「突然、激しい動悸が起こった」「電車の中で息苦しくなってしまう」
など、何の前触れもなく現れる症状は、パニック障害によるものかもしれません。
パニック障害とは、突然の不安感に襲われて呼吸困難などに陥ってしまう精神障害で、日常生活に影響を及ぼすものです。
この記事では、パニック障害の特徴や症状、起こすきっかけ、放置するリスク、なりやすい人について解説します。
目次
パニック障害とは、不安障害のひとつ
パニック障害とは、いきなり強い不安や恐怖に襲われ発作を起こしてしまう不安障害です。
発作のときには、動悸や息切れ、めまい、冷や汗などの身体症状が現れ、死んでしまうかもしれないという恐怖や、正気を失ってしまうかもしれないという不安を感じます。
パニック障害の発作は、特に原因がなくても起こるものです。発作が起こる場所やタイミングが予測できないため、いきなり発作が起こる恐怖感から日常生活に大きな影響を与えます。
パニック障害の発生頻度
人によってパニック障害の発生頻度は大きく異なります。
例えば、週に1~2回程度の発作が数カ月続いていたが、突然発作が起こらなくなり、1ヶ月に1回程度の頻度へと変わっていくこともあります。
また、発作の際に生じる症状も都度異なり、過呼吸になったりめまいがしたりなど不測性の高い疾患です。
パニック障害の原因
パニック障害の原因は、完全には解明されていませんが、遺伝的な要素や神経伝達物質のバランスの乱れ、ストレス、身体的な疾患などが関係しているとされています。
また、トラウマや薬の副作用なども影響するといわれており、特定の状況や刺激に対する過敏な反応がパニック発作を引き起こすことがあります。
また、パニック障害は、一度発作を経験すると再発する恐怖心からさらなる発作を生む可能性を秘めている疾患です。電車やエレベーターなどの密閉空間で発作を起こす可能性が高く、広場恐怖症や社交不安障害などの他の不安障害を併発することもあります。
パニック障害の症状
ここでは、パニック障害の代表的な3つの症状をご紹介します。
パニック発作
パニック発作は、強い恐怖感により息苦しさや発汗、吐き気が出る症状です。
発作は短時間で収まるものですが、その間呼吸困難やふらつきなどの身体症状に襲われ、この恐怖からさらなる悪循環をうみだします。
検査をしても身体的異常は見つからないのが特徴で、心理的な要因やストレスが発作の原因と考えられています。
予期不安
予期不安とは、パニック発作がいつ起こるかわからないという不安から、常に緊張や恐怖を感じる症状です。
特に、発作が起こったことのある場所でなりやすく、トラウマとなっている場所に行くことを避けるようになります。
広場恐怖
広場恐怖とは、自宅以外の場所でパニック発作が起こることを恐れて、外出することが困難になるパニック障害で最も重い症状のことです。
予期不安が強くなることで症状は発症され、仕事や学校に行けなくなったり、最低限の外出しかできなくなったりなど、日常生活に大きな支障をきたします。
パニック障害を起こすきっかけ
パニック障害を起こすきっかけには、さまざまな要因が考えられますが、主なものは以下の2つです。
精神的ストレス
仕事や家庭、人間関係などでストレスが溜まると、神経を興奮させるノルアドレナリンが過剰分泌し、パニック障害を引き起こすといわれています。
また、ストレスを和らげるセロトニンの減少もパニック障害の要因とされており、このバランスの乱れが身体に影響を与えます。
ニコチン・カフェインの過剰摂取
ニコチンやカフェインは、交感神経を刺激する作用があるため、不安感や動悸などパニック障害の原因となります。
症状悪化にもつながるので、パニック障害を抱えている方は摂取量を控えることが望ましいです。
パニック障害のチェックリスト
下記の症状に当てはまる場合、パニック障害の可能性があります。
- 動悸や息苦しさを感じる
- 急な発汗が増えた
- 手足の震えや寒気がある
- 息切れが増えた
- 窒息する感じがある
- 胸部に不快感がある
- 腹部に不快感がある
- めまいやふらつきを感じる
- 自分が別の場所にいるような感覚がある
- 自分をコントロールできなくなるのではという恐怖がある
- 死に強い恐怖がある
- 感覚がおかしい
- ほてりやのぼせがある
※上記の項目は、パニック障害と診断するものではありません。心当たりのある方は、医療機関へ受診するようにしましょう。
パニック障害の診断・検査
パニック障害の診断・検査では血液検査、心電図、脳波、MRI、CT検査、問診が行われます。
問診では、発作が一カ月のうちに数回起きているか、予期せず発作が起きるかなどについて質問され、身体的検査では異常がないが問診事項に当てはまっている場合、パニック障害と判断されます。
パニック障害の治療方法
パニック障害は、適切な治療をすることで完治を目指せます。ここでは、パニック障害の代表的な治療法をご紹介します。
薬物療法
薬物療法では、抗うつ薬や抗不安薬などの発作を抑える薬が処方されます。
人によっては副作用を伴いますが、勝手にやめたり量を減らしたりすると、症状が悪化してしまう恐れもあるので、医師の指示に従い適切な服用を心がけることが大切です。
認知行動療法
認知行動療法は、パニック障害の原因やメカニズムを理解し、不安や恐怖を引き起こす思考や行動を変えることを目的とした心理療法です。
また、悲観的に考えてしまう思考を楽観的な思考に治す訓練も行い、発作が出てしまうのではないかという恐怖心を根本から変えていきます。
生活習慣改善
生活習慣の改善では、睡眠や食事、運動などを見直し、ストレスや不安要因を減らしていきます。
例えば、十分な睡眠時間の指示、バランスの良い食事指導、適度な運動を導入することで、心身の健康向上を目指します。
リラックス法の練習
リラックス法の練習では、筋弛緩法や呼吸法などが用いられ、身体的な緊張や動悸を和らげるトレーニングを行います。
また、自分が安心できる場所や状況を思い浮かべるイメージ法も習得し、パニックが起こった際に落ち着けるよう訓練します。
オーソモレキュラー栄養療法
オーソモレキュラー栄養療法とは、不足している栄養素を適切な量とバランスで摂取することで、健康改善を目指す治療法です。
パニック障害の場合、神経伝達物質のバランスを整えたり、ストレスに対する耐性を高めたりすることを目的として行います。
TMS治療
TMS治療とは、脳に磁気刺激を与えることで、脳の機能回復をしていく治療法です。
パニック障害の場合、不安や恐怖を感じる脳の部位を抑制したり、気分や感情をコントロールする脳の部位を活性化したりすることで、症状の改善を目指します。
パニック障害を放置するリスク
パニック障害を放置してしまうと、免疫力の低下による病気の発生、外出を避けることによる生産性や学習能力の低下、不安感の払しょくを目的とした過食や飲酒などの問題が生じます。
また、他の精神疾患を併発するリスクが高まり、うつ病や社会不安障害、強迫性障害などの合併症を抱えることが多くなります。これらの疾患は、症状は放置せずに早めに専門医に相談することが大切です。
パニック障害になりやすい人の特徴
下記に当てはまる人は、パニック障害になりやすい傾向があります。
完璧主義者
完璧主義者の方の多くは、失敗やミスを許せないため、常に緊張やストレスを抱えています。
また、自分の感情や欲求を抑え込んでしまう傾向があり、気付かないうちにストレスを大きなものにしてしまっている可能性があります。
周囲の目が気になる
周囲の目が気になる人は、自分に自信がなく他人からの評価を過度に気にしてしまいます。
人前で話すことや注目されることが苦手で、批判や否定を恐れる傾向もあるため、人過度に緊張してしまったり、強い恐怖感を感じてしまったりこともあります。
恐怖感を募らせた結果、動悸や呼吸困難などのパニック障害に陥る可能性があるため、あまり無理をせず自分のペースで行動していくことが大切です。
こだわりが強い
こだわりが強い人は、自分の考えに固執してしまう傾向があるため、自分の思い通りに物事が進まないとイライラしたり、不満を感じたりします。
また、予期せぬ変化やトラブルが生じた際に、状況をコントロールできないことに対して不安や恐怖を感じ、パニック障害の発作を誘発する可能性があります。
感受性が強く敏感
感受性が強い人は、周囲の環境や人間関係に影響を受けやすく、不安や恐怖を感じる回数が多い傾向にあります。
自分の感情や身体の変化にも敏感なため、一度パニック発作を経験してしまうと誘発しやすくなり、パニック障害を慢性化させる原因になります。
うつ病になったことがある
うつ病になると、全ての出来事に対して自分に非があるように考えてしまいます。
パニック障害を起こした時も同様で、症状が発生した際に自分を責めたり、助けを求められなかったりします。
また、うつ病の治療に使われる薬物は、パニック障害の発作を誘発する可能性があるものです。そのため、自分の状態を正しく理解し、適切な医療機関に相談することが大切です。
パニック障害の診断でお悩みの方は、新宿うるおいこころのクリニックにご相談ください
パニック障害は、突然の強い不安感や恐怖感により発作を引き起こす精神障害です。
発生頻度は人によりさまざまで、発作を誘発させる状況も異なります。
また、放置しておくと悪化するリスクもあるため、早期の改善を目指していくことが大切です。
新宿うるおいこころのクリニックでは、パニック障害の治療を行っています。パニック障害は完治を目指せる精神疾患なので、症状がみられる場合は早めにご相談ください。
よくある質問
パニック発作が起きた際の対処法はありますか?
パニック発作が起きた際は、腹式呼吸を意識しながらゆっくりと深呼吸するようにしましょう。呼吸の乱れを正常に戻すことで、体を落ち着かせることができます。
パニック障害を一瞬で治す方法はありますか?
パニック障害は一瞬で治すことができない疾患です。改善を希望される場合は、医療機関に相談し適切な治療を受けることがおすすめです。