パニック障害は、予期せぬタイミングで強い不安や恐怖を感じ、体にさまざまな症状が現れる障害です。
パニック障害は突然発症する場合もありますが、なりやすい人には共通した特徴があるといわれています。
今回は、パニック障害になりやすい人をチェックリストや行動面でみられる特徴から解説します。パニック障害になりやすい特徴を持つ場合に気を付けることも含めてお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。
このコラムの監修医師

新宿うるおいこころのクリニック 院長
大垣 宣敬
患者様が抱えているものは1人1人異なっており、症状の種類や程度も千差万別です。 私たちは患者様からお話を聞くことで悩みを共有し、ご希望や思いを丁寧に汲み取りながら、患者様中心の医療を共に実践していけるよう心がけています。
目次
パニック障害になりやすい人はどんな人?
パニック障害になりやすい人にはいくつかの共通点があり、遺伝的要素や性格的な要因が関係しているといわれています。例えば、遺伝的要素では家族にパニック障害や不安障害の患者がいる場合、発症のリスクが高まるようです。性格的な要因としては、神経質な性格や過度にストレスを感じやすい傾向にある人が、パニック障害になりやすいとされています。
また、生活習慣や環境の影響もあるとされ、過去に大きなストレスやトラウマを経験した人、仕事のストレスや家庭内での問題、人間関係のトラブルが多い人などは、心身が不安定な状態が続くことによる発症リスクが懸念されています。
パニック障害についての詳細は下記記事をご覧ください。
パニック障害になりやすい人の特徴をチェックリストで確認
では実際に、パニック障害になりやすい人の特徴をチェックリストで確認してみましょう。以下であげる特徴が強くみられる場合は、パニック障害の原因となるストレスや不安を抱えやすいため、発症リスクが高くなるといわれています。
- 性格:常に不安や心配を抱えている、物事を深刻に考えすぎる傾向がある
- 過去のトラウマ:事故や自然災害、大きな失敗などの経験が心に深く残り、精神的な影響を受けている
- ストレス状況:長期間にわたる仕事のプレッシャー、家庭内の問題、経済的な困難などが続いている
- パニック発作の経験:過去にパニック発作を経験したことがあり、パニック発作の再発に対する恐れから不安が強くなっている
- 家族の病歴:遺伝的要因があるため、家族内にパニック障害や不安障害を抱える人が多い場合、リスクが高くなる
- 身体的な症状:体調の変化やちょっとした不快感に過剰に反応する傾向があり、心身の不調を感じやすい
- 精神的な症状:他人の評価を過度に気にする、社交的な場面で強い緊張を感じることが多い
特徴に当てはまらなくてもパニック障害になる可能性はある
上記のチェックリストに当てはまらない場合でも、パニック障害を発症する可能性は十分にあります。パニック障害は、必ずしも特定の性格や環境の人だけに現れるわけではありません。日常でストレスを感じていなくても突然に発作が起こる可能性があるため、誰でもパニック障害の発症リスクを持っていることを理解しておくと良いです。
また、生活習慣が不規則で体調が悪い状態が続くと、心のバランスが崩れやすくなり、結果としてパニック発作が引き起こされる場合もあります。チェックリストに当てはまらなくても、きっかけとなる要因は日常生活に潜んでいるため、予防策としてストレス管理やメンタルヘルスケアを意識的に行うことが大切です。
病院に行くべき目安についてを下記記事で紹介しています。併せてチェックしてみてください。
【行動面】パニック障害になりやすい人の行動面に出る特徴
以下では、パニック障害になりやすい人の行動面で現れる特徴についてお伝えします。行動が繰り返されることでリスクが高まるので、当てはまる場合はストレスを抱えすぎないように気を付けましょう。
パニック障害になりやすい人の特徴①働きすぎている
働きすぎている人は、仕事で精神的に追い込まれていても、自分の限界を意識できずに無理をすることが多いといわれています。例えば、「今、この仕事を終わらせないといけない」と感じるあまり休むことなく働き続けてしまい、突然のパニック症状が現れる可能性があります。
また、働きすぎている人の中には、仕事が多すぎて休憩を取る時間がなく、毎日の業務が終わる頃には心も体も疲れきっている人が多いようです。負担の大きい働き方を続けていると、徐々に精神的に不安定になってしまい、眠れない夜が増えたり体調が崩れてしまったりするので、パニック発作を引き起こすといわれています。
パニック障害になりやすい人の特徴②頼み事を全て引き受けている
周囲からの頼み事を断れない性格の人は、他人に対して過剰に気を使い、自分の限界を超えてしまうことがよくあります。
また、
「頼まれたからやらなければならない」
「他人を助けるのが当たり前だ」
と思い込んでしまうと、気付かぬうちに負担となり、精神的な余裕がなくなるようです。
このような特徴を持っている人は、自分の限界を理解し、他人の期待に応えすぎないように意識することが大切です。限界だと感じている時には、周囲の人に伝えてサポートを求めてみるようにしましょう。
パニック障害になりやすい人の特徴③完璧を求めて頑張りすぎている
自分に対して常に高い目標を設け、何事も完璧にこなさなければならないと考えている人は、失敗やミスを極度に恐れる傾向にあります。小さなことでも自分がうまくできなかったと感じると、自己評価が下がりストレスを引き起こすため、不安が強くなりパニック障害につながると考えられています。
また、他人と比較しがちな場合、自己評価がさらに厳しくなってプレッシャーに潰されてしまうケースもあるようです。精神的に限界を迎えてしまうリスクも高まるため、特徴に当てはまる場合は完璧でなくても良いという考え方を持ち、無理をしすぎないようにしましょう。
パニック障害になりやすい人の特徴を持つ場合に気をつけるべきこと
以下では、パニック障害にならないために気をつけるべきポイントをいくつか紹介します。
パニック障害になりやすい人の特徴を持つ場合、時には休んだり周囲を頼ったりすることが大切となるので、できる範囲で少しずつ意識を変えていくようにしましょう。
時には休むことを大切にする
休むことは、パニック障害の予防にあたり大切といわれているため、定期的に休憩を取る習慣を身につけ、仕事や家事などの合間に休む時間を設けるようにしましょう。十分な休息を取ることで、日々のプレッシャーから解放されて、心身のエネルギーが回復し、仕事や日常生活のパフォーマンスも向上するようです。
また、仕事で疲れている場合は、休職などを検討することも大切です。過労が続いていると、パニック発作になりやすくなり、結果として深刻な影響を及ぼす可能性があるので、定期的に休んだり周囲に相談して休暇をもらったりするようにしましょう。
頑張りすぎず周りを頼る
自分一人で全てを抱え込もうとすると、心の負担が大きくなるため、パニック障害のリスクが増すといわれています。周りに頼ることは決して弱さではなく、自分を守るために大切なものです。
必要な時にサポートを受けることで、自分の健康だけでなく、周囲に対する負担も軽減することができるので、勇気を出して頼るようにしましょう。
また、身近な人に頼りづらい場合は、カウンセラーへの相談もおすすめです。カウンセラーは、専門的な知識をもとに解決策を見出してくれるので、感情を整理したり置かれている状況を理解したりするきっかけになります。
リラックスを心がける
緊張状態が続いていると、パニック発作を引き起こすリスクが高くなるため、生活の中でリラックスを心がけるようにしましょう。例えば、深呼吸やヨガ、瞑想などのリラクゼーション法を取り入れることで、心身の緊張がほぐれやすくなります。また、趣味の時間を作ったり、毎日湯船に浸かったりすることもリラックスになるので、少しずつ取り入れてみると良いです。
以下では、リラックス法としておすすめな腹式呼吸の手順をお伝えします。
- ①軽く目を閉じてお腹に手を当てる
- ②数を数えながらゆっくりと息を吐く
- ③3秒数えながら鼻から息を吸い込む
※②③を5〜10分程度繰り返す
パニック障害になりやすい人の特徴に合致しても必ず発症するとは限らない
パニック障害になりやすい人の特徴に合致している場合でも、必ずしもパニック障害を発症するわけではありません。パニック障害は、様々な要因が絡み合うことで症状が現れるため、特徴の有無にかかわらず、ストレスや生活環境に気を付けておくことが大切です。
例えば、働きすぎや完璧主義が特徴的な人でも、うまくストレス管理をしていたり、リラックスの時間を確保していたりする場合、パニック障害の発症リスクは軽減されるといわれています。また、サポートが得られる環境にいることや、規則的な生活習慣を守ることでも発症を防げるため、なりやすい人の特徴を理解し、できる限り自分の心と体に優しく労わると良いでしょう。
パニック障害を発症した場合は早く病院に行く
パニック障害を発症した場合、早く病院に行き治療を受けることが大切です。パニック発作を放置してしまうと、身体的、精神的な負担が増して、日常生活にも支障をきたす可能性があります。最悪の場合、家から出られなくなったり社会的な活動が制限されたりする恐れもあるため、症状がひどくなる前に相談して適切な治療を受けるようにしましょう。
また、早めに病院を受診することで、再発リスクの軽減にもつながります。症状が慢性化してしまうと、パニック障害にかかりやすくなるので、体調に異変があった際は「これくらい大丈夫だ」と思わず医師に相談するようにしましょう。
パニック障害でお悩みの方は新宿うるおいこころのクリニックへお越しください
新宿うるおいこころのクリニックでは、パニック障害をはじめとする精神的な問題に対して、専門的な治療を行っています。パニック発作や強い不安、恐怖感に悩んでいる場合は、早期の治療を受けることで症状を抑えるきっかけになるので、無理せずご相談ください。
また、新宿うるおいこころのクリニックでは、患者様一人ひとりの症状や生活背景に合わせたオーダーメイド治療を提供しています。カウンセリングや認知行動療法などの心理療法のほか、必要に応じて薬物療法も併用しながら改善を目指します。精神科の受診が初めての方でも、医師が丁寧に説明を行うので、安心して治療に挑めるでしょう。
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よくある質問
パニック障害になりやすい特徴を持つ人に言ってはいけないことはありますか?
パニック障害になりやすい特徴を持つ人に、相手への理解を示していないような言葉をかけることは避けるべきです。例えば、「もっと頑張れば大丈夫だよ」「そんなことで悩む必要はない」といった言葉は、症状を軽視し、相手にプレッシャーをかける原因になります。
パニック障害になりやすい人と関わる際は、共感を示し、寄り添いサポートする姿勢をみせるようにしましょう。
パニック障害になりやすい人の特徴に当てはまったら病院へ行くべきですか?
パニック障害になりやすい特徴に当てはまる場合でも、パニック障害の症状がみられなければ受診する必要はありません。但し、パニック発作に近い症状がみられる、些細なことで不安を感じるようになった等、何らかの症状がみられる場合は病院へ行くようにしましょう。