適応障害は薬で改善できる？使用できる例やメリット・デメリットを解説

特定のストレスがきっかけとなる適応障害。
ストレス源から距離を置いたり心理面にアプローチしたりする治療が主となりますが、症状が辛い場合は薬を使用した症状改善も有効とされています。

この記事では、適応障害に薬を使用できる例や代表的な薬の特徴、メリット・デメリットについてお伝えします。適応障害で薬物療法を行う際は、治療の目的や注意点を知っておくと良いので記事を通して理解を深めてみましょう。

このコラムの監修医師

新宿うるおいこころのクリニック 院長

大垣 宣敬

患者様が抱えているものは1人1人異なっており、症状の種類や程度も千差万別です。 私たちは患者様からお話を聞くことで悩みを共有し、ご希望や思いを丁寧に汲み取りながら、患者様中心の医療を共に実践していけるよう心がけています。

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適応障害で薬を用いることで辛い症状の改善を目指せる

適応障害は、ストレス源から離れると回復していくことが特徴ですが、症状が酷い場合は薬物療法を用いた治療でも改善を目指せるといわれています。
薬物療法の例としては、抗不安薬や抗うつ剤により感情を安定させたり、睡眠導入剤によって不眠症状の改善を促せたりする治療があげられます。治療を行う際は、心理的なカウンセリングや環境調整を併用して行うケースが一般的で、根本改善するためにはストレスとなる問題の解決を第一に考えることが大切です。

そもそも適応障害とは

適応障害は、生活環境や社会的な状況の変化に適応できず、強い不安や抑うつなどの症状が現れる精神疾患です。引っ越しや転職、家庭内トラブルなど特定のストレス源によって引き起こされることが特徴で、ストレス源に対して心身が過剰に反応するようになります。
例えば、出社ができなくなる、引きこもりがちになる、喋れなくなるなど、普段は問題なくこなせていたことも適応障害を発症すると難しくなり、日常生活に大きな支障をきたします。

適応障害の症状について詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。

【公式】新宿うるおいこころのクリニック | 新宿の心療内科・精神科[東京新宿駅徒歩3分]

適応障害とはどんな症状？症状や治し方、病院に行く目安まで全て分かる

https://uruoi-clinic.jp/mental-column/adjustment-disorder/adjustment-disorder

適応障害で薬が使用できる例

適応障害を治す際は、心理療法などの治療を用いる傾向にありますが、症状が酷い場合には薬物療法による治療が行われるケースも存在します。
ここでは、薬が使用される具体例をいくつか紹介していきます。

適応障害で薬が使用できる例①不眠により眠れていない

適応障害では、強い不安から「眠れない」「途中で目が覚めてしまう」といった不眠症状に悩まされることがあります。
不眠が続くと、体が十分に回復しないまま翌日を迎えてしまうため、症状の悪化につながるといわれています。症状が悪化しより不安が強まると、さらに眠れなくなり症状を改善させるタイミングを見失ってしまうので、薬によって回復を図ると良いかもしれません。

適応障害で薬が使用できる例②抑うつ状態が酷く何も手につかない

適応障害によって抑うつ状態が現れると、物事に対する興味や意欲が失われたり、何も手につかなくなったりすることがあります。最終的には仕事や家事をこなせなくなり、日常生活が困難になる可能性もあるので、薬の服用により症状軽減を促すと良いといわれています。
少しずつ普段通りの生活を取り戻していくと、気持ちが楽になり意欲やエネルギーが戻ってくるようです。

適応障害で薬が使用できる例③強い不安に伴うイライラがみられる

ストレス源に触れる環境でプレッシャーが高まると、不安やイライラ感が強く現れるようです。例えば、心身が緊張状態になるため、物事がうまく進まないとイライラしたり焦ったりすることがあります。
このような症状が強くみられる際は、心のバランスを整える薬の使用により、心身が落ち着いてリラックス状態を保ちやすくなるといわれています。

適応障害で使用する代表的な薬

では実際に、適応障害の薬物療法で使用される代表的な薬について解説します。
症状に合わせて抗不安薬、抗うつ薬、睡眠導入剤などの薬を用いることで症状の緩和や改善が期待できるので、それぞれの薬の特徴や効果をみていきましょう。

抗不安薬

適応障害に伴う強い不安や緊張感には、抗不安薬が使われます。抗不安薬は過剰な不安を抑える働きがあり、神経の興奮を抑えることで症状を軽減します。服用により、心身のリラックスが促されて落ち着いた状態を保てるほか、不安感や緊張が和らぎ日常生活での支障が改善されることも特徴です。
効果的に使用できる抗不安薬ですが、突然の服用中止は不安や睡眠障害などの副作用を引き起こすといわれているので、計画的に中止していかなければいけません。

抗うつ薬

抑うつ状態が強く現れる場合、抗うつ薬により脳内の神経伝達物質（セロトニンやノルアドレナリン）のバランスを整えていきます。抗うつ薬の使用により、少しずつ前向きに考えられるようになるため、症状の軽減が期待できるようです。
薬の具体例としては、選択的セロトニン再取り込み阻害薬（SSRI）やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬（SNRI）があげられ、これらの薬は副作用が比較的少ないといわれています。

脳内の構造や神経伝達物質の詳細は、下記記事をご覧ください。

【公式】新宿うるおいこころのクリニック | 新宿の心療内科・精神科[東京新宿駅徒歩3分]

脳の構造と神経伝達物質の関係は？メンタルへの影響を分かりやすく解説

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睡眠導入剤

適応障害に伴う不眠症状が強くなっている場合、睡眠導入剤を用いることがあります。
不眠は、精神的なストレスが引き金となり起こるとされ、慢性的な眠気から日中の疲労感や集中力の低下を招き、症状のさらなる悪化につながるといわれています。
睡眠導入剤は、寝つきを良くして深い眠りを促すため、強い不安から眠れない、寝てもすぐに目が覚めるなどの症状に悩んでいる際に効果が期待でき、心身の回復を助けるようです。

適応障害で薬を使用するメリット・デメリット

適応障害における薬物療法には、不安症状の軽減などのメリットが得られますが、根本改善には休養が必要なため心理療法などを併用することが大切です。
以下では、薬物療法のメリット・デメリットをそれぞれ解説するので、注意点などをしっかりと理解したうえで治療を検討してみましょう。

薬を使用するメリット「適応障害に伴う不安などが軽減される」

適応障害における薬物療法のメリットとしては、強い不安や緊張感、抑うつ状態を軽減できる点です。薬によって症状が改善されることで、日常生活をスムーズにこなせるようになったり、復職を目指したりできるようになるため、自信回復にもつながるといわれています。
また、睡眠導入剤など症状に合わせて欲しい効果を得られるので、心理療法だけでは効果が十分でない場合でも効率的な回復を目指せます。

薬を使用するデメリット「適応障害の根本改善には休養が大切」

適応障害における薬物療法のデメリットとしては、症状が改善されていると勘違いしてしまう点があげられます。薬が効いている間は症状が改善されますが、薬物療法のみでは根本的な治療にはならない点に注意が必要です。薬物療法の目的は、適応障害の症状に対する一時的な緩和であり、根本原因となるストレスの除去や軽減は休養や環境調整、認知行動療法などの心理療法を通して行うことが大切です。
薬物療法を行う際は、ストレス源へアプローチする治療である心理療法と併用すると、より効果的な改善が期待できるので薬物療法の目的を理解しておきましょう。

適応障害で薬が使用できなかったらどうする？

薬物療法は、適応障害により生じている症状の緩和・改善のための手段という位置付けのため、薬が使用できない場合は認知行動療法やカウンセリングによってストレス源の除去と根本改善を目指します。
環境調整や心理的サポートにより症状の軽減を図れるので、薬が使用できなくても適応障害の改善が可能です。

薬を使わない適応障害の改善方法

薬に頼らず行う治療法としては、環境調整や心理療法が中心となります。治療を通してストレス源を解決したり、ストレス管理法を習得したりすることで根本改善を目指せるので、薬を使わない主な改善方法をチェックしてみましょう。

問題解決療法

問題解決療法は、問題やストレス要因を明確にして解決策を計画的に考える治療法です。問題を分析したうえで具体的な行動をとると、感情の整理や自信回復につながるといわれています。また、解決策を見出すことは精神的な安定をもたらすともいわれており、ストレスの軽減や前向きな思考を促進するようです。

休職と環境調整

休職や環境調整では、ストレス源から物理的に距離を置いて心身の回復を促します。
例えば、仕事がストレスの源になっている場合、休職によりストレスから解放されると症状が徐々に良くなるといわれています。環境調整として、業務負担を減らしたり作業環境を改善したりすることも大切なので、より健康的でストレスの少ない状況を作ると良いです。

心理療法

心理療法では、思考や感情といった心理面に働きかけます。治療を通して、「自分がダメなんだ」「完璧にこさないといけない」といったストレス源に対する認識を変えたり、ストレス管理法を学んだりすることで、考え方をポジティブなものに変えられるようです。
適応障害を治す際は、自分自身への理解や対処法の習得も大切な要素となるので、心理療法を受けながら実際にストレス管理を実践していくと良いでしょう。

参考文献
・カウンセリング / 心理療法｜e-ヘルスネット（厚生労働省）

認知行動療法

認知行動療法は、否定的な思考パターンや行動を見直し、思考そのものを変えていく治療法です。治療では、患者が自身の考えを客観的に捉えることで、「今頑張らないと誰も評価してくれない」「自分はダメ人間だから休んではいけない」といったストレスを引き起こす思考の修正を促します。
治療を通して、ポジティブに考えられるようになったり問題解決がしやすくなったりするため、根本改善につながるといわれています。

カウンセリング

カウンセリングでは、専門のカウンセラーに不安や悩みを打ち明けることで、ストレスの根本原因に向き合います。対話を通して自分の感情を整理できるため、問題解決に向けたアプローチが明確になるようです。
そのほかにも、第三者の視点でのアドバイスを受けられたり、味方がいるという安心感を得られたりするきっかけになるので、ストレス耐性が高まるといわれています。

新宿うるおいこころのクリニックは適応障害の治療に対応しています

「適応障害の症状が辛い」とお悩みの方は、新宿うるおいこころのクリニックへご相談ください。
酷い適応障害の症状は、薬物療法により回復を目指せるといわれています。新宿うるおいこころのクリニックでは、臨床心理士、公認心理士在籍のカウンセリングも並行して行えるので、ストレス源を明確にしたうえで悩みに合わせたサポートの提供が可能です。
他の精神疾患を併発している場合でも、症状に合わせた治療提案をいたしますので、皆様のご来院を心よりお待ちしております。

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