価大学大学院紀要・第 38 集・2016年12月)

大人の女性特有のADHD症状でお悩みの方は、新宿うるおいこころのクリニックへご相談ください

今回は、大人の女性にみられるADHDについて解説しました。 
女性は男性に比べて症状が目立ちにくく、診断が見逃されることで二次障害に発展しやすいという特徴があります。ADHDの特性としては不注意優勢型が多く、結婚後に家事や育児を通して気付いたというケースも珍しくないようです。
ADHDは、精神科・心療内科の治療を通して負担軽減を目指せるので、ADHDかも?と思ったタイミングで相談してみましょう。

新宿うるおいこころのクリニックでは、大人のADHDに対する治療が可能です。
経験豊富な専門医が、ライフスタイルや特性に応じた治療提案をすることで、1人ひとりに合わせた生きづらさの改善を目指せます。
「何となく自分自身の性格に違和感を覚えている」
「仕事でミスが多いことが気になる」
などのお悩みにも対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。

<新宿うるおいこころのクリニックのADHD治療について>

よくある質問

大人のADHDはどのように治療していきますか?

大人のADHDの治療では、薬物療法やカウンセリングを通して二次障害を改善したり、ストレス管理法の習得により症状のコントロールを図ったりします。
新宿うるおいこころのクリニックでも、ADHDの治療を行っておりますので、詳しくは受診時にご相談ください。

大人のADHDの診断方法を教えてください

大人のADHDの診断は、問診や心理検査を通して総合的に判断します。また、血液検査や尿検査を実施し、他の疾患の可能性も検査します。

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