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PTSD(心的外傷後ストレス障害)やトラウマの診断基準は?診断するメリットや治療の心得まで解説

PTSD(心的外傷後ストレス障害)やトラウマの診断基準は?診断するメリットや治療の心得まで解説

「何度も過去の辛い体験を思い出す」「辛い体験がきっかけで落ち着かない」
このような症状がみられる場合、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やトラウマと診断されるかもしれません。

そこで今回は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やトラウマの診断を受けるメリットや診断基準、回復を目指す上での心得について解説します。
診断を受けることで、適切なサポートが受けられたり改善策を見出せたりするので、病院に行くか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

このコラムの監修医師

新宿うるおいこころのクリニック 院長

大垣 宣敬

患者様が抱えているものは1人1人異なっており、症状の種類や程度も千差万別です。 私たちは患者様からお話を聞くことで悩みを共有し、ご希望や思いを丁寧に汲み取りながら、患者様中心の医療を共に実践していけるよう心がけています。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマで悩んでいる場合は診断がオススメ

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマで悩んでいる場合は診断がオススメ

PTSD(心的外傷後ストレス障害)やトラウマに悩まされている場合、診断を受けて適切な治療を行なうことがおすすめです。

トラウマは、過去に経験した強い恐怖や危険な体験に対する心理的な傷のことで、症状が治まらないとPTSDを引き起こす可能性があります。PTSDになると、日常生活に支障をきたすほどの症状が出るので、診断を通して治療やカウンセリングを行い、影響を最小限に抑えることが大切です。

また、診断により国や自治体が設置しているサポートも受けられるようになるため、症状から生じている困りごとの改善も叶います。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマの診断を受けないと重症化する可能性も

PTSD(心的外傷後ストレス障害)やトラウマは、自然治癒する可能性もありますが、時間が経つにつれて治りづらくなると考えられています。

診断を受けないことで治療が行われず重症化してしまうと、自傷行為やうつ症状が現れることがあり、社会生活や仕事への影響も大きくなるようです。また、放置することで他の精神疾患を併発するリスクも高まります。

辛い体験から逃れるために依存症に陥る可能性もあり、深刻な事態を招きやすくなるため、できるだけ早めに診断を受けて治療を始めることが大切です。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマの診断を受けるメリット

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマの診断を受けるメリット

ここでは、診断を受ける3つのメリットを詳しく解説します。診断を受けることで、影響を与えている体験に気付けたり対策法が分かったりするので、メリットを知って前向きに病院への受診を検討してみましょう。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマの診断を受けるメリット①診断を受けることで気持ちが軽くなる

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマを抱えている状態では、心身が不安定になるため、何が問題なのか分からなくなったり正常な判断ができなくなったりします。

例えば、「自分はおかしいのではないか」「この状態が一生続くのではないか」などの思考に悩まされますが、専門家による診断を受けることで、何に苦しんでいるのか客観的に理解できるようになります。

また、自身の状態に名前が付くことは、漠然とした不安や恐怖の軽減につながり、気持ちを軽くするきっかけになるようです。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマの診断を受けるメリット②適切な治療を受けられる

診断を受けることで、症状に合う適切な治療を受けられるようになります。

例えば、記憶を整理するために心理療法を行ったり、症状が酷い場合は薬物療法を用いたりと、それぞれの状態に応じた治療法が存在します。

診断せずセルフケアだけを続けていても、時間のみが過ぎてしまい悪化する可能性があるので、改善がみられない場合は適切な治療を通して早期回復を促すことが大切です。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマの診断を受けるメリット③他の精神疾患の併発に気付ける

診断では、心身の状態を総合的に評価するので、他の精神疾患の併発に気付けます。

場合によっては、うつ病や不安障害、依存症を併発している可能性があり、自殺企画に至るリスクも考えられるので、自身の状態を診断してもらい、異変がある場合は早期に対策を行うと良いです。

 
参考
・ストレス・トラウマ 第一部 基本知識|国立精神・神経医療研究センター

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマと診断される症状

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマと診断される症状

辛い体験をきっかけに起こるPTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマには、動悸や不眠などの共通している症状がありますが、いくつかの異なる症状がみられることも特徴です。
以下では、それぞれの代表的な症状を解説するので、自身がどちらに当てはまっているかチェックしてみましょう。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断される代表的な症状

PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断される代表的な症状は、以下の通りです。

感情・思考面
 

  • 現実を受け止められない、どうすればいいか分からない
  • 恐怖や不安に駆り立てられる
  • 悲嘆にくれる、うつ感情に支配される
  • 加害者に対して怒りが生じ、感情が抑えきれなくなる(突然泣いたり自身を責めたりする)
  • 方向感覚の喪失や注意散漫
  • 小さな物音に過剰に反応する
  • 辛い体験について考えすぎてしまう又は考えられない
身体面
体験による強い恐怖や不安から過度の緊張状態になり、以下の症状が現れる
 

  • 不眠
  • 動悸
  • 頭痛
  • 腹痛
  • 寒気
  • 悪寒
  • めまい
  • 発汗
  • 呼吸困難
行動面
 

  • イライラしたりふさぎ込んだりする
  • 辛い体験を思い出させる場所を避ける
  • 過食や拒食、薬やアルコールへの依存

トラウマと診断される代表的な症状

トラウマと診断される代表的な症状は、以下の通りです。

再体験:辛い体験による記憶障害から、意思に反して光景や恐怖がよみがえる症状
 

  • 突然辛い体験がフラッシュバックする
  • 体験を思い出させるような悪夢を何度もみる
過覚醒:再体験により過度の緊張状態が続くことで、刺激や物音に敏感になる症状
 

  • 悪夢が怖くて眠れない
  • 緊張状態からイライラする、集中できず落ち着きがなくなる
  • 何か起きるのではないかと常におびえる、過剰に用心する
  • 驚きやすくなる
回避と麻痺:再体験や過覚醒を避けるために、活動が低下して感情が少なくなる症状
 

  • ぼーっとした表情になる
  • 口数が減り、内向的になる
  • 記憶力・集中力、興味関心の低下
  • 活動力の低下(食事などの活動ができなくなるケース)

 
参考
・文部科学省|第2章 心のケア 各論

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断基準

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断基準

トラウマから発展するPTSD(心的外傷後ストレス障害)は、以下の診断基準に基づいて症状を判断されます。

A.その人は、以下の2つがともに当てはまる外傷的出来事に曝露した
 

  • (1) 実際にまたは危うく死ぬないし重傷を負うような、あるいは自分または他人の身体的保全がおびやかされるような、1つまたは複数の出来事を、その人が体験したり、目撃したり、直面した
  • (2) その人の反応は、強い恐怖、無力感と戦慄を伴った
B.外傷的出来事は、少なくとも以下の1つの形で再体験され続けている
 

  • (1) イメージや思考または知覚を含む、出来事の反復的で侵入的かつ苦痛な想起
  • (2) 出来事についての反復的で苦痛な夢
  • (3) 外傷的出来事が再び起こっているかのように行動したり、感じたりする(体験がよみがえる感覚、錯覚、幻覚、および解離性フラッシュバックのエピソードなど、覚醒時または中毒時に起こるものを含む)
  • (4) 外傷的出来事の1面を象徴したり類似する、内的ないし外的なきっかけに曝露したときに生じる強い心理的苦痛
  • (5) 外傷的出来事の1面を象徴したり類似する、内的ないし外的なきっかけに曝露した際の生理学的反応性
C. 外傷に関連する刺激の持続的回避と全般的な反応性の麻痺(外傷以前には存在しなかったもの)で、以下のうち3つ(またはそれ以上)によって示される
 

  • (1) 外傷に関連する思考、感情、または会話を避けようとする努力
  • (2) 外傷を思い出させる活動、場所、または人物を避けようとする努力
  • (3) 外傷の重要な場面の想起不能
  • (4) 大事な活動への関心や参加の著しい減退
  • (5) 孤立したような、または周囲の人々から疎遠になった感じ
  • (6) 感情領域の狭小化(例えば、愛情を感じなくなる)
  • (7) 将来が短縮した感覚 (例えば、キャリア、結婚、子どもをもつことや、通常の寿命を期待しない)
D. 持続的な過覚醒症状(外傷以前には存在しなかったもの)で、以下のうち2つ(またはそれ以上) によって示される
 

  • (1) 入眠、または睡眠維持の困難
  • (2) 易刺激性または怒りの爆発
  • (3) 集中困難
  • (4) 過度の警戒心
  • (5) 過剰な驚愕反応
E. 障害(基準B、C、およびDの症状)の持続期間が1カ月以上
F. 障害は、臨床上強い苦痛、または社会的、職業的、ないし他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている

 
引用元
・心的外傷後ストレス障害(PTSD)|飛鳥井望

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマの診断基準や症状に当てはまる場合は精神科・心療内科へ

診断基準や症状に当てはまる場合、早めに精神科・心療内科へ行くと良いです。
病院では、カウンセリングや薬物療法を用いた治療が行われるため、効果的な症状改善が期待できます。

また、専門家に相談することで、自身の症状を客観的に見つめ直すきっかけになり、新たな解決策を見出せるかもしれません。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマと診断されてから回復するまで

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマと診断されてから回復するまで

回復までの流れは人によって異なりますが、自然治癒の可能性も考慮しつつ、根本原因や症状経過に合わせた治療計画を立てるのが一般的です。

治療では、心理教育や環境調整を行ったり、必要に応じて薬物療法を用いたりして改善を目指します。最初は心理療法が辛く感じることもありますが、効果がみられると自ら進んで取り組むようになり、徐々に回復の兆しが見えてきます。

場合によってはPTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマが慢性化するケースも

適切な治療が施されないと慢性化するケースがあり、孤独を感じやすくなったり仕事や対人関係が悪化したりするといわれています。また、慢性化の影響で他の精神疾患を併発してしまうと、回復を難しくさせるようです。

 
参考
・ストレス・トラウマ 第一部 基本知識|国立精神・神経医療研究センター

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマと診断された際の心得

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマと診断された際の心得

PTSDやトラウマと診断された際は、回復を目指す上でいくつかのポイントを意識しておくと良いです。
以下では、特に大切な3つの心得をお伝えするので、治療時の参考にしてみてください。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマと診断された際の心得①治療を頑張り過ぎない

治療を受ける際は、焦らず頑張り過ぎずに取り組むことが大切です。
治療に対して「頑張らなければいけない」と感じるとプレッシャーに感じてしまい、回復を遅らせたり悪化の原因になったりする可能性があります。

回復には時間がかかることが多く、すぐに効果が現れなくても問題ないとされているので、自分のペースでゆっくり進めるようにしましょう。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマと診断された際の心得②辛いと感じた際はリフレッシュ

過去の辛い体験に向き合うことは精神的負担となるため、治療が辛いと感じた際は無理をせずリフレッシュする時間を設けると良いです。

治療から離れて散歩や読書、趣味に没頭することで、心のバランスが維持され「また治療を頑張ろう」と前向きに考えられるでしょう。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマと診断された際の心得③なるべく周囲を頼る

辛さや悩みを1人で抱え込んでしまうと、心の負担が増して改善が遅れることがあります。治療を受ける際は、周囲の人に症状を伝えてサポートをお願いしたり、何かあった際に相談したりすると良いです。

また、新たな目線での解決策が見出せるかもしれないので、無理をせず助けを求めることが大切です。

新宿うるおいこころのクリニックでもPTSD(心的外傷後ストレス障害)・トラウマの診断を行っています

今回は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やトラウマの診断を受けるメリットや診断基準、回復を目指す上での心得について解説しました。

PTSDやトラウマになると、心身の健康に大きな影響を及ぼし、日常生活や人間関係に影響を及ぼすことがあります。

診断を受けることで、自身を客観視できるようになり徐々に回復を目指せるので、焦らず自分のペースで治療を受けてみると良いでしょう。

新宿うるおいこころのクリニックでも、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やトラウマの診断を行っています。治療では、併発した精神疾患の治療も同時に行うことで、症状に対するトータルケアが可能です。

ご予約は、公式HPやLINEから24時間承っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

よくある質問

PTSD(心的外傷後ストレス障害)はどんな意味の略称ですか?

PTSDとは「Post-Traumatic Stress Disorder」の略称で、酷く辛い体験をした後に起こる精神的な疾患という意味があります。
辛い体験は、生死に関わるような経験や目撃が該当し、日常生活に支障をきたす程の症状が伴うことが特徴です。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)は回復しますか?

PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、回復を目指せる疾患です。自然に回復してくこともありますが、辛い体験から6カ月を過ぎると自然治癒の可能性が減少するといわれています。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)やトラウマの診断基準は?診断するメリットや治療の心得まで解説

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